【簡単あらすじ】剣持麗子のワンナイト推理(微ネタバレ)【新川帆立/宝島社】
「夜だからたまたま付き合えたけど、昼間はがっつり働いてるんだから。金輪際呼び出さないでちょうだい」
ある事件で知り合った新宿署の警部補・橘五郎にこう言ったからか、会社間の取引を専門とするはずの弁護士・剣持麗子には、夜中に様々な難題が舞い込んでくる…
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SNSで「新川帆立さん」の作品が話題になっており、大変気になっていましたが、ある理由からちょっと手に取ることに躊躇していました。
しかし本屋で見かけた際に、短編集であれば新川帆立さんの作品の雰囲気を感じるにはちょうど良いと思って購入し、その予想通りの読了感で大変満足しています。
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第一話 家守の理由
麗子は、警察から「武田信玄を名乗る男があなたを呼んでいる」という電話を受ける。
現場には、「俺、警察嫌いなんすよ」と言う若い男が座り込んでいた。
第二話 手練手管を使う者は
「源氏名:武田信玄」であるホストクラブ勤務の黒丑益也は、麗子の弁護料金として支払うためのお金が盗難にあったと言う。
剣持はその犯人を見つけ、お金を取り返そうとするが…
第三話 何を思うか胸のうち
麗子が所属する法律事務所では、お盆休み直前に運動会が開催されることが恒例になっている。
今回は百人超の弁護士が某体育館に揃った。
いつもは嫌々出席する麗子も、今年は自ら進んで参加する目的があった。
第四話 お月様のいるところ
業務多忙な麗子は、黒丑をアルバイトとして雇っていた。
九月下旬の夜、新宿署の警部補・橘五郎から呼び出され、黒丑の素性を聞かれることで黒丑に不信感を感じる。
その帰り、剣持を「ヨウコちゃん」と呼ぶ高齢女性に出会う。
第五話 ピースのつなげかた
麗子は、「近所のAさんが三隣亡に建築工事をしたせいで呪いが起こり、泥棒・火災や死亡事故が起こってしまった。Aさんを訴えることは出来ないか」という相談を受ける。
※三隣亡 昔の暦での凶日。この日に建築などを行えば、近隣の三軒まで滅ぼすと言われている。
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個人的には、初読時と読了後の読み返し時で違った印象を受ける、第三話「何を思うか胸のうち」がお気に入りです。
主人公の剣持麗子はシリーズ通じての登場になりますが、今作から読み始めた方も充分に楽しめる作品と思います。
ただ、私は、今作の終わり方でシリーズ全体が気になりましたので、剣持麗子シリーズ一作目の「元彼の遺言状」と二作目の「倒産続きの彼女」も読了しようと思いますし、皆さんも読了したほうがさらに楽しめる作品と思います。
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