その"ありがとう"は私が言われたかったな
今日は気持ちを素直に書き出そうと思います。とても小さいけどなんだか考えてしまう出来事がありました。
私は遠距離恋愛をしています。お相手の方は何800キロ離れた遠い地に住んでいます。息子とも仲良くしてくれる替えがきかない存在です。
先週は長い時間を一緒に過ごせて距離がグッと縮まりました。実際に会うとやっぱり違うもので、電話だとすれ違いが起こる場面でも顔を合わせればなんてことありません。
さらに私たちはいま結婚目前でこれから家族になろうと転機を迎えています。1番盛り上がる時期なんて表現もありますけど、穏やかに、でも相手を大事にできる時間が多いのでそうなんだと思います。
もうすぐ一緒になれるんだね、うれしいね。そんな気持ちで日々を過ごせることが出来ていました。
昨日は彼が職場の人に息子の動画を見せていたみたいで「来年のお年玉頼んでおいたよ」なんて冗談を交わして、笑い合っていました。きゃっきゃうふふです。
それが今日、夜に着信が2件入っていました。たしかにいつも電話する時間。けどお風呂上がりで髪を乾かしたり息子の世話をしたりでスマホを見れていませんでした。
"この時間にお風呂に入ってることはよくあることだし分かりそうなのに、なんで2回も着信…?"
1回着信を残してからそんなに時間がたたずに2回目がきていました。折り返しをして電話に出れなかったことを謝ります。
けど、なんか声のトーンがちょっとおかしいんです。
"怒ってる?"と聞きました。この言葉で"あなたは今機嫌が悪そうに思えるけど、なにかあった?"と様子を伺います。下手に出るみたいであまり好きではないんですけどね。
「いや、怒ってないよ」そう言う彼の口調は変わらず暗くて気になってしまいます。いつもなら息子が話すのを真似て息子が2人いるみたいな空気なのに、今日は黙っている。
"今日は疲れたの?"と聞いたら「疲れたねぇ…」って気持ちが乗った声が返ってきたので仕事でなにかあったか、シンプルにとても疲れたか、とにかく何かあったんだと察しました。
だからといって彼は愚痴ることはしません。付き合う前はもっとフランクにいろんな話してくれてたのにな、今の仕事は私が知らないことがたくさんあるから言っても仕方ないと思われてるのかな。そう感じて少し寂しくなります。
昨日まで明るかった彼を取り戻すきっかけはなんだろう。
今日も同じように明るく過ごしていた私はちょっと話しづらさを感じます。明るく振る舞ってそれが伝染するならそれでいいんだけも、違う気がしました。
電話は繋げたままで黙っていると、カタカタカタ…と音が聞こえます。
仕事をしているんだろうか。ゲームのコントローラーの音だろうか。気になるけど質問しすぎると過干渉なお母さんになりそうなタイミングかと思い、カタカタ音を聞きながら息子と遊んでいました。けど気になる。
息子が一人遊びを始めたら電話を繋げていても沈黙が訪れます。すると彼が小さいけどとても嬉しそうな声で「うわ…ありがとうございます…!」と言いました。
え?まだ職場?誰かと一緒にいる?明らかに様子の違う彼の態度で今までの会話が誰かに聞こえてたかと思うと恥ずかしくて、"今どこにいるの?"と尋ねました。「家」と彼は答えます。
"えっ…でも今…喋ってたよね?え?どういうこと?"と尋ねると「LINEが着て喋った」とだけ答えます。
アレクサだってもう少し話すような気がします。"何か探してる?手伝おうか?"みたいなスタンスで聞いてくるときもありますもんね。けど彼は質問に対していつもスマートです。
そしてこの瞬間に"私じゃない誰かが彼からのありがとうを受け取ったんだな"と理解しました。
ここまで私に何か質問があるわけではなくて、勝手に私が話している時間があるだけです。これもいつものことで、そういうあっさりした部分がある人なのは知った上でお付き合いしています。
いや、わかってる。わかってるけど彼の心の鍵を見つけるのは私であって欲しかった。質問をして、適切な距離で心を開かせるのはいつだって私の役目でありたかった。
そんな気持ちで彼のきっかけを探せなかった私は落ち込んだので、一方的な会話にイライラしてしまいそうで"今仕事してるなら電話切る?"と聞きました。
彼が仕事が残ってるから今日は電話しない、と言うことはありません。だから仕事をしていても電話は繋げています。が、「うん」と返事がきたのでそこで今日は電話を切ることにしました。
伝えきれなかった想いを短文メッセージにして送りました。が、返信はない。読んだことがわかる既読がついてたので言葉は届きました。想いはどうなんだろうね、伝わってるといいよね。
こうつらつらと書いていくと私は相手の全てのきっかけになりたいとすら考えていることに気づきました。うれしいときも、かなしいときも、彼の感情が動くきっかけが私であってほしい。めちゃくちゃエゴが強くて重たくて引いてしまう願い。
もうこれはお母さんの役割なのかもしれない。過干渉な母に育てられた私は同じようにパートナーと距離を近づけ過ぎてしまう。根本は幼児が母にするように、他人と一体化したいという想いが心の底にある気がしてる。
でも彼は他人で、私は彼のお母さんではなくて配偶者になる立場の人間で、それは対等な関係で、いくら家族になると決めたとはいえ心のパーソナルスペースは絶対に必要。
だから私が彼にできることは今日十分したし、ありがとうを言われなくても彼はいつもありがとうと感じているはず。なぜなら私も彼の存在にとても救われているから。
けど、本当はその"ありがとう"私が欲しかったな。そんな想いが消えないので、私は私にありがとうと伝えることにする。
息子を育ててること、彼と良好な関係を保っていること、周りの人間関係に恵まれてること、全て私が作ってきたものだよ。ありがとう。
ここまで書いたら少しスッキリしてきた。他人から貰えなくて悲しくなるときは自分を見つめるといいんだよね。私はもうがんばっていたよ。パートナーに尽くしすぎるのは悪いクセ。自分の価値を相手の反応で決めなくていいんだよ。自分のためにエネルギーを使おうね。寂しかった気持ちに気付いて同じ失敗をしないように"他人"の線引きをしようね。
ありがとうって言葉は強い。独りよがりだった心を少しずつ視野を広げさせて軽くする力がある。自分にありがとうなんて気持ち悪いけど、今の寂しさが少しでも晴れるんだったらこれでいいかな。