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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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2020年12月の記事一覧

2020年現代短歌まとめ②

2020年現代短歌まとめ②

第二弾。

走りゆく想いを筆にのせ続け消えない過去は塗り潰せないが
考えりゃ一つも得は無いのにさ角立てぬよう従う愚かさ
眠れないこんな時間もまた一興浮かぶ言葉と微睡み戯れ
サラサラと風に飛ばされ舞い上がる枯れ葉とともに消えるには重い
人間の少なさ故に心身が図太くなりてまだ生きられる
私にはなんの資格も無いのならせめて静かに願いだけを込め
キャンディを舐めても無くならないような否定されぬが選ばれない

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2020年現代短歌まとめ①

2020年現代短歌まとめ①

今年の現代短歌まとめ第一弾。

スカートの裾踏んづけて転んでも死にはしないさ今日も明日も
スパゲッティ片手で食べれる今ならばあなたに笑われ練習したから
遅れてるはちまきの色を目で追って「頑張れ」棒読み放送委員
走れないガラスの靴じゃ脆すぎるワゴンセールのスニーカーでいい
明るさで誤魔化さないでよその色は影が寄り添い輝くのだから
もしかしてバレないとでも思ってる?皆にランク付けするあなた
「嘘つき」

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現代短歌 《記憶から得た記憶》

現代短歌 《記憶から得た記憶》

※ほぼ「誰か(複数人)の記憶」をもとに書いたもの。
整合性よりも、誰かの過去だったことが、対話をすることで形を変えながら自分の記憶にも入り込んでくることの不思議に焦点を当てています。

同窓会いろどる話題甘辛い中身は空です一抜けるが勝ち

港には祭りと闘いあったのさ押し合いへし合いさあ道を開けろ

お囃子とタイヤが鳴かすアスファルト油のにおいは現代(いま)も残ってる

その熱を知らぬ私が着せられた

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現代短歌 《それでも続く》

現代短歌 《それでも続く》

持ち続け愛しさ溢れど近付けず奪いたくないあなたの自由

舐め回すアイスクリームの蓋の裏私はやらずに少し残したい

透明で何か注げばうつし出す小洒落た脆いグラスの男

手加減が分からぬ私は込めすぎた力の強さで割らないようにと

夢の中よく出てくるのは荒れ果てたおとぎの国のタイニーハウス

そのどれもあなたの家でないことは分かっていながら夕焼けに託す

大雨が綺麗な雪に変わるほど都合良く寒さ現れてくれ

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