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猪木・馬場・三沢ではなく、自分が泣いている人の話


はじめに

私は、アントニオ猪木、ジャイアント馬場、三沢光晴、橋本真也といった、プロレス団体創設者で構成に残る名レスラー達を通らないまま、2015年春にプロレスファンになった。

ファンになる前から上記の4選手は知っていたけれど、地上波深夜に放送されていたプロレス中継やバラエティー番組で見聞きしていただけで、この中で映像で試合を見たことがあるのは三沢光晴だけである。


でも、私がプロレスそのものに対して本格的にハマったのは、2015.1.4の新日本プロレス東京ドーム大会で行われた『中邑真輔vs飯伏幸太』がキッカケだった。つまり、創設者の猪木は私にとってキッカケではない。


その後、全日本プロレスやプロレスリング・ノアも見るようになったが、このキッカケもジャイアント馬場や三沢光晴ではなく、諏訪魔や大森隆男、杉浦貴の試合を見たからだった。


気がつけば、女子プロレス団体やインディー団体、学生プロレスやアマチュアプロレスも観戦するようになり、最早「どこの団体や選手が一番好きなのか」が自分でも分からなくなっている。


そうして色々見るようになった中で、今一つピンと来ない話がプロレスでは定期的に噴出してくる。

「猪木が泣いてるぞ!」

「馬場が泣いてるぞ!」

「三沢が泣いてるぞ!」


所謂、団体創始者であり物故者を泣かして、今の団体やプロレスの内容を批判する論調だ。

こうした意見が出てくる時に、大概私が思うのは「泣いているのは猪木や馬場や三沢ではなく、そのように言っている人自身の心なのだ」ということだ。


自分が泣いているなら、場所を変えればいい

私は、その団体の内容や方針が合わなかったりしたら、その団体等から離れてみる事が肝要ではないかと感じている。

以前、ナインティナインの岡村隆史が「嫌なら見るな」という発言があったけれど、今ならその意味が分かるような気がするのだ。


そもそもプロレス観戦なんて、自ら稼いだお金を払って観に行っている事なのだ。払いたくないコンテンツに金を出さない事は逃げでは決してなく、寧ろ健全な行動ではないか。
そこで無理に残って不満を述べるよりは、心と財布をすり減らさなくて済む。


私自身、過去に何度かそういうことを感じて、実行した経験がある。

2015.7.18にプロレスリング・ノア後楽園ホール大会で行われた『鈴木みのるvs高山善廣の試合後に、リング上にペットボトルが投げつけられる大荒れの雰囲気を目の当たりにして、「この光景を見続けてもキツいし、しんどい」と思ってしまった当時の私は、そこから1年以上にわたりノアの現地観戦から離れてしまった。

今は私が年間で一番多く観戦しているプロレスリング・ノアでも、当時は意識的に観にすら行かない時期があったのだ。
今では到底考えられない話なのだが(笑)、ファン歴を重ねていくうちに考え方が少しずつ変容していった事も私にとって大きかったような気がしている。


2015年から観戦して、親兄弟を連れて行ったり、毎月の後楽園には殆ど足を運んでいたりした時期のあるDDTプロレスリングについても、2019年1月~11月まで意図的に観に行かなかった時期がある。

その前から好きな選手の扱われ方に対する不満だったり、段々団体のテイストと自分の嗜好が合わなくなったりする中で心が離れつつ、それでも無理して残って見続けていた私だが、10カ月以上離れていたのは理由があった。


それは、所属選手にSNSでブロックされたから、である。


今思うと凄く女々しい理由だし根に持ち過ぎだろうと思う訳だけれども、その時期に行われた大田区総合体育館や両国国技館といったDDTのビッグマッチに見向きもせず、真裏の興行を観に行くようになっていたくらいなのだから、とにかくもう徹底的に避けて忘れようとしていたのかもしれない(笑)。


そんな私がDDTの会場に戻ったのは単純な理由だった。

2019.11.3の両国ビッグマッチで、自分の好きな選手同士によるタイトルマッチが組まれたからである。
(『関根龍一vs高梨将弘』)


そして、その日のメインで行われた試合に出ていた、私をブロックした選手の試合の凄さを目の当たりにした瞬間に「ブロックされてるから観に行かない」という意固地な理由はいつの間にか吹っ飛んで、負けてしまったその選手の試合を見る事に抵抗が無くなっていた。


「観に行かなくなる」という行為はネガティブに感じられるのかもしれないけれど、もっとカジュアルに出たり戻ったりしても良いんだと思う。

意図的に観に行かなかった時期を経て、私はそんな境地を会得していた。


まとめ

団体に対する内容や対応への不満は、抱いても良い感情だとは思う。

問題は、その主語を自分ではなく、猪木や馬場や三沢、或いはファン全体といった大きな存在に置き換えて表明してしまう所にあるのではないだろうか?


嫌なら自分を主語にしてほしいし、キツい事が好きな場所で起こっているのなら離れる事も選択肢の一つだと私は思う。
だって、貴方の時間や金銭は有限なのだから。


言い方はアレかもしれないが、その使い道が別のプロレス団体で無くたって良いと私は考えている。

私の周りだけでも、コロナ禍以降、プロレスファンだった人達の中には様々な理由でプロレスの現場から離れてしまった事例が少なくないと感じているし、私自身もコロナ禍にプロレス以外の趣味(自炊、ライブ鑑賞etc)を見つけた事で、そこへの比重が強まった事実は否めないからだ。


そんな私は、猪木や馬場や三沢ではなく、自分の財布が泣いている…。
何故ならば、行きたい場所や趣味が増えたからだ。

サッカー、ライブ、飲み会etc、プロレス観戦に行かない休日も増えてきた。
そんな私には、イマジナリー猪木・馬場・三沢を泣かせている暇も時間も無いのである。


だから、私は必死に稼がないとね・・・。
(´;ω;`)ウッ…


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