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【教育論】書く、話す、聞くは全部「読むこと」

――「C読むこと」という観点ではありますが、読む活動はもちろんのこと、「書く活動」も「話す活動」も「聞く活動」も取り入れなければいけないわけです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「学習指導要領解説をなめたらあかん」というテーマで話していこうと思います。


◆授業づくり、なめたらあかん

普段は創作に関する記事を投稿しているんですが、実は僕は教育学部の大学生でして、現在教育実習中ということもあり、教育に関する記事を投稿しています。

今回は少しお堅い話にはなってしまいますが、学習指導要領、そして学習指導要領解説についてです。こいつらを侮ったら、痛い目遭うよという話です。

きっと授業を受ける側からしたら、学校の授業なんてその場のノリで進めているような気がするじゃないですか。もちろん、長年の経験からそれで舵を切れる先生方もいらっしゃると思いますが、根本的に授業を支えているのは学習指導案という計画書です。そして、学習指導案を支えているのは、学習指導要領と学習指導要領解説の2つなのです。


◆学習指導要領って?

そもそも、学習指導要領とは何でしょうか? 教育に携わる人以外からすれば、その正体を掴み切れないと思います。聞いたことはあるけど、実際それって何なの?おいしいの?という状態かなと。

形式的に説明するなら、学習指導要領とは、文部科学省が提示する教育課程の基準です。これをもとに、授業をつくり、評価をしなければいけません。

簡単にいえば、「授業づくりのためのルールブック」です。「こういうルールがあって、ここがゴールだから、それをちゃんと守って授業をつくってね」って感じです。

学校教育において伸ばすべき力や指導するべき内容が、学習指導要領の中でちゃんと定まっています。


現行の学習指導要領では、全ての教科が「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」という3つの柱から成っています。

国語の教科に限定していうと、

「知識及び技能」
 (1)言葉の特徴や使い方に関する事項
 (2)情報の扱い方に関する事項
 (3)我が国の言語文化に関する事項

「思考力、判断力、表現力」
 A話すこと
 B書くこと
 C読むこと

こんな感じでさらに区分されるんですね。さらに1つ1つ取り上げていくと、そのなかでさらに区分されていきます。全部説明していくと日が暮れてしまうので、どうして「学習指導要領なめたらあかん」なのかを答えるために「思考力、判断力、表現力等」の「C読むこと」に注目しますね。

◆書くのも話すのも「読むこと」?

中学校第1学年における「C読むこと」の内容は次のように設定されています。長いのでもちろん全部読まなくて大丈夫です。太文字にしている(1)の「オ」に注目してみてください。

(1)読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の中心的な部分と付加的な部分、事実と意見との関係などについて叙述を基に捉え、要旨を把握すること。
イ 場面の展開や登場人物の相互関係、心情の変化などについて、描写を基に捉えること。
ウ 目的に応じて必要な情報に着目して要約したり、場面と場面、場面と描写などを結び付けたりして、内容を解釈すること。
エ 文章の構成や展開、表現の効果について、根拠を明確にして考えること。
オ 文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えを確かなものにすること。

(2)(1)に示す事項については、例えば、次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 説明や記録などの文章を読み、理解したことや考えたことを報告したり文章にまとめたりする活動。
イ 小説や随筆などを読み、考えたことなどを記録したり伝え合ったりする活動。
ウ 学校図書館などを利用尹、多様な情報を得て、考えたことなどを報告したり資料にまとめたりする活動。

長いですね。これが、第1学年の「C読むこと」です。他の領域もあるわけですから、気が遠くなりますよね(笑)


さて、初めにお伝えした通り、(1)の「オ」に注目してください。

学習指導要領の内容を詳しく説明する学習指導要領解説というものがあります。学習指導要領(ルールブック)の解説書のようなものです。「そのルールって詳しくいうとこういうことで、これを実現するためにはあれとあれをやればいいよね」と教えてくれるのです。

そのルールブックの解説書には、「オ」の内容について詳しく書かれているわけです。

「文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えを確かなものにすること。」の前半部分について「『文章を読んで理解したことに基づ』くとは、文章の内容や構造を捉え、精査・解釈しながら考えたり理解したりすることを基にするということである」と解説しています。

つまり、事前に教材の内容、構造をちゃんと捉えるための学習をしなければいけないということです。それを前提として、「自分の考えを確かなものにする」活動が実現できるのです。


では、「自分の考えを確かなものにする」とはどういうことでしょうか。これも学習指導要領解説に書いてあります。
#持つべきものは解説書

自分の考えを確かなものにするためには、「構造と内容の把握」や「精査・解釈」の学習過程を通して理解したことを他者に説明したり、他者の考えやその根拠などを知ったりすることが重要である。その上で、改めて自分が文章をどのように捉えて精査・解釈したのかを振り返ることで自分の考えを確かなものにすることが考えられる。

ポイントは2つですね。

「他者の考えや根拠を知る」
「振り返る」

「確かなものにする」という目標は至極曖昧でそれを実現するためには何をすればいいのかはっきりしませんが、解説書を読むことで、「他者の考えや根拠を知る」「振り返る」といった活動を取り入れればいいことが分かるのです。


自分の考えを持っていることを明確に評価するためには、生徒にそれを言語化させる必要があります。つまり、自分の考えを書かせなければいけません。また、他者の考えを知るためには、自分の考えを話したり、相手の意見を聴いたりすることが求められます。

したがって、「C読むこと」という観点ではありますが、「文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えを確かなものにすること」を実現するためには、読む活動はもちろんのこと、「書く活動」「話す活動」「聞く活動」も取り入れなければいけないわけです。


学習指導要領解説をなめたら、このあたりを勘違いしてしまうおそれがあります。しっかりと評価のできる授業を展開するためには、ルールブックとその解説書を読み込むことがマストだよね、という話でした。

実は、今回取り上げた「C読むこと」の「オ」は、僕が教育実習で扱う授業の最後に持ってきた目標でもあります。次回は、僕がこの目標に辿り着くまでに、どのようにして授業づくりを進めていったのかを記事にしようと思います。


最後まで読んで下さりありがとうございました。

20220907 横山黎




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