映画『トイ・ストーリー4』感想
予告編
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『トイ・ストーリー5』の制作が決定しているみたいですね。実際のタイトルとかキャストとかの諸々の情報は不明みたいですけど。
忘れないうちにシリーズ最新作の感想文でも投稿しようかと。公開当時の感想文ですが、よければどうぞー。
おもちゃ
そっか~、そりゃそうですよね。一作目が ‘96年?とかですもん。前作の公開からも随分経っていますし……。「声が違う(悲)!」というショックは案外大きかったなぁ笑。人気シリーズだから話題性も一入。故に賛否両論激しいらしい本作。ちなみに念のために述べておきますと、それは決して一部キャラの声優さんが変わったことによるものではございません。
しかしながら、映画に限らず “作品” というのは賛否両論ある方が良いもんだと思っています。殊、本作『トイ・ストーリー4』はその最たるものと言っても過言ではありません。なぜなら、否定派の声を聴くとその多くが「これまでの『トイ・ストーリー』を好きが故の否定的見解なのだ」と思えてしまうから。
僕は……どっちだろう……。正直、どっちの意見にも納得できちゃうんですよね。う~ん……「えっ!?」とは思いましたけど、“賛” に1票かな?
本作は「オモチャって何だろう」という筆舌に尽くし難い問いに、正解や解答ではなく、あくまで一つの考え方を教えてくれた映画なのだと思います。例えば人形の腕が折れたり傷が付いてし まった時に、子供は「(人形が)怪我をした」と感じていても、それを知った親(大人)は「(人形が)壊れた」と考える。見当たらない時には「居ない」「どこかに行っちゃった」と言い、見つけたら「居た!」「帰ってきた!」と喜ぶ子供とは違い、対して親(大人)は「無くしたの?」「どこに置いてきたの?」と子供に訊き、見つかれば「あった」「落ちていた」と口にする……これが全てなのかもしれません。
過去三作品と本作の一番の違いは、ウッディたち(おもちゃ)の持ち主の視点が違うこと。アンディはおもちゃで遊ぶ時、おもちゃの世界を想像し、時には実況じみたナレーションも織り交ぜて俯瞰で遊んでいた。一方のボニーはというと、おもちゃと同じ目線まで次元を下げ(もしくは無意識的におもちゃと人間の間に差を設けず)、想像した世界の登場人物の一人になりきって遊んでいた。過去作と本作を見比べて強く感じるのは、『3』まではアンディの、本作ではボニーの視点とのリンク。それぞれのおもちゃへの認識に寄り添ってキャラクターやストーリーへのアプローチが為されていたように思えてなりません。
持ち主がアンディである『3』まででは、近所の幼稚園に寄付されたり、誰かに譲り渡されたり。はたまたゴミとして燃やされたり、おもちゃ以外の形で生き残ったりといった “おもちゃの行く末”、或いはその “可能性” までもが描かれてきた印象です。でもこれらは全てアンディと同様、おもちゃを俯瞰で認識しているからこその物語。これまでのおもちゃのルールや常識から逸れ、支離滅裂ですけど「おもちゃなのにヒューマンドラマ」とすら思わされてしまった本作(笑)とは大きく違う。ボニーのおもちゃへの認識(おもちゃとの遊び方)が、おもちゃと人間のギャップを緩和させ、「もしもウッディがおもちゃじゃなかったら」「一人の人間、或いは意思を持った一つの生命だったら」という、かなり踏み込んだ問いに挑んだのが本作なんじゃないかな。
「あるべき自分」という思考の為にずっと苦労してきたウッディが最期に “ある選択” をするシーンは、そんな問いを孕んだ『トイ・ストーリー4』の着地として本当に良かったと思います。多様性を重視する現代の潮流にマッチさせたのでしょうか? 彼の選択によって生まれるカタルシスに酔い痴れながらも、「あ、この選択をするということはつまり……」と、どことなく心憂い気持ちを同時に覚える。そんな最中にスクリーンに映る仲間たちの顔もまた、とても印象的。
『3』でウッディとの別れを惜しむ仲間たちの顔をゆっくりとパンしながら見せてくれたシーンを彷彿とさせるこの場面によって、(過去作へのリスペクトやオマージュなんて二の次に)「大好きだった『トイ・ストーリー』が終わってしまう」と突き付けられるようで、つらくなってしまう。でも「ウッディが決めたことなら応援するよ」とも思えてくる……。
観終わってかなり時間は経ちましたけど、いまだに僕の心はてんやわんやです笑。ピクサーじゃないですけど、同じディズニーアニメの最近の作品で言えば『シュガー・ラッシュ:オンライン』(感想文リンク)とも通ずるものがあると思います。
『3』の時もそうでしたが、かなり時を挟んでの続編なのでCG技術の磨き上げられ方にも驚きますし、終盤の光の用い方も素晴らしい。それに何より相変わらず面白いおもちゃらしいコメディもたくさん詰まっています。内容的に意見が別れるかもしれませんが、見応えは充分あると思います。
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