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正義感が強くて明るいお母さんがいきなり鬼のように恐ろしい女将に変わったら俺は腰を抜かす。

「サヨナラまでの30分」っていう邦画を観た。

2020年に公開の映画で監督は萩原健太郎さん。主演は新田真剣佑さんと北村匠海さん。 その北村匠海さんのお父さん役を筒井道隆さんがやっていたんだけど、彼らしい優しい役柄だった。とても安心した。

というのもだ。
筒井さんは「半沢直樹」で気が違ったんじゃないかと思うくらいめちゃめちゃ嫌なクソ野郎をやっている。そのクソ野郎ぶりがやたら上手いのだ。普段の彼の優しそうな表情など1mmも出てこずに、非道な人非人の腹立つ演技のオンパレードなのである。

筒井さんが悪いわけでは全然ないが、見ているこちらは異常にムカつくのである。子供が小さくて学校に通っていたらいじめられてしまうんじゃないかと心配してしまう。プロの役者がすごいのはわかるのだが、俺は安心して作品が見たい方なので、なんだかなあ、と思っている。

もう一つある。
ドラマ「私たちはどうかしている」に出演中ので観月ありささんだ。
彼女がそこで鬼のように恐ろしい女将の役をしている。これもまた最上級に嫌なやつが練られ過ぎていて物凄い。最初はあんまりいつもと違い過ぎて話が入ってこなかった。

”芸の幅が広い” みたいな感じで、役者としてはとてもいい評価になるのかもしれないけれど、俺はこの間やった日曜ドラマの「捜査会議はリビングで」のときの正義感が強くて明るいお母さん的なほうが見たいんだよなあ。

こういうのを見ると、ある人間が突然豹変したようで、怖いのである。
昔のヒーローもののドラマで、やさしい人間だと思って子供達がついていくと急に怖い化物に変化(へんげ)する場面があった。まさにあれではないか。怖い怖い。

結局一番怖いのは、幽霊とかお化けじゃなくて、人間そのもの、もしくは人間に見えている物、だからな。

正義感が強くて明るいお母さんがいきなり鬼のように恐ろしい女将に変わったら俺は腰を抜かすかもしれない。いや、抜かす。絶対。


※写真は「なしごれん」


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