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この場所には夏の始まりも終わりもない。

日本からおよそ20時間、

飛行機を乗り継いでたどり着くカリブ地域に、私というちっぽけな存在は、在る。


18歳の頃、「フェアトレードに関わるお仕事がしたい!」とか言って目指した国際系の私大に見事に落ち、

まあ半ば、やたら国公立を目指させた教員達や、浪人を勧める家族への反抗心もあり、みんなと違う道に行く。と、外に出ることを決めた。

流れ着いた就職先は、数年後に海外勤務が前提とされた職場。

仕事で世界を回れるなら最高じゃん?と思い、これまた99.98%は勢いで上京した。あの頃の私は単純だ。そして若くて勇敢だ。


そんな私の東京生活4年と、まだまだ続く海外生活を綴りつつ、

感性の似た方とも真逆の方とも、縁できれば嬉しい。

そんな気持ち。うん。



さて今日は、季節が始まること、終わることについて。


私が滞在している国は常夏国だ。

もはや季節という概念さえ忘れてしまいそうなくらい、毎日暑い。日差しが強い。服装も大して変化がない。

それでも、SNSをとおして日本の四季を覗くことができる。


あぁ、真っ青な緑の季節は終わって

あの涼しげな風が吹いて金木犀が香り始めるのか。

そんなことを思っていたら、知らぬ間に紅葉なんて無くなっていて

皆んなマフラーにくるまって、キラキラしたイルミネーションを見始めていた。


いいなぁ。


写真を撮ることが好きな人は共感してくれると思うけれど、

切り取りたい世界がある限り、季節を感じることはもはや使命でもある。と、思う。


だからだろうか、

私はこの国の気候は好きだけれど、やっぱりどこか

あの期待感の溢れた、花火を連想させる蒸し暑い「夏の始まり」と

大きな青春が過ぎたような、そんな気のする生ぬるい風が吹く「夏の終わり」

それを感じたくて仕方がない。


当たり前に訪れていた季節の移り変わりが無くなって、とても日本が恋しい。

これから始まる春も、私は感じることができないけれど

いつかこの国の「終わらない夏」の匂いも、恋しく、懐かしく思う日が来るんだろうか。



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