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 かつては「世界3大モーターショー」とも呼ばれた「東京モーターショー」だが、今では少々影が薄くなってしまったようだ。

 それは日本で行われる「モーターショー」だけが年々、その展示内容、規模ともに貧弱さを増しているからだ。日本には世界的な自動車メーカーが沢山ある自動車大国であることに疑いはない。

 それだけ自動車文化が成熟し、新型車を見る目も肥えている。これまでの経緯を見て来た自動車ファンには不満を覚えざるを得ないと思う。

 しかしながらこれも軽自動車やミニバンばかりが売れ、

大型車が売りにくい日本市場の特異性や、少子高齢化が進む市場将来性

を鑑みると致し方のないことと割り切るしかない。

 あくまでそこはビジネス現場の最前線でもあるからだ。実際に目を世界に転じてみると、やはりこれから自動車が大量に購入される可能性がある市場を控えた国での「モーターショー」には、メーカーもいち早く新型車を披露して注目を浴びようとしている。

 その昔、シンガポールのモーターショーを覗いた経験はあるものの、本場のドイツや米国を別にすると、やはり2020年代において一番自動車メーカーが注目するのは、すっかり中国各地で開催されるショーになった。

 2010年代まで多くの中国メーカーが造るモデルは、お世辞にもまともな水準とは言えなかった

 中には本家本元の日・欧・米の定番ブランドの人気車種のすぐ隣に、そっくりな形でマークだけが異なる、いわゆる“パクリモデル”と言ってもいい代物が堂々と展示されているお笑いのレベルだった時期もあった。

 しかし中国の技術吸収力はハンパなく、安心をしていたら出し抜かれるのも中国。最近はどうも展示モデルのオリジナリティ、技術の進化スピードが半端ない状況になっている噂にも耳を傾けつつネットニュースをあさる。

一体幾つのメーカーがあるのかさえ不明な中国の自動車

 資本力を付けたメーカーはどんどん欧米メーカーを手中に収めていて、徐々に優劣がつき始めたのもひたひたと後ろから迫ってくるような恐怖感を感じる。実際に国際的に評価を得られているモデルが複数登場し始めているのは事実の様だ。

 まあ日本で走っている訳ではないので、あくまで自分の眼で確かめるすべはなく、あくまでも評論家諸氏の話が中心なのではあるが。

 中国は党の方針と決まったら、国営企業から民間、半官半民企業までが、法制なども後押しする国策として強力に推し進める。新幹線がその好例だ。日本とドイツからの技術移転からわずか10年足らずで、世界一の新幹線大国になってしまった。

これからはEVが世界の勢力図を間違いなく変える

 各国のショーの雰囲気から感じたことの1つに、今年あたりが本当の意味でも「EV(電気自動車)元年」になるのではないかということだ。欧州ではあれだけ一世を風靡していたディーゼルエンジン車だが、ドイツ車が自らの不正発覚から一転、各国の規制の対象になってしまった。

 全く皮肉なものである、それどころか日本が得意としてきたハイブリッドエンジンは環境規制の適応外として、米国の複数の州で除外されることになる傾向も想定外の展開に感じる。いつまでハイブリッドエンジンがセンターを守ることが出来るのか

この「大転換」は果たして日本のメーカーに影響をもたらす

 もちろん部品メーカーにとっても、次世代の開発チームに選ばれるか否かで将来が決まってしまう。

 昨年はそういった意味で、欧米の高級車ブランドからも相次いでEVの新モデルが発表されたことは注目。また中国が国策でEVに舵を切った最初のモーターショーで、EV一色が鮮明になった。この動きが他の主要な国々に相次いでEVを奨励する政策につながった。

 これまではどちらかと言えば、バスやタクシーなど商用車から普及が進み、そこに米国から現れた「テスラ」のようなベンチャー企業が絡んで新コンセプトの車を発表される流れが目についた。

 国内では長年のガソリン車から進化したメーカーの考え方では、充電などのインフラの問題やバッテリーの性能によって制限される航続距離の短さがネックとされていたが、草々に日産自動車がEVシフトを鮮明に打ち出す。

ではトヨタ自動車がどう出るのか。中国メーカーと組む戦略もひとつ。

豊田章男社長は「クルマからモビリティの会社へ変えることが目標」と宣言。協力会社を巻き込みながら、いったい来年に掛けてどんな一手を打ち出すのか興味が尽きない。

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