見出し画像

思い出の卵焼きは甘いの?しょっぱいの?


甘じょっぱい…

かな。

しょっぱ甘いのような気もするけど
それだとなんとなくしっくりこない。

絶妙な味加減の思い出の味はとりわけ
“よく食べた”という記憶は正直ない。

我が家の定番卵料理と言えば、
母が毎朝のように謎の「たまGOちゃん」なる
調理器具から繰り出される温泉卵。

半熟卵は大好きなのに、
この温泉卵は少し苦手だった。

というか、食べすぎて苦手というパターンが
もしかすると正解なのかもしれない。

いや、それとも。と思い出す。
熱を出して食欲がなかった日の朝。

この温泉卵が出てきて
なんだか気持ちが悪くなってしまった
思い出があるからなのかもしれない。

そんなわけで、とにかく
卵焼きが頻繁に食卓に出てきた記憶はない。

4人家族だから食卓に出すには
2回戦必須の手間がかかることもあるだろう。

それでも思い出の味と言えば卵焼き。
間違いない。

一緒に食事が摂れなくなって。
それでも久しぶりに食べたいと
真っ先に思い付いたのだから。

中学生から電車通学でお弁当持参だった私のお弁当箱の隙間にはいつも卵焼きが鎮座していた。

よく具材を入れる母だった。

”大は小を兼ねる”

口癖ではないけれど、何度か聞いた文字列だ。

具材はねぎや紅生姜、しらすの日もあった。
ゆかり。たしかあったような気がする。

朝ごはんに出る納豆だって
そのままパックで出てくることはなかった。

必ず卵やねぎが混ざっていた。
単一的な味付けじゃ物足りないのかもしれない。

そんな”まぜたがり母ちゃん”は
「甘い」とか「しょっぱい」とか。

どちらかに偏った味にしたくなかったのか。
それとも出来なかったのか。

遺伝子とはこのことで。
私が卵焼きを作る時は隠し味に
味噌と蜂蜜を入れるのがお決まり。

特に隠すつもりはないけど。

甘さとしょっぱさが絶妙になるのだ。
わがままに。どちらの味も楽しめるように。

この間久しぶりに食べたくなって
実家に寄る時にテイクアウトをお願いした。

初めて見るレシピに思わず
『甘じょっぱ』との自らの表現に納得。

卵3つを初手に

白だし大さじ1。
これは”しょっぱ”勢力。

対する”甘”側。お砂糖は大さじ½。

割合的には”しょっぱ甘い”だけど。
”甘”も負けてないからすごい。

分量を知っても
再現しようとは不思議と思わない。

母の味。それでいいのだ。

作るとなんだか違う、と
無意識に比較してしまいそうだから。

思い出が
思い出でなくなってしまいそうだから。

久しぶりの思い出の味。

噛んだ時にじゅわっとあふれる
美味しさがたまらなく美味しかった。

ごちそうさまでした。

この日はねぎだった
れいちゃんへ
※れいちゃんからのおことわり※
こういう文章を描いてみたかったので意気揚々と綴っておりますが....。“母”や“母ちゃん”などの呼称は用いたことがありません。
普段はママと呼ぶ小娘です。
少しの気恥ずかしさを御共有願えますと幸いです。



#思い出の味

〇れいちゃんのInstagram

関連記事

〇具材小話。

〇215個のおむすび完売の裏側

〇215個完売。おむすびに出来た行列の光景を思い出して目頭が熱くなる。

〇1年前の自分から手紙が届きました。

〇絶望的狭さの台所から、こんにちは!

〇香川の離島でなにもしないを過ごす旅をした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?