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世の中を変えられる感触が得られる株主。


消費者ではなく、株主として意見する。

 私は外国株は言語の壁も鑑みて、裁量投資は不利と判断しているため、投資信託で済ませて、市場平均を取れれば良いと考えているが、こと日本株に関してはガッツリ個別株で、財務状況などと分析して保有銘柄を選定している。

 かつては50銘柄近く保有していたこともあったが、6月と12月の郵便物の多さや、決算短信や有価証券報告書を熟読するキャパシティを超えただけでなく、分散しすぎたことから運用パフォーマンスがTOPIXと大差なくなり、労力と運用成績の観点から、最近はもっぱら30銘柄程度に集約している。

 銘柄数を抑えたことで、ひとつひとつの保有銘柄の状況把握に割く時間が確保でき、議決権行使に追われることも、ほぼ無くなり、余裕ができるようになってから、株主アンケート的なものも、報酬がなくとも答えるようにしている。

 それは一般消費者としてお客様センターに意見するよりも、株主として意見した方が真摯に受け止めれられる可能性が高いからだ。

 前者が経営陣に届くのは統計処理された定量情報以上でも以下でもないが、後者の場合は定性情報が直接届く可能性すらある。それくらい出資者の権利を小口化した、株式を保有している者の立場は、良くも悪くも消費者のそれとは異なるわけである。

 だからこそ、例えば自販機で清涼飲料水を販売している上場企業であれば、ポイ捨ての問題に対して、製造者責任として、一定の割合でポイ捨てする愚者が居る前提で、生分解性プラスチックを導入したらどうか?と投げかける。

 ボランティアでゴミ拾いをするのも立派な社会貢献だが、そもそもゴミが出ないような仕組みに変えた方が、イタチごっこにならない分、本質的なアプローチとなるだろう。

 そうした利益の最大化には相反するが、後世に少しでもキレイな地球環境を残すために、誰かが率先してやらなければならない課題への取り組みを、株主として意見するからこそ重く受け止められる側面がある。

若者が衆愚政治を直接は変えられない。

 現在の若者は、物心ついた頃から失われた30年で、好景気を経験しておらず、それでいて世代別人口が高齢者に偏っている、シルバーデモクラシー故に、選挙で自分たちの意見が反映される感触が得られた試しがなく、それが若者の選挙や社会運動離れにつながっている節はある。

 20年後の日本社会を真剣に考えて、今の18歳〜30代が結託して投票したところで、年金暮らし+年金受給が目前に迫る世代の現状維持したい総意を、ひっくり返せるだけの頭数が居ない。

 数で敵わないことくらい、人口ピラミッドを見れば容易に想像がつくのだから、最初から戦線放棄を選択するのが合理的な選択である。

 自分たちが人口ピラミッドのマジョリティで、恩恵を受けていた層ほど、若者の選挙離れとか、若者よ選挙に行こう的な、しょうもない説教を垂れ流すが、もはや若者が一票で衆愚政治が変えられるような世の中ではない。

 世間ではコスパやタイパが流行りのように受け取られるが、若者はそれらを重視しなければ生きていけない程度に、経済的、時間的な余裕がないことの裏返しであり、選挙など無駄な努力以外の何者でもないのが本音だろう。

下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。

 若者が民主主義に則って社会を変えていくのが、事実上不可能となっている以上、無敵の人事件のように、社会に一発やり返すか、地方の金持ちそうな年寄りの家を強盗する、もしくは売春と、倫理観を無視した形で富の再分配をするのが、選択肢として浮上しているのは、昨今の報道を見ても想像に難くない。

 そんな世代の一員として、資本主義の権化である株主の立場を活用することで、上場企業から変えていき、それが行政機関を変える圧力となって、間接的に社会や政治を変えられるのではないかと考え、株主として意見する権利があるのなら、それを積極的に活かすように努めている。

 某不動産事業者はホテル事業を展開しており、株主には宿泊料金を優遇しているにも関わらず、株主優待券の利用者のみWebではなく、未だに電話予約なのは如何なものか?と意見したところ、数年後にWeb予約に対応して使いやすくなった。

 恐らく意見したのは私ひとりではないだろうが、誰かが言ってくれるだろうで誰も意見しなければ、Web全盛期の時代に、旧態依然とした電話予約のままだったかも知れない。

 某通信事業者には品質低下を意見したり、こういったプランがあると便利ではないか?と投げかける。某小売事業者には商品ブランドがブランドたらしめる、らしさが失われているのではないか?競合他社との差別化ができていないのではないか?と意見する。

 時には筋違いで素人の戯言の域をでない意見をしているかも知れないが、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる理論で、先述のように採用された事例もあるため、選挙と比べれば報われる感覚が持てる。

 そうした成功体験を得られる場として、株主の立場を最大限活用することが、投資はギャンブルと信じて疑わない上の世代を、若者が出し抜ける唯一と言って良いチャンスではないだろうか。


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