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東大生が教える、超ネガティブな英語勉強法 Vol.0

日本人は、これほど発達した教育システムと出版文化があるにも関わらず、英語が喋れないといわれて久しい。特に英会話になると苦手意識を持っている人が多い。

外資系金融で働き、日ごろから「結論から言え!」などと口酸っぱく言っているあの人も、いざ英語でしゃべらせると回りくどくてトンチンカンな渦巻き論法で喋りだす様だ。

なぜ、日本人は英語が喋れないのだろうか。そしてどうすればビジネスで使えるような「生きた」英語を話せる日が来るのだろうか。

前提として、私は大変ネガティブだ。本当にやる気のない人は読まないでいただいて構わないし、救いようのない人をネイティブのように話せる劇的な英語勉強法を伝授できるわけでもない。

このシリーズでは、私が英語を学ぶ上で重要だと思うことを数回に分けて書いていく。

今回は、題して「英語を話せるようになるために諦めるべきこと」について話す。鼻から消極的なタイトルで申し訳ないが、まずは日本人が捨てるべき先入観について解説していきたい。

①目標を下げろ!

まず諦めるべきことは高い目標である。英語学習にせよプログラミング学習にせよ、多くの人は目標を高く設定しすぎて挫折する。人間は、短期的な目標を高く設定しすぎ、長期的な目標を低く見積もりすぎる動物だ。一年後にネイティブのようにかっこよく喋るようになりたいという目標は捨てよう(あなたが中級以上である場合は別だが。。)

まず、やるべきは、自分の人生でどの程度の英語力が必要かを把握することだ。それが、海外の取引先との淀みない交渉のレベルなのか、インバウンドの観光客を案内できるレベルなのか、道を聞かれて案内できるレベルなのか、海外旅行で気になる人をナンパ出来るレベルなのか。それによって目標の高さは変わってくるはずだ。

そして、自分が英語を駆使している場面をできるだけ想像しよう。例えば、ビジネスレベルで英語を習得したいなら、メールの書き方、電話対応、クレームの回避のしかた、緊張した空気を和ませるジョーク、株価の値動き、価格交渉での決め台詞など、自分の職業によって使う語彙のレベルも使うべき表現方法も変わってくる。まずは自分のなりたい未来を英語抜きで想像することが重要だ。

そうすれば、自分がたどり着くべきレベルが何となくわかるはずだ。とりあえず何となくTOEIC800という目標もいいが、それがどんな場面でどのように役立つレベルなのかを想像できないならば、学歴だけが独り歩きする悲しい状況になる。

砂漠の中では100万円の小切手よりもすぐに飲める水の方が価値がある。英語の資格やテストスコアはあくまでもいざというときの証明であり手段でしかない。自己目的化しないように気を付けよう。

②モーラを捨てろ!

モーラを捨てろと言われても、そもそもモーラが何か分からない人がほとんどだろう。

モーラとは日本語において音を数えるときの単位である。「えいかいわ」は5モーラ、「カッパ」も3モーラである。私たちが自分の名前の音数を指で数えられるのもモーラの中に生きているからである。

英語やフランス語、ドイツ語などのヨーロッパの言語にはモーラはない。代わりに「音節」なるものが存在する。例えば、

ice cream は2音節だが、「アイスクリーム」は7モーラである。日本語のようにアイスクリームと発音するとネイティブの人には

AISU KURIIMU~と聞こえてしまうだろう。音節は初心者にはわかりにくいが簡単に言うと母音の塊の数だと思えばいい。

ice は「アィs」、creamは「kリーm」と言った塊だ。sやkやmには母音が乗ってないので、ちょっといい間違ったとしても全体の響きから理解してもらえることが多い。逆に音節の数を間違うと何度言っても伝わらない。

小難しい話をしたが、要は英語は音の塊のつかみ方が日本語と大きく違うんだ、そして伝わらないときは音節の区切り方が間違ってるのかもしれないと疑ってみようというくらいの心がけでよい。

③単語帳を閉じろ!

せっかく買った本を捨てろとまでは言わない。ただ、単語帳を暗記する単語テストのための勉強からは一度離れないといけない。

これはある程度単語の勉強をやりつくした人へのアドバイスだ。1単語も英単語を知らない人はまずは単語帳から始めよう(笑)

単語帳を最初の一ページから順々に覚えていっても、とっさに言いたいことに直結する単語を言えるようになるトレーニングにはならない。

私の知り合いで、私より何倍も努力して英単語を覚えようとしている人が多くいるが、大体の人は英語が話せない。「音読式にすればよい」とか「知っている単語は飛ばしてよい」「何かに連想させて覚えよう」とか方法論の改善の話はよく出てくるが、そもそも単語帳を暗記しようというアプローチが英会話にはほとんど効果の無い方法だと思う。

では、どうすればいいか。それは、ボキャブラリーマップを作ることだ。

マップ、そう地図だ。実際には、人生ゲームのボードのような見た目になるが、あなたが何かを話すときにその手助けをしてくれる。

ボキャブラリーマップについては、次回詳しく話すが、簡単に言うと、自分が言いたいテーマに関する語彙や表現を一つの紙に纏めたものだ。ただまとめるだけではなく、話す内容を話す順番に書きだす。あなたの言いたいことが紙の上に可視化されるわけだ。芸人のネタ帳だと思えばいい。面白い芸人のとっさのギャグも日ごろから書き溜めたネタが他の芸人との掛け合いによってきらめく芸術だ。英語も同じように、「この話すれば面白いかも」「この言い回しだと伝わらないかも」「これって滑るかな」なんて想像しながら書き溜めていき、必要なら単語帳や辞書で語彙や表現を足していくのである。


まとめ

いかがだっただろうか。

英語とはツールである。学生時代、ちんぷんかんぷんだった英文法も「言いたいことベース」で考えると理解しやすくなるし、何を学んで何を学ばなくてよいかを精査することができる。

自分が英語を使って楽しく外国人と話している場面を想像しよう。できるだけリアルに想像すればするほど、あなたの英会話力は理想に近づける。



サムネイル参照:Mahesh PatelによるPixabayからの画像

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