記事一覧
展覧会:千葉雅也『マジックミラー』『幅が広い踏切』『間違えたらもう一度繰り返せ』感想
2022年ことばの学校第二期の講義で、佐々木敦が千葉雅也に「長編小説を書いてほしい」と言っていて、私はそれを聞きながら、そりゃあ勿論読みたいが(読みたくないわけがないが)、その前に短編小説をもっと読んでみたい、と思っていた。
短編『マジックミラー』が好きだからだ。そして、「好きだから」という以上に、『マジックミラー』は中編『デッドライン』『オーバーヒート』よりもモチーフの配置が明確で、構成を理解
どこなに#2 築地市場
どこかにいってなにかを書く。岸本佐知子『死ぬまでに行きたい海』方式の作文、2回目の試み。
3月某日、築地市場に行った。
元々は、家人がその近辺で用を済ますのについていった形で、特に文章を書くつもりはなかった。せっかくだから浜離宮恩賜庭園に行ってみようと思っていただけだった。
しかし築地市場駅から庭園に向かって歩くうちに、なんだか不思議な場所だと感じて、写真を撮った。
右側前方、向かって行く先
趣味の学習記録 #2
趣味の学習記録#2。第二講は「精神分析小史」、精神分析の歴史を概観する内容なので、以下を学びのポイントとした。
・重要事項を時系列に沿って押さえる
・学派名と、属する人名を正確に記憶する
・各学説の影響関係を把握する
そのようにしてレポートにまとめてみると、改めて自分が興味が主にフロイトの中期までの古典理論にあるのがわかった。
家人にレポートを提出。自我心理学と対象関係論はなぜ対立関係にあるの
趣味の学習記録 #1
予定通り趣味の学習計画第一回を終えた。学習内容はA4で二枚程度にまとめ、レポートとして家人に提出する。noteには所感を書く。いずれも、そのようにすることで自身にプレッシャーをかけ、学習を継続させるためである。
出版されている講義録は、現在公開されている21年のプログラムとは少し内容が違った。ので、書籍の内容を元に進める。最も印象に残った一節は以下。
精神分析の基礎年ほど前から、言葉を正し
雑記、あるいは【ただならぬ道】円城塔『Boy's Surface』感想
物心ついた頃から漫画が好きで、漫画家になりたいと思い、人生の前半ずっと漫画を描いて生きてきた。ところが数年前から何故だか文章が書きたくなり、それまで思ってもみなかった、「小説を書く」ということを、自らのものとするようになった。
中年期まっただなか、今さら職業小説家を目指すわけでもなく、ただ日々の楽しみとして文章を書き、何十年後かに1作仕上げられたらいいなと、そんなことを思っていた。しかししばらく
“ない記憶が蘇る”と、『一ノ瀬家の大罪』第1話
11/14発売週刊少年ジャンプ、タイザン5『一ノ瀬家の大罪』第1話を読んだ。そして、そういえばネットで「ない記憶が蘇る」って言い方(ネットミーム?)あるよな、と思った。
初めてその言い回しを見たとき、「うまいこと言う」とも思ったし、「気味が悪い言い方だな」とも思った。新しい、でも聞いて一発で意味がわかる、ある種の感情に対する”名づけ”。新しい言葉は必ず少しの違和感を含んでいて、だからこそ人の意
金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』感想
『パリの砂漠、東京の蜃気楼』を読む。文芸誌に掲載されていた短編を除いては、ほぼ初めて読む金原ひとみ。絶え間なく押し寄せる自己破壊の衝動を、どうにかなだめすかしつつ送る切迫した日々の記録で、美しかった。言っていることが、昔仲の良かった友人のそれと実によく似ていた。不登校で、鬱で、恋愛によって生きている。友人もそういう人で、しょっちゅうナンパされているところも何か似ている。
その子と、恋愛と生きるこ