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7年追いかけた夢に読点を。

ーーだから、ピリオドじゃない。打つのは、読点。7年追いかけてきた夢に読点を打って、未だ見ぬ日々を綴っていきます。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「7年追いかけた夢に読点を。」というテーマで話していこうと思います。

さっき、「全国大学ビブリオバトル〜首都決戦〜」が終わりました。本を紹介するプレゼンイベントの決勝大会です。

高校時代から公式戦に参加してきた僕は、高2、大3と、2度に渡り、全国の舞台に出場することができました。しかし、どちらの大会でも準決勝止まり。惜敗という形で終わってしまったのです。

僕は今大学4年生なので、全国大学ビブリオバトルに参加できるのは今年が最後。ラストイヤーを有終の美で飾りたいという気持ちが強くありました。そんな情熱を握りしめて、僕は今年も本を紹介する舞台にまた戻ってきたのです。

大学大会で紹介したのは『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』という青春SF。別々の世界を生きるふたりの少年少女には、「幼い頃に、グラーフ・ツェッペリンという飛行船を見た」という記憶がありました。虚構と現実、過去と未来が重なり合った物語を紹介して、無事にチャンプ本に選ばれたのです。


地区大会で紹介したのは『小説の小説』。既存の作品の言葉や文章を引用して作られた『無小説』、小説の表現の究極を追求した『日本最後の小説』など、小説の常識を覆す作品ばかりが収録された本を紹介して、優勝を果たすことができました。


そして今日、僕にとって3度目となる全国の舞台に立つことができました。7年越しの夢を叶える場所に辿り着きました。

僕が紹介したのは『Good Luck』。二人の兵士が魔法のクローバーを探しにいく物語です。しかし、魔法のクローバーを見つけて幸運を掴むことができたのは、片方の兵士だけ。もう片方の兵士は見つけられないどころか、自暴自棄になって行方をくらましてしまったのです。

同じ場所に行き、同じ人に会いにいったにもかかわらず、どうしてこんなにも違いが生まれてしまったのでしょう。実はその違いにこそ、幸運を掴むためのヒントが隠されていたのです。

お客さんが参加できる余白や、おっと思わせる演出を施した集大成のような紹介を追求しましたが、検討虚しく、準決勝敗退。またしても、同じ壁を越えることができませんでした。幸運を掴むことができなかったんです。


後悔がないわけではありません。数え出せばいくりでも埃は出てくるでしょう。

全国大会まで時間があったというのに、卒論やらバイトやらで十分な練習を繰り返すことができなかったし、そもそも卒論はもっと早く済ませておけばいい話だったし、バイトに関しては入れなければいいだけの話でした。

選書に関してもそう。ギリギリまで悩んでいたのが正直なところです。確かに『Good Luck』は僕が今年出逢ったなかでいちばんおすすめしたいお気に入りの本です。でも、ビブリオバトル向きの本かといえばそうではない。地区大会で紹介した『小説の小説』の方がよっぽど向いています。

ただ、最後は自分の本当におすすめしたい本を紹介したかった。飛び道具のようなビブリオバトル向きの本ではなく、心の底から薦めたかった。ラストイヤーの今年だからこそ、僕だからこそ選ぶ本を選びたかったのです。

選書に、「意味」が欲しかった。

「物語」を与えたかったんです。

蓋を開けてみれば、準決勝で敗退し、結局ラストイヤーも宙ぶらりんな結果で終わってしまいました。

「ビブリオバトルは選書が9割」なんてことを話していたというのに、最後の最後で、僕は物語を優先したくなってしまった。そして、「勝利」も「栄光」も置き去りにしてしまった。

今年のグランドチャンプ本は『同姓同名』という本です。登場人物全てが同姓同名であるという奇抜な設定をうまくいかしたミステリー小説で、僕も以前紹介したことがありました。ビブリオバトル向きであることは百も承知だし、去年の中学ビブリオバトルのグランドチャンプ本でもあるから結果も出してる。言ってしまえば、紹介すれば誰でもそれなりに結果を出せる本なんですよね。それを話し上手な人が紹介すれば、鬼に金棒とはこのことで、グランドチャンプ本を獲得するに至るわけです。

今年すごく話題になった『世界でいちばん透き通った物語』とか、最近発売された道尾秀介さんの『きこえる』とか、ビブリオバトル向きの本なんて探せば見つけることはできる。実際、最後まで迷っていましたし、それでも僕は作家だから、物語をつくる人だから、『Good Luck』を紹介する展開を選んでしまったのです。


でもね。

バトラー同士で本をきっかけに交流することができたし、何百人もの人が参加する「本のお祭り」に関わることができて素直によかったなと思いました。

「本のある場所づくり」が、今の僕のテーマだったりするんですが、これからにも通じるヒントを得られたなと思います。そういう意味では、僕にとっての魔法のクローバーは、「本をきっかけに出逢えた人」「本をきっかけに交流が生まれる場所」だったのかななんて。

これからまた自分の道を探る時間が始まるけれど、これでピリオドを打ったつもりは毛頭なくて、「本の場所」「人が集まる場所」をつくりにいく未来への下準備なのかなって思っています。

だから、ピリオドじゃない。

打つのは、読点。

7年追いかけてきた夢に読点を打って、未だ見ぬ日々を綴っていきます。これからどんな文章がつながるのかな。また面白い未来を探しにいきます。僕の人生、グッドラック!


最後になりますが、7年間、ビブリオバトル全国制覇の夢を応援してくれた全ての人にメッセージを贈ります。


今までありがとう。

これからもよろしく。

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