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れんこん
2023年3月1日 17:43
(「コンビニと私と」の続き)入ってきたのは見覚えのある出立ち。おじさまだった。こちらにある陳列棚にまっすぐ向かってくる。まずい!私は急いで店員さんから賞品を受け取り、1等のぬいぐるみを脇に抱えて店から出ていく。必死に下を向いていたので、どのタイミングでおじさまとすれ違ったのかは分からない。地面のアスファルトの色が移り替わっていく。気がついた時には、コンビニが遠くの方で光っていた。
2023年2月28日 21:55
最近は厳しい寒さが、鞭のように顔に打ちつけてくる。今の私の現状にも鞭を打ってるかのようだ。マッチングアプリを入れて、1ヶ月が経とうとしていた。たしかに、いろいろな男性と出会えたのは良かった。しかし、誰かに会うたびに、自分にペンキを塗りたくったようで、少し疲れてしまったのだ。私は少しのもの悲しさを抱えて、コンビニに入った。周りを見ておじさまがいないのを確認する。今日のお目当ては、今日から始まる
2023年2月26日 20:17
コンビニの冷えた陳列棚が、じっくりと私の表情を凍らせている。ついでに心も冷えそうであった。つい先日、親友と電話してる時、喧嘩をしてしまった。喧嘩というか、私が一方的に不機嫌になってしまったのだが。その親友は小学生の頃からの仲であり、驚くほどに気が合った。なので尚更気分が沈んでいる。今週もおじさまは、ビールのお供に合うおつまみを探しているようだった。その長い足で何度も行ったり来たりを繰り返して
2023年2月25日 00:30
私は、街中で連呼される「○○の秋」と、鼻の詰まり具合で今の季節を感じていた。風情なんてあったものではない。この歳になると、コンビニに置いてあるご祝儀袋が無意識に目につく。今の世の中の結婚観に不満を抱いてるわけではない。ただ、友達と話してる時、恋バナのネタを提供できない自分に、虚しさと無力さを感じるのである。マッチングアプリも勧められたのだが、言葉では言い表せない抵抗感があった。そうして私は
2023年2月22日 20:13
飲み会帰りの少し浮ついた足元で、私はマンションへと向かう。『お願い』この言葉に弱い私は、合コンの帳尻合わせだと分かっていても行ってしまう。好きで行ってるはずなのに、終わった後のモヤモヤは何なのだろう。マンションの扉が渋るかのように重々しく開いた。エレベーターに誰かが乗ろうとしているのに気づいた私は、駆け足で向かう。しかし、私の目の前でエレベーターの扉は完全に閉まった。その瞬間、
2023年2月21日 19:06
毎週の恒例行事に、私の足が勝手に早くなる。疲れているはずなのに、全く感じない。何事も慣れてしまうのは怖いことである。コンビニの外、今日も光に包まれたおじさまがいる。秋が近づいているのを感じさせない気温の中、手にはまだ開けられてない缶ビールがある。プシュッと音がしたような気がした。おじさまの缶ビールから泡が溢れてくる。開ける前に落としてしまったのだろうか。しかし、おじさまはいつものこ
2023年2月20日 20:20
私は、仕事帰りに今日もコンビニに向かう。今日の仕事のミスと、帰ってからの家事のことを考えると、地味な重さの足枷をつけられているようだ。時折、私は何のために働いているのだろうかと思う。金。即答してしまう私はまだ未熟なのだろうか。コンビニの光が目に突き刺さる。あれ、おじさまがいない。私の全身に、隠れていた疲れが一気にのしかかる。行くのを止めようとしたが、ちょうど食器用洗剤を切らしてい
2023年2月19日 21:04
私は毎度のように、沈みかけた太陽の中、コンビニに向かう。行きすぎて、きっとパートやアルバイトの人に覚えられているだろう。少し恥ずかしい。お目当ては、毎週のように出るめちゃうまスイーツと言いたいところだが、本当は違う。コンビニが見えてきた。いた!心の中でチャンピオンのように拳を上げる。コンビニの外の端の方で、40代ぐらいの色気と哀愁がダダ漏れおじさまがいる。缶ビールを飲んで携帯を見