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【#創作大賞感想】隔世(かくりよ)調査委員会_Z-253【日部星花(小説家)】

お疲れ様です。

今回は、noteで開催中の「創作大賞」に投稿されました、日部星花(小説家)さんの隔世(かくりよ)調査委員会_Z-253についての感想を書いていきます。



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◇隔世(かくりよ)調査委員会_Z-253

「あらすじ」

貧乏学生としてバイトに明け暮れる女子高生・近澤朝陽(ちかさわあさひ)。
『近寄ると不幸が起きる』という噂がある彼女は、孤高のボッチであった。
そんなある日、クラスのド陽キャイケメン・瀬戸内詩矢に「おまん バイトせん?(※意訳)」と声を掛けられる。
孤高のボッチである朝陽もイケメンの頼みは断れず、彼に持ち掛けられたバイトを引き受けることに。
しかし、彼に紹介されたバイトは、実はかなり『やばい』ものであったらしく…?
これは陽キャイケメン(訳アリ)と平凡貧乏JK(訳アリ)による、愉快(ではない)ゴーストバスター譚である。 
【原文ママ】

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作者・日部星花さんは、

Ⅰ. 袋小路くんはいつもクローズドサークルにいる

Ⅱ. 外伝「真相は財布の中にはない」

Ⅲ. 偽りの私達


でもレビューしましたように、以前から気になり作品を読了している作家さんです。

前三作で感じた良い点を引き継いだ作品でしたので、今回も楽しんで読了し、感想を書くことが出来ました。

今回は心霊系がメインテーマになっており、微ホラー要素が含まれていましたが、あまりそっち系のテーマが得意でない私でも楽しめましたので、梅雨特有のジメジメした気候の今、読むことがピッタリな作品だと思います。

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ここからは、気に入った点と気になった点について、がっつりネタバレを含んで書いてありますのでお気をつけ下さい。
出来れば、本作を楽しんで頂いた後に読んで頂ければと思います。






ネタバレがありますがよろしいでしょうか?







★気に入った点

『概要』

日部星花さんは、「袋小路くんは今日もクローズドサークルにいる」や「偽りの私達」でもそうだったように、学生の日常生活についての描写が上手で、作品を読み進めていると、自然に・違和感なくその世界観に入り込むことが出来ますので、読者の年代や性別を問わず・多くの方を対象とした作品になっていると思います。

そして、読者が不快に思うような表現をされない方ですので、誰もがとても読みやすい作品になっています。

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『詳細』

①3話がとても良。

学生の普通の放課後(合コン)というゆるめの雰囲気から、敵の襲来、そしてサクヤの強者感のある撃破シーン、というように話がスピード良く進みますし、
「サクヤ=天孫の嫁、とは?」
「敵が話した、主(=仲里さん?)という黒幕の存在」
「瀬戸内くんとサクヤの昔話」
などについての匂わせもあり、どんどん先を読みたくさせる内容でした。

また、瀬戸内くんの友だち・相楽くんの性質も後々の話に繋がりそうで楽しみです。

ですので、出来れば女友だち・花宮さんのキャラがもう少し強ければさらに良かったと思います。

②4話も良。

「文字だけで不気味さ・気持ち悪さが伝わる」くらい、鬼についてとても良く描写されていましたので、追いかけっこでの緊迫感が自然と高まりました。

また、仲里のぬいぐるみが役に立つところも良かったです。

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★気になった点

『概要』

日部さんだけでなく、上記『概要』の良さを持っている作者さんに共通することですが、「日常についての描写が上手=ストーリーの抑揚が弱め」となってしまう方が多い気がします。
導入部から最後までスムーズに読み進めることが出来る作品は素晴らしい一方で、読み終わった後の読者の感想が、「上手で面白かった」で終わりがちです。
特定の作者さんの作品を追いかけ、何度も作品を読み直すような読者を作るためには、日常描写の良さを維持しつつ、「日常描写からかけ離れ、強調する部分・クセを強くする部分」なども入れ込むことが必要かもしれません。
その特徴があることによって、「この作者さんの作品でないといけない・その作品を読みたい!」に繋がります。
もちろん、こういった部分を入れ込むことで離れてしまう読者もいますので、作品の内容やテーマによって取捨選択が必要になると思います。

以下の部分は、そういった「強調する部分・クセを強くする部分」について、私なりに気づいた細かい点について記載します。

『詳細』

(1)序+1話

「調査報告書Z-253」の内容が少し弱い気がしました。

もう少し「鬼に追いかけられている・死が近づいていることへの緊迫感を持たせる」とか、「二話の松戸先生の奥さんのツイッターのように状況の変化を書かせる」とか、「田中か水橋・花山の誰かがケガをしている状況にして、なぜ隔世調査委員会が遭難者を見つけられなかったのか、状況に不審点を持たせる」とか、そういったことがあると、初めに読者をがっちり掴み、4話の最後につながる伏線にもなりますので良かったかもしれません。

(2)2話上

近澤さんが、今までの(通常の)バイトを辞めたことにちょっと違和感があります。

いくら時給が良いとはいえ、2話上の段階では「瀬戸内くんや隔世調査委員会を全面的には信用していない」と思いますし、4話で描いているように、何か状況が変化するとバイト自体が少なくなることも考えられるので、バイトの日数を減らすか・辞める特別な理由があると良かったかもしれません。

(3)2話下

「近澤はどうしたい」から「…ま。ワガママ聞いてさらにあぶねーことさせようとしてんだけど」の部分までは、近澤さんが、精神的にも肉体的にもこのバイトに本腰を入れようとするきっかけとなる部分であり、瀬戸内くんとのクラスメイト以外の関係性が発生した部分でもあると考えられるので、字数を増やしたり内容の表現方法を変化させたりして、もっと強調すると良かったかもしれません。

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上記、色々書かせて頂きましたが、日部星花さんはこれからも応援していきたい作家さんです。

これからも新作を発表されることを楽しみに待っています。



☆他の小説レビュー☆


今回の画像は【藤沢奈緒】さんからお借りしました。ありがとうございます。




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