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【簡単あらすじ】ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~(微ネタバレ)【三上延/メディアワークス文庫】

「いいですよ。こちらへどうぞ」

今までとはうって変わってなめらかな口調で話し始めた。
「以前も話したと思いますが、『晩年』は昭和十一年に刊行された、太宰治の処女作品集です。初版はたったの五百部でした。太宰はまだ二十代でしたが、この本のために十年を費やし、五万枚もの原稿を書いたといいます。収録された作品はその中のほんのわずかで……」

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『はじめに』
全国的に梅雨入りしたことが宣言され、天気は雨や曇りが多くなり、晴れたとしてもいまいちカラッとしない時期になってきました。
しかし、家の中でエアコンをドライ運転にすると、外の雰囲気に全く影響されず、絶好の読書シチュエーションになります。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

ほんタメで、あかりんが紹介した作品になります。

各話とも名作に関連した物語になっていますので、読了後はちょっとだけ古典作品にくわしくなることの出来る作品です。



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軽くあらすじを紹介しますと、

第一話 夏目漱石「漱石全集・新書版」

祖母が大事に保管していた夏目漱石「漱石全集・新書版」に、ある男性の落書き(サイン)が見つかる
その価値を尋ねるため、活字恐怖症の五浦大輔はビブリア古書堂を訪れる。

第二話 小山清「落葉拾ひ・聖アンデルセン」

ビブリア古書堂へ、ある書物類を査定に訪れた志田という男。志田は、絶版文庫を中心としたせどりに関しては、店主の篠川栞子よりも精通している客である。

志田は本の仕入れの代わりに、自分が盗まれた本を探し出して欲しいという注文をする。

第三話 ヴィノグラードフ クジミン「論理学入門」

九月に入ったばかりの暑い日というのに、地方銀行の支店長のような服装で来店した坂口という男が、ある本の買取りの依頼に古書堂を訪れる。

しかしその約一時間後、今度は坂口の妻と名のる女性から「本を買い取らないで欲しい」という電話があって…

第四話 太宰治「晩年」

ある日五浦は、店主の篠川から「自身の入院のきっかけとなったある出来事」を話される。

第四話に入ってからの展開は、ミステリ要素もあるのですが「本好きが秘めている狂気」も表現されており、少し身震いするような寒さもある作品です。

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本作を読むことで、

1.「夏目漱石・それから」の結末。
2.本に貼られている「私本閲読許可証」とは何か。
3.「自信モテ生キヨ 生キトシ生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ」という、太宰によるエールの存在。

が分かるなど、タメになる部分も多く読書好きなら読んで損の無い一冊です。






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