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バイリンガル赤ちゃんの超能力、第二言語は学んだほうがいい?

生まれがカナダなので、小さい時から英語と日本語に触れながら幼少期をすごしていました。家の中では日本語で喋り、学校では英語を学んでいました。おかげで発音やリスニングに困る事がなかったのですが、実は喋り始めるのが少し周りと遅かったと知り、”バイリンガル”について定期的に新しい研究を探すのが趣味になりました。

その中で今回見つけたおもしろい記事を一つ紹介しようと思います。


去年発表されたばかりの研究で、100人以上の子供たちを観察し、彼らの注意力テストをするという実験を実施しました。すると、早いうちに言葉に触れることで赤ちゃんの脳をさらに発達させ、生後1年間の非言語認知機能(やり抜く力、目標に向かって頑張る力、自制・自律性、自己肯定感、他者へ配慮、コミュニケーション能力、論理的な思考力 etc.)にも影響を与える可能性があることを意味しています。

しかし、二つの言語を習うとなると、倍の言葉や文法、発音を学ばないといけないので一部の小児科医は子どもたちに 2 つの言語に触れさせないようアドバイスされるケースもありますが、実際には二つの言語を幼い頃から触れるというのは脳の特定の部位をモノリンガルの人よりも発達させ、バイリンガルの子供たちは母国語を話す前に他の言語の違いを耳で判別できるようになります。このスキルは、計画性や行動の先読みをする力を担当する脳の特定の部分を強化するのに役立ちます。

この特定の部位というのは、左脳にある左前頭皮質と呼ばれる場所で、位置は左側のおでこの後ろにあたります。主に言語の生成を行う働きをしますが、左前頭皮質で怪我をした場合には人格が変わったり、我慢ができなくなったりする、とかなり重要な役割を担う部分です。

人は思考や行動を行う時、必ず特定の部位だけが働くことはありません。

例えば、道を歩いてるときは無意識のうちに体を動かしていますが、後ろから自転車のベルを鳴らされたときにはその音を判別し、道の端によって突進されるのを避けます。これらの行動は全て違う脳の部位で行われており、そして、ベルを聴いたときには「自転車が来る」「避けないと危ない」といった記憶やルールを思い出すこともまた違う場所で判断し、行動に移されます。

したがって、脳の様々な部位が反応しあうことで人と話したり、運動をするといった複雑な行動ができます。

その様々な部位のことを「領域」と呼び、領域同士で共鳴して言葉を話すことができますが、この実験でわかったことは、6か月の時点では、モノリンガルもバイリンガルも2つの領域でしか言語に反応することはなかったのですが、バイリンガルはモノリンガルよりも多くの領域を利用していたことがわかったのです。

バイリンガルは 8 つでの領域を利用し、モノリンガルは 4 つの領域を使っていました。よって、バイリンガルの脳では多くの領域が言語発達に介入していることから、より言語能力の向上に役立つことがわかりました。そして、バイリンガルは先ほどあげた左前頭皮質が多く活用されており、これが非言語認知機能に大きな影響力を与えます。

例えば、バイリンガルの子供たちは、話すときに 2 つの言語の単語を混ぜることができる能力を持っています。これは「コードミキシング」と言われていて、その様子は子供が言葉に混乱しているように見えることがあります。しかし、実際にはこれは言葉の創意工夫をしている様子ということでした。

二つの言語があるから喋れないというわけではないということです。

しかも、面白いことに二つの言語を扱える事ができるため、その場面ごとにより適切な言葉を当てはめる事ができるので、表現力が豊かになることもあります。アメリカ国立医学図書館によると、生まれた時から 2 つの言語に触れていた人は、発音が良く語彙力も豊富で、モノリンガルよりも言葉の扱いに優れている傾向があるそうです。

さらに二つの言語を扱える事から、複数の文化に小さい頃から知ることで、将来的に社会的能力の向上に影響を与え、他者との共感性や社会的行動への意識が高まることが明らかになりました。

それから、一番大事なことですが、言語学習能力は年齢を重ねるごとに低下しますが、何歳になっても新しい言語を学習することは可能です。正しい方法を使用し、それに取り組むことで、年齢に関係なく、誰でも熟練したバイリンガルになることができます。

何より、新しい言語を学ぶことは脳への発達に良い影響しか起きないので、ぜひ挑戦してみてください。


やっぱり、肯定感を高めてくれるような記事は読んでて楽しいですね。

実際、家族と話していると、英語と日本語がごっちゃまぜになって何を話しているのかわからなくなるので、定期的に日本語と英語を照らし合わせる作業が必要で常に携帯を手に持って話していますw

それから、日本語を使った文章を書くことで日本語を忘れないためにも始めたこのブログでは様々な表現を調べ直したり、常に間違った言葉を使わないよう意識し続けることで、いつか将来就くことになるであろう仕事に数少ない私のスキルであるバイリンガルが現場で役立てる日が来たらいいなぁと改めてこの記事を書きながら思いました。

この記事が新しい発見につながるきっかけになれたら嬉しいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


参考文献:

https://www.thenationalherald.com/the-bilingual-hidden-superpower-bilingual-infants-think-and-learn-differently/

元論文:
Arredondo, M. M., Aslin, R. N., & Werker, J. F. (2021). Bilingualism alters infants’ cortical organization for attentional orienting mechanisms. Developmental Science, Volume 25(Issue 2). https://doi.org/10.1111/desc.13172

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