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社会人学生の時間管理術。

時間は唯一、誰もが平等に与えられる資源。

 要領良くメソッドだけを知りたい方は、第3項から読み始めてください。

 義務教育の時期は誰もが専業学生だが、無償化で事実上の義務教育化している高等学校を卒業すると、専業で学生を続けられる者と、経済的理由から、そうもいかない者とに分かれる。

 遊ぶお金欲しさに、お小遣い稼ぎでアルバイトをするのは別として、経済的に学費が賄えそうもない家計で育つと、奨学金という名の教育ローン、すなわち借金を背負い社会に出るか、一度社会に出て、自分で稼いだ賃金の中で学費をやりくりするかの二択を迫られる。

 日本は新卒一括採用、年功序列制の風土が根強い弊害から、前者が圧倒多数で、私のような後者は少数派である。

 そのための給付型奨学金という意見もあるが、学力偏差値50超ではあるものの、給付型奨学金は受け取れず、高卒で社会に出る者が居る反面、偏差値が50未満でも、実家が太いからFランク大学を出ると、一応は大卒として社会に出られる。

 地頭の良さではなく、家庭の経済状況で学歴に逆転現象が生じる現状からしても、やはり世の中は不平等である。しかし、そんな不平等な世の中で、何人にも平等に与えられているのが「時間」である。大富豪だろうが、貧民だろうが、1日は同じ24時間に変わりはない。

学習時間の増加手段をロジカルに考える。

 出勤日をイメージすると、多くは可処分時間の範囲内で、娯楽を楽しんでいるが、社会人学生はここから更に勉強時間が加算される。これを等式に置き換えると、
可処分時間=娯楽+学習

変形させると、
学習=可処分時間 − 娯楽

 何を当たり前なことを、と思われるかも知れないが、数式で単純化することで、学習時間を増やすために、どの変数を増減させれば良いかを、直感的に理解するのが目的である。

 つまり、学習時間を確保するためには、
1 可処分時間を増加させる
2 娯楽時間を削減する
上記の二択が基本的な戦略となる。


 とはいえ、上記の等式では可処分時間が、漠然としているため、これの可視化を試みる。まず、1日は24時間だが、人は睡眠を取らなければ生命維持に支障をきたす。よって、
可処分時間=24時間 − 睡眠

 社会人学生の場合、労働時間に加えて、身支度の準備を含めた通勤時間や、賃金にならない拘束時間を付随時間を加算すると、
可処分時間=24時間 −(睡眠+労働・付随)

 そこから更に、家事や食事、風呂などの生活を営むのに必要な時間を加算しなければならない。よって、以下を可処分時間の等式と仮定する。
可処分時間=24時間 −(睡眠+労働・付随+生活)

 学習時間を確保するための手段に、可処分時間の内訳を加えると、
学習=24時間 −(睡眠+労働・付随+生活+娯楽)
よって、
1 可処分時間を増加させる
 1.1 睡眠時間を削減する
 1.2 労働および付随時間を削減する
 1.3 生活時間を削減する
2 娯楽時間を削減する

 上記のように分類できる。とはいえ、睡眠時間の削減に関しては、学習初期段階で戦略に組み込むと土壇場で詰むのでお勧めしない。健康に悪いのは言うまでもなく、ここからは、睡眠を除いた下記3つの具体的なメソッドを記す。

労働および付随時間の削減。

 これができたら苦労しないが、生活残業をしていたり、休日出勤した際に、代休を取得せず手当として精算している場合には、生活費用を見直す形で生活費用面での不安を無くし、これらをやめるだけでも相当時間が捻出できる。

 元鉄道員の身として、職業柄、土日祝日関係なしにこき使われることから、祝日相当分の代休が付与されるが、要員不足から精算がデフォルトだった。しかし、空気は読むものではなく吸うものが信条のため、構わず代休取得の申請をしていた。

 当然、雀の涙ほどの定期昇給を打ち消す以上の収入ダウンで、社会保険料の等級が1つ下がり、上役連中からは嫌味を言われたものの、月平均の休日数が1日以上増えたのだから、タイムイズライフである。

 また、直接的に労働時間を削減することが難しくても、金銭面に余裕がある場合は、職住近接やリモート勤務に変更すると、通勤時間が相当削減でき、時間をお金で買うことができる。

 通勤交通費は法定外福利費で法律で義務付けられてはいないものの、雇用先が一定額を上限に支給してくれる場合が多いため、手取りを増やすために、多少は通勤時間が掛かっても、少しでも家賃の安い地域に居住しようと考えがちである。

 金銭面での損失は社会保険料の等級が上がる程度で、表立って損をすることはないものの、通勤に要した時間は絶対に戻らない。だから、多少割高でも削減できる通勤時間と時給単価を天秤にかけて、それに見合う範疇であれば職住近接の価値はある。

 例えば、若手で時給単価が1,250円の場合、片道1時間の通勤時間が削減できるなら、往復で2時間、時給換算で2,500円相当の価値に匹敵するから、それをひと月の勤務日数分(ここでは20日と仮定)乗じた5万円が、職住近接で上乗せしても良い家賃上限額の目安となる。

 とはいえ経験者として、あまりに近過ぎると便利屋枠として都合良く使われたり、休日にスーパーで買い物中に鉢合わせして、休日気分が台無しになる恐れがあるため、徒歩15分、自転車で5分程度で徒歩で通えるが、生活圏が重ならない距離感が望ましいかも知れない。

生活時間の削減。

 毎日のルーチンとして、食事、洗濯、入浴、掃除などが挙げられるが、これらにマンパワーを使わないよう省力化するだけでも、結構な時間が削減できる。いわゆる時短家電の活用である。

食事の省力化。

 ホットクックを活用することで、食材と調味料をセットすれば、あとはプログラムが自動で調理してくれる。火加減を見る必要がないから、仕上がるまで完全放置で別の作業に取り掛かれるのが嬉しい。しかも無水調理だから、一般的な鍋を人の手で調理するよりも、おいしく仕上がる。

 毎日の自炊が食材のカットのみで済むだけでなく、予約調理機能があるから、夜のうちに食材をセットして、起床時間に出来立てを頂くことも可能で、低血圧故に起床直後はロクに動けない身としては非常に助けられている。

 また、副産物的にフライパンと違って構造上、油が飛び散らないため、換気扇の掃除も楽になる。私みたくメニューに制約が生じるのを承知した上で、メインにホットクック、サブでクッキングケトル体制でフライパンの類を断捨離できると、換気扇の掃除からも解放される。

食器洗いの省力化。

 食洗機があれば殆ど手間が掛からなくなる。賃貸派で分岐水栓の敷居が高い身としては、タンク式でマトモな製品がしばらくなかったが、遂に天下のパナソニックがタンク式の食洗機を製品化したため、置き場を確保してでも導入を検討したい。

洗濯の省力化。

 洗濯機は奮発してドラム式洗濯乾燥機を導入することで、洗濯物を干す煩わしさから解放される。この手の家電は競争が激しいため、型落ち品で許容できるなら、10万円台で購入できる時代になった。

 ちなみにアイリスオーヤマの製品は、製造コストを抑える都合上、一定程度までは乾燥するものの、いわゆる半乾きで最後は干す必要があり、価格と電気代的にはお財布に優しいものの、機能としては中途半端であるため、洗濯物を干す時間を削減する用途としては適さない。

 すでに洗濯機だけ買ってしまって、わざわざ買い替えるほどのことではないと思う方は衣類乾燥機で、干す作業から解放される。

 脱水した衣類を、乾燥機にぶち込む手間は掛かるものの、いちいち干すほど手間にならない。それに、洗濯と乾燥は機械的には相反する機能のため、分離した方がそれぞれの性能は良い。

 ドラム式洗濯乾燥機と比較した性能面のメリットと、若干手間が掛かるデメリットを天秤に掛けると、五十歩百歩だが、省力化の観点ではドラム式洗濯乾燥機が優勢なのは想像に難くない。

床掃除の省力化。

 最後にお掃除ロボットの導入でライフの時短を締めくくる。汚部屋でも問題ない人には縁のない話だが、ハウスダストアレルギーが陽性一歩手前で、くしゃみとお友達な身としては、定期的に埃を取り除かなければ、やってられないため必需品と言える。

 それに掃除は、食事や洗濯、入浴と異なり、やらなくても即座に影響を及ぼす類の家事ではないため、時間に追われていると、後回しにしがちである。

 しかし、人間は生活環境が整っていないと、心理的にも荒みがちとなり、それが学習にも波及してしまう。せっかく自分で稼いだお金を、周囲が遊んでいる中、自己投資として学ぶために使うのだから、肝心の学習パフォーマンスが、生活環境で低下してしまうのはもったいない。

 とはいえ、社会人と並行していると、想定外の事態に見舞われて、時間が溶けていくことは往々にしてある。そんな時に、お掃除ロボットがあると、最低限、掃除だけは行き届いている住環境が死守できるため、職場でしんどい中、帰って来て何も手に付かず、更に荒廃する負のループに陥りづらくなる点で心強い。

 エントリーモデルなら3万円台で購入できるのも時短家電の中ではコスパが良い。2017年のルンバを皮切りに、着々と時短家電を揃えている私は、すでに居住空間がルンバ至上主義となっており、走行環境を最適化するために、意地でも床にモノを置かない習慣が定着している。

 その甲斐もあってか、2017年製モデルが未だに現役で稼働しており、既に耐用年数は超過しているものの、消耗部品の交換に留まり、壊れそうな気配はない。3万円台のエントリー機を6年使うと、本体の減価償却費としては年間6,000円、月換算で500円程度で掃除機が自動化できると考えれば、コスパの高い買い物と捉えられる。

娯楽時間の削減。

 睡眠の次におすすめしないのが、息抜き時間の削減である。理屈としては、別になくしても生きては行けるものだが、社会人と学生を兼業でこなすのは、それだけでも無意識的に相当なストレスが掛かっているため、適度な息抜きがないとモチベーションを保てないのが人間の性である。

 とはいえ、動画の倍速再生に慣れるスキルは持っておくと、何も娯楽時間の短縮に留まらず、VOD教材にも応用できるため、同じ時間で2回観た方が、反復効果が得られやすいと個人的には思っているが、それ以上はお勧めしない。

 往時の私は現状を打破したい焦りから、フルタイムで務める傍らで、大学に在籍しながら、資格取得に転職活動と、二兎を追うものは一兎をも得ずどころの騒ぎではなく、四兎を追っていた。

 そんな全く遊びのない状態を、コロナ禍とはいえ半年以上継続したところ、本業での不摂生が仇となり大病を患い、入院、手術に至った。

 振り返れば当時の焦りは、現状維持では身体がそう長く持たないことを察しての焦りだったのだろう。労わらなければいけない時期に、ストイックな性分からダメ押ししてしまい、身体が壊れたのだから後の祭りではある。

 とはいえ、結果として二兎(短期大学士、資格)は得られ、入院と手術によって、嫌気に塗れていた本職を早期退職する口実が出来たため、現状は地方でまったりと専業学生生活を謳歌しているが、経験者として確実に言えることは、二兎以上は追わない方が良い。

 自己投資であれもこれもと思い始めたら、娯楽時間が欠乏している証拠だから、息抜き、ガス抜きも自己投資の範疇だと思って、焦らず自分を甘やかした方が良い。人生は長丁場で、壊れてからでは何もかも遅い。生き急ぐのは、死に急ぐのと同義なのだから。

 上記を踏まえた上で、本記事が時間管理の向上に役立てたなら幸いである。


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