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映画『ワンダーウーマン 1984』感想

予告編
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 本文のド頭から「3年ほど前に公開された~」と述べておりますが、本項も例に漏れず、公開当時の感想文なので……えーっと、本作の公開が2020年だったはずなので「2017年に公開された~」ってことになるのかな? ややこしくてすみません。

 ちなみにサムネ画像の建物ですが、本作の主人公ダイアナが務めている設定になっているスミソニアン博物館の写真です。


 前作の感想文もあるので、よければ併せてどうぞー。


ヒーローの心


 3年ほど前に公開されたDC映画『ワンダーウーマン』(感想文リンク)の続編となる本作。そんな本作の公開前に「クリス・パインが続投」ってネット記事の見出しを見つけて、「ん?……どういうこと?」と思ったのを覚えています。クリス・パイン演じるスティーブ・トレバーは前作で非業の死を遂げたわけで……、でも続投ってことは登場するってわけでもあって……。うーむ。

原作を読んだことない僕のアメコミ関連の情報元は相も変わらず『しゃべんじゃーず』。色んな予想が繰り広げられていましたけど、全部外れてた笑。でも想定していなかった展開だけに面白かったです。なるほど、こういう形で……とまぁこれ以上はネタバレになるので割愛。


 そんなスティーブへの未練がタラタラな主人公・ダイアナ/ワンダーウーマン(ガル・ガドット)。序盤、夜空を飛ぶ旅客機を彼女が眺めているカットが描かれるのですが、その画角が、スティーブが “今日を救った” 瞬間と同じ画角。アメコミ映画はファンが多いので、本作の鑑賞前に復習として前作をチェックしている人はたくさん居るとは思いますけど、MCUに比べて歩みの遅いDCEU、且つ、前作から3年以上も経過してしまったこのブランクを埋めるというか、観客に前作のことを思い出させてくれる工夫は良いと思いました。



 ひねくれ者のバットマンに傍若無人気味なスーパーマンなどなど笑。DCEUの中では一番の聖人君子というかヒーローらしいワンダーウーマンの幼少期が描かれる冒頭。「スゲー奴は最初からスゲー」みたいな特別感漂う展開かと思いきや、そうでもない。悔しい敗北を喫した彼女がアンティオペ(ロビン・ライト)から諭されたことは、勝利に近道は無いということ。そして嘘から真実は生まれないというもの。

この教訓というか考え方が、本作の物語に深く関わっている印象。代償無しに望みを叶えることで世界を危機にさらした敵方への説法のようでもあるんじゃないかな。



 本作の一番の見所は、完璧に思えたダイアナの弱い部分が見えたこと。人間であることの素晴らしさ、人の心や人にとって大切なことを、人間の心の強い部分で表現していた(ような気がする)前作とは対照的に、弱い部分での人らしさが際立った印象。そしてその弱さが逆説的に、改めて人の強さ・美しさを強調していたのかもしれません。心から人類を愛してい るような彼女の、まるで性善を一切疑わないかのような戦い方、そして最期の最後に見せた勝利への言葉が、「ダイアナのような特別な者だけがヒーロー」ではなく「誰もが誰かにとってのヒーローになれるんじゃないか」という前向きな気持ちにさせてくれます。


 ラストのクリスマスシーンも良かった。前作の海辺の戦闘シーンでも思いましたけど、この監督のスローの使い方は、ちゃんと登場人物の心情に則しているように感じられるからとても好きです。エンタメ的に魅せるスロー(例えばアクションシーンとか)もあれば、今スクリーンに映っている光景が、そこに居る人物(このシーンで言えばダイアナ)が目にしている光景であることと同時に、その人物の心情までをも想像させてくれます。

最愛の人が救った “今日”、彼女が救った “世界” はこんなにも美しいのだと、彼女自身が実感しているのがよくわかります。


 その後のポストクレジットシーンも、イベント的なおまけ映像という感じ以上に「昔からヒーローの精神は引き継がれていたんだ」みたいなさ! わかります?笑

 ホントにさ、上手く言えなくてごめんなさいね。


 最初に上映時間を確認した時、「途中どっかしらでダレる時間があるんだろうな」とか思っていましたが、全っ然そんなことはなかった。むしろ前作に比べてアクションシーンはそんなに多くなかった気がするのに、退屈することが無い。ずーっと楽しかった。

 前作でのダイアナの人類世界珍道中を彷彿とさせるような、スティーブの現代アメリカ珍道中であるとか、序盤のショッピングモールのシーンで、子供を盾に悪あがきをする強盗たちを懲らしめ、去り際に口にする「銃は嫌いよ」というセリフが、銃規制がなかなか進まないアメリカ社会への皮肉に聞こえただとか、そういった細かい部分の面白みもあったのかもしれませんが、シンプルにドラマ部分が見応えがあったから面白いと感じられたのではないかと。

 とはいえ、もちろんヒーロー映画足り得るヒーローらしさ——ヒーローの力があるからこそ可能な人命救助など——も存在する。諸事情あって全力が出せない不利な状況ですら、人々を救うために全力を尽くす感じもまた良い。そういう点で言えば、ヒーロー映画の中枢人物でありながら特別な力を持たないスティーブの相変わらずの正義感が失われていなかったのも素敵。


 DCEU上の新たな展開を見付けられなかったのは残念ですが、流石はワンダーウーマン。とても面白かったです。


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