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【簡単あらすじ】倒産続きの彼女(微ネタバレ)【新川帆立/宝島社文庫】


「玉子の好きにしたら良いんじゃない?」


美馬玉子の勤務する事務所に設置された、ある企業の外部窓口に【件名】倒産続きの同僚
という内部告発のメールが届く。

内容は、ある同僚が転職する度にその会社は倒産する、というもの。

玉子は、それから内部告発企業について調べ始める。

初めは、「バカバカしいこと」「アホらしくてやってられない」という考えの玉子たちだったが、調査を進めるうちに、新事実が発覚する。

さらに、会社内で壮絶な事件も発生し…

実際に、連続殺『法人』事件は起こっていたのか。
そして通報通りの犯人なのか。



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『はじめに』
全国的に梅雨明けが宣言され、一気に猛暑日が続き体力が削られ外出どころか何もしたくないと考えてしまうような日々が続きます。
しかし、外出を控えるようになったということは、逆に考えると家の中でエアコンを起動させ、傍に飲み物を持ってくると外の雰囲気に全く影響されない、絶好の読書シチュエーションになります。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

弁護士・剣持麗子シリーズの第二作目になります。

ですので麗子も当然登場しますし、物語のポイントポイントではかなりの存在感を出してきますが、本作では、麗子の同僚で一歳年下の弁護士・美馬玉子が主人公の作品です。

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美馬玉子の性質を一言で表すと、一般人が考える「二十代の働く女性」のイメージに近い「キャリアウーマン(死語)」です。

合コンの席で、男性側から「女性弁護士かよ」というちょっとマイナスな反応を示された後に、自分を殺したぶりっこで対応しその場の雰囲気をやわらげたり、才色兼備の剣持麗子を見るたびに・仕事を共にするたびに、どうしても世の中の不公平や不条理を感じてしまったり。

色々なことに・自分でもはっきりと自覚していないことに悩んでいる・悩まされている美馬玉子が、「倒産続きの彼女」という一通のメールからはじまる事件を通じ、変化し成長する作品です。

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今回で、元彼の遺言状・倒産続きの彼女・剣持麗子のワンナイト推理という、剣持麗子シリーズ三作を読了しました。

三作を読了することで、

黒幕のトラの存在と、剣持麗子・美馬玉子との因縁。
麗子を取り巻く、敵・味方の人間模様。

をはっきり理解することが出来ます。

剣持麗子という強烈な個性を持つ主人公を中心とし、その強烈な個性に負けない優れた才能・能力を持つために巻き込まれる事件とその解決。

剣持麗子シリーズは、個人的に、海堂尊さんのチームバチスタシリーズを思い出す内容です。

あちらの作品は、主人公の性別が男性であり、あだ名がグッチーとつけられるような一見パッとしない見た目と能力です。さらに、担当が外科ではなく、不定愁訴外来という花形でない部門を中心とした物語であり、一見すると本シリーズと対局の位置にあると思われるかもしれませんが、私は両作品の雰囲気が似ていると感じます。

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本シリーズがどこまで継続するか、麗子を取り巻く事件・人間模様がどれだけ広がりを見せるかは分かりませんが、ミステリ好きの方だけでなく多くの方が、これから読み始め、シリーズ完結まで追いかけて良いシリーズと思います。

前回も記述しましたが、元彼の遺言状で剣持麗子の性質が苦手と感じた人でも、他の二作を読了すると、その印象が変化する、もしくはその性質がクセになる、となる可能性が高いので、多くの方にシリーズ全作を読了することをおすすめします


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