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読んだ本についての感想集

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読んだ本についての感想集を集めました。
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無人島のふたり〜120日以上生きなくちゃ日記〜 山本文緒

無人島のふたり〜120日以上生きなくちゃ日記〜 山本文緒

私は夫婦共に健康で「死」がリアルに迫ってはいません。
ただ、ここ数年の間、近しい人の死を目の当たりにしていたり、老い、ということを考えたり、以前よりも死については、より深く考えるようになりました。

本とは。

本を読みながら筆者と会話すること。

山本文緒さんは、がんで余命宣告をされてからの生き様をリアルに、時に面白おかしく、この本に残しました。

いまリアルに死へと歩んでいく人がいたら、その共

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東野圭吾「天使の耳」

東野圭吾「天使の耳」

現実にもありえることではあるけど、あくまで「フィクション」だということを頭にいれて、その上で人々の運命の急転×交通安全ミステリーを楽しんでもらえたらと思います。
登場人物にふりかかる悲劇を考えると不謹慎な気持ちになるかも知れません。
「フィクション」ということを忘れてしまうと後味の悪さが消化しきれないような感じになってしまうと思います。

エンタメと思って楽しんで読んでみてください。

この作品は

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<晴れた日には鏡を忘れて>五木寛之

<晴れた日には鏡を忘れて>五木寛之

淋しい冬の海。隠岐の民宿で働く牟田口アカネは、自分の醜い容貌に絶望し生きていた。彼女が待っていたものは、まさに<なしくずしの死>

私は、生きる意味、人生の意味ということを考える上で、その対極の立ち位置にある言葉は<なしくずしの死>だと思ってます。
<なしくずしの死>を生きていくことと、人生の意味を考えて生きていくことは対極にあるのではないかと。
生きる意味を考えていきたい私にとって、10数年前に

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「傲慢と善良」 辻村深月

「傲慢と善良」 辻村深月

この本は「圧倒的な支持を集めた恋愛ミステリ」という表現で紹介されているのをよく見かけます。
私は、この本は恋愛小説として楽しむ、というものではなく、自己理解と他者理解を恋愛小説を通じて学ぶ、そんな小説と思いました。
巻末には朝井リョウさんが解説されていて、これも学びになります。
この小説はヘビーなのである、と朝井さんが言っており、これを念頭に置いて読むことをオススメします。
朝井さんの解説の言葉を

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神に愛されていた 木爾チレン

神に愛されていた 木爾チレン

神に愛されていた 木爾チレン

twitterで見かけて、本の帯に書かれていた内容や、読書アカさんの感想を見て、読書スイッチがONになりました!

蔦屋家電でスタバラテを飲みながら一気読みしました。

Xのつぶやきで印象に残った表現達。
・二人の女性作家が、自分自身の才能を強く信じて生きた物語。
・他者の想いの背景に気づけないのも人間らしさと言うべきなのでしょうか、、、切ない。
・羨望がすごい、嫉

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サキの忘れ物 津村記久子

サキの忘れ物 津村記久子

サキの忘れ物 津村記久子
短編集。
表題の「サキの忘れ物」についての感想です。
周りに流され生きてきた大学生の女性が、アルバイト先の喫茶店で、お客さんが忘れていった一冊の本を手にします。
それは色んな物事や人間関係において受け身で生きてきた、そして誰からもまともに取り合ってもらえなかった主人公・千春が、「サキの忘れ物」との出会いをきっかけに、人生初の(物語の流れ上、こういう表現があいそう)小さな一

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