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「日本列島」に住む人間がこの先どんどん「入れ替わっていく」という現実

「海外に永住する日本人」の数が過去最高になったというニュースがありました。

ただでさえ少子化が進む中で日本人がこれ以上海外に移住するのは由々しき事態だと懸念する方もいらっしゃるかと思いますが、実は同時に逆の現象も起きています。

それは「日本に永住する外国人」が増え続けているということです。

下のグラフを見ると、コロナ禍にもかかわらず「永住者」の資格を持つ外国人は右肩上がりで増加していることがわかります。

そして今では「海外に永住する日本人(約55.7万人)」よりも「日本に永住する外国人(約85万人)」のほうがはるかに多くなっています。

出入国在留管理庁公表資料より

まあ日本列島に生まれたからといって「日本が合っている」とは限らないので出ていく人が一定数いるのは自然なことですが、それ以上に様々な理由で海外から日本にやってきてそのまま住み着く人もいるというわけです。
(かくいう私もその中の一人です)

余談ですが、日本は建前上「移民を受け入れていない」ことになっていますが、外国人が合法的に日本の永住資格を取る方法はいくらでもあり、はっきり言ってアメリカの永住権を取るよりもはるかに簡単です。

もしこの先もこの傾向が続き、「出ていく日本人」以上に「入ってくる外国人」が多くなるといずれ日本列島に住む人間は今とは全く別の人種になっているかもしれません。

そうなると「日本古来の伝統や文化が壊される!」という声が出そうですが、個人的には日本列島に住む人種が仮に大きく入れ替わっても、「日本の文化」そのものは大きく変わらないのではないかと考えています。

というのも、日本にはすでに「人が入れ替わっている」という実例があるからです。

それが日本の伝統文化である「大相撲」です。

大相撲は日本発祥のものであり、長い間「日本人(日本出身という意味で)」だけで行われてきましたが、今では多いときで幕内力士の3割が外国出身者で占められるようになりました。

そして「伝統を守る側」の親方衆にも外国出身者(日本国籍を取得)が増えており、そのうちトップの理事長も外国出身者になる可能性があります。(元横綱白鵬の宮城野親方が理事長に就任すれば実現します)

では大相撲の伝統が壊されたかというと、いくつかの「小さな変化」はあっても伝統そのものはしっかり守られています。

もちろん古参のファンの中にはちょっとした変化でも「伝統を破った!」とお怒りの方もいらっしゃいますが、大相撲の長い歴史の中でそれ以上の変化はいくらでもあったので別に「外国出身者が伝統を破った」ということではなく、単に時代に応じて「アップデート」されたと捉えることもできます。

実際に大相撲では一時的に客が減ることはあっても時が経てば国技館は再び「満員御礼」になりますので、例え古参のファンが離れてもそれ以上に新しいファンを獲得し続けることができています。

相撲の他にも日本には「後世に残したいもの」がたくさんありますが、それらは必ずしも「日本出身の人でないと守れない」というわけではありません。

例えば各地方の伝統的な行事を外国人が担っているというケースがあり、あの有名な秋田の”なまはげ”も中の人は外国人留学生だったりします。

他にも歴史ある日本酒の酒蔵の杜氏がイギリス人ということもあります。

そんなわけで、日本列島に住む人が入れ替わっても伝統文化が廃れることを心配しなくても良いかもしれません。

むしろ入れ替わるからこそ伝統文化が「アップデート」され、時代が変化しても生き残っていくことができるような気がします。

そもそも人間は生まれた土地で一生を過ごさなければいけないものでもありませんので、日本が合っているなら日本に住み、海外が合っているなら海外で住めば良いと思いますが、「日本に永住する外国人」が増え続けるということは「日本人が気づかない日本ならではの魅力」があるということです。

相変わらず日本に関するネガティブな話はたくさんありますが、ポジティブな面に着目することができれば日本もまんざら捨てたものではないと思います。

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