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なぜ、奇想天外なダイイングメッセージを遺すの?

――ミステリーのひとつの文化ではありますが、奇想天外なダイイングメッセージにはつっこみどころがたくさんあって、ネタにされることが少なくありません。浮世離れしているから、どうしても納得いきません。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「なぜ、奇想天外なダイイングメッセージを遺すの?」というテーマで話していこうと思います。

📚ドラマ「教場」が最高

最近はまっているドラマのひとつに、「教場」があります。木村拓哉さん演じる風間公親が警察学校の教官として教鞭を振るう物語。眼光の鋭い厳格な風間教官は、適性がないと判断した生徒に退校届けを突き付けていくんです。どんな些細な変化も見逃さず、生徒の抱える秘密を発いていく緊迫したストーリー展開は見る者を釘付けにします。

もともと昔からキムタクが好きだったこともあり興味を持っていたんですが、数年前のスペシャルドラマを観る機会を逃してしまい、連続ドラマで新シーズンが放送されるこの折に過去作を視聴したというわけです。

「教場」も「教場Ⅱ」も面白くて、あっという間に観終わってしまいました。物語終盤、卒業式のシーンがあるんですが、そのときの生徒たちのたくましさ、警察官になることへの覚悟、風間教官との固い絆を感じることができて、ほろり涙を誘います。彼らの成長を見てきた視聴者はみな心を打たれることでしょう。


新しく始まった連続ドラマでは、警察学校の教官ではなく、刑事指導官として新人刑事の育成に励みます。現場の事件が舞台なのでよりミステリー、より刑事もののドラマに仕上がっていました。かといって、まわりのそれらと似たようなものではなく、風間公親という人間自体がひとつの差別化になっているんです。

今回は、ドラマ「風間公親―教場0―」について話していきます。先日放送された第1話を視聴したんですが、疑問を持たざるを得ない点がありました。全体的な物語の展開は最高だったんですが、途中のダイイングメッセージのくだりで思わず笑っちゃったんですよね。

なんで被害者は、奇想天外なダイイングメッセージを遺すの?


📚奇想天外なダイイングメッセージ


※ここからはネタバレを含みますので、ご容赦ください。


第1話では大きく分けて2つの事件が取り上げられました。そのうち1つ目の事件でダイイングメッセージが取り上げられたんです。

タクシーの乗客が殺害される事件が起きました。殺害される前に被害者と一緒に乗車していた女性が犯人なんです。で、被害者はこの女性に殺されるかもしれないと予感し、タクシーの中でとあるダイイングメッセージを遺したんです。

タブレットで地図を見ながら、運転手さんに行き先を指示していきます。右へ曲がったり、左へ曲がったり、小道に入ったり……。これ、何をしているかというと、地図上に犯人の名前を残そうと試みているんです。

犯人の名前は「日中弓」。縦に書けば一筆書きできるので、地図上に犯人の名前を遺そうとしたのです。


「?」だと思います。つっこみどころがたくさんあると思います。

なんでそんなまわりくどい遺し方をするのか、隙をついてタブレットに名前を刻むことができたのではないか、殺されるかもしれないと思ったなら今すぐにでも降車すればいいじゃん、「日中弓」が一筆書きで書けるからタクシー使って書いてみようと思い至る思考がまず分からないし、この謎と厳格な風間公親が一生懸命向かいっているというギャップ……。

もろもろ含めて、失笑してしまったんですよね。

ネット上でも少し話題になっており、「コナンみたい」と揶揄するコメントも見受けられました。名探偵コナンも奇想天外なダイイングメッセージを遺すことで有名ですよね(笑)


ミステリーのひとつの文化ではありますが、奇想天外なダイイングメッセージにはつっこみどころがたくさんあって、ネタにされることが少なくありません。浮世離れしているから、どうしても納得いきません。

だからこそ。

だからこそ、僕は小説『Message』を書いたんです。奇想天外なダイイングメッセージに対する疑問を自ら解消するために。


📚これが本当のダイイングメッセージ

小説『Message』は昨年出版した、僕の初書籍です。

成人の日の夜に亡くなった青年。彼の手元には「110」という血文字が遺されていました。ダイイングメッセージの謎を解き明かしていくヒューマンミステリーです。

この「110」というダイイングメッセージ。一見、今回問題視した奇想天外なダイイングメッセージのように思えますが、違います。意味があります。ちゃんと答えを出しました。

世に蔓延る奇想天外なダイイングメッセージを一刀両断する、とっておきのメッセージ。「110」が何を表しているのか、その謎の答えはこの物語の最後の1行にあります。興味を持たれた方は、是非、手に取っていただければなと思います。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20230412 横山黎



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