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映画『2分の1の魔法』感想

予告編
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 明日7月23日についてなんですが、実は7月の第四日曜日は兄弟姉妹に感謝を伝える「兄弟姉妹の絆の日」っていう記念日なんですって。知らなかったな~。

 ということで本日投稿するのは、兄弟が主役のピクサー作品『2分の1の魔法』の感想文ですー。もちろん、兄弟が居なくても楽しめる映画です。よければ読んでくださいな。


 noteに投稿するにあたり読み返してみたところ、「日本はまだまだ後進国~」云々かんぬんと、偉そうなことを述べていました……汗。生意気だったと反省。。。

 とはいえ、そんなことを感じてしまった3年前とあまり変わっていないようにも感じている今日この頃……。いやぁ、どうにも上手くいかないものです。



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 公開延期が重なっていましたけど、ようやく鑑賞。兄弟モノの王道アドベンチャーです。物語も舞台も、仕掛けられたギミックも、本作の全てが作品に込められたテーマを体現しているかのように感じられた一作。統一感(まとまり?)があって尚且つ面白く、多くの人々が楽しめるんじゃないかな。ちょっと偏屈な意見を挟んじゃうけども、肌が青色のエルフたちを主人公にしたのは、ポリティカル・コレクトネスが求められる今の時代に合わせたのかな? なんて勘繰ってしまう。動物だとか何だとかのキャラ設定は、人間をメインキャラクターにすることを避けているからなのかな? 僕の考え過ぎ、気にし過ぎだと思いますが……。

 けど、そういった意味でも色んな人が楽しめる……だなんて思っていたのに、本作に同性愛者の警官が登場しているって理由で劇場公開されなかった国もあるんですってね。ほんと、あちらを立てればこちらが何とやら……。いやぁ、本当に上手いこといかない。その件に関してもっと言うと、日本版でもセリフの内容が修正されちゃってたみたいでね……。こればっかりはマジで悲しい。こういうことに関して日本はまだまだ後進国なんですかね。



 前向きな兄・バーリーと後ろ向きな弟・イアンが、父親を蘇らせる魔法に必要な特別な石を探して旅に出る物語。冒険や魔法が大好きで、夢見がちな理由を根拠に険しい道のりを進みたがるバーリーとは対照的に、現実的で容量良く手っ取り早い手段を模索するイアン。こんな二人だから当然、何度も揉めるし足を引っ張り合う。でもここがバディ系とは若干違うというか、兄弟モノの魅力の一つだとも思います。

 ちょっと話が逸れますが、中でも運転中に交わされた口論シーンの描写が印象に残っています。赤信号で止まっている間に口論が始まってしまうものの、それとなく意見がまとまり解決したら、ちょうど信号が青に変わって車が進み出す。ここでの青信号の光の描写が、後半のシーンで小さく活きていたのも面白かったと思います。



 そんな冒険の中でバーリーが何度も口にしていたのは “楽な道を選ぶのは良くない” というもの。魔法の話が大好きで、ボードゲーム等で知った子供騙しのような知識を根拠にそんなことを言い出す兄に辟易するイアンの気持ちは凄くよくわかります。実のところ本作では、そんな兄の言い分が合っていたりすることもあるわけですが、穿った見方をすればそれはただの結果論。多くの者がイアンに感情移入することは容易に想像できる。

 しかしバーリーがいみじくも口にした “楽な道を選ぶ” というのは、この物語の世界にとって、魔法が消滅した何よりの原因かもしれません。習得が非常に難しい魔法よりも、スイッチ一つで簡単に同じことができる科学の方が需要があったのは当然っちゃあ当然と言えなくもない。

 長々とごめんなさい。もうちょいだけ能書きが続くけど付き合って笑。あ、あと若干のネタバレ注意です!

 この物語は決して、「楽な道を選ぶと大切なものが見つからない、失ってしまう」というテーマではない気がします……。苦労して苦労して、ようやく辿り着いた場所は「#1」。「振り出しに戻った」「苦労に意味は無かった」とすら感じてしまいかねないこの展開ですが、でも実はこれって、“最初からここにあったんだよ” とも見て取れる。それを知るのにはとても苦労した、遠回りをした。でもだから気付けた。この流れは本作の舞台と非常に類似している。魔法は無くなってしまったわけじゃない。おとぎ話だと思っていた魔法はあった、知らなかっただけなんだ、と。じゃあこれが何なのかと考えた時に、僕は真っ先にイアンとバーリーの二人を思い出す。この齢で父親が居ないことについて、僕は想像することしかできないので安易に知ったような口は叩けませんけど、“父親が居ない” ということが、イコール “不幸” ではない。大切なものはずっとそこにあった、もう持っている……そんなことを思わせてくれるのが本作(今思えば、マンティコアのことだって同様でした)。

 ここまで来て父と会えないのかよ、と思わされるクライマックスには正直「え?!」となりましたけど、“父と会って大団円” だけで片付けてしまっては、父が居ないイアンの人生を肯定できなくなってしまうからなんじゃないかな。ずっとバーリーがいたじゃないか、という想いに気付けたイアンの気持ちを体現したかのようなクライマックスには感動しました。父からイアンに、バーリーを介して届けられたものも良かった。言葉を用いずに、父からの愛も兄との絆も感じられるし、何よりコロナ禍の今だからこそ、もの凄く心に響くプレゼント



 イアンの運転で発車するラストシーンも面白い。まるで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなラストが、未来へ向かう姿勢を表しているようで、“父親が居ない” という過去を引きずっていたイアンが前を向けるようになったこと、成長したことを示しているようにも見えます。

 流石はピクサーと思わせる見事な伏線回収や細かな描写、他にも語りたいことがいっぱいある素晴らしい映画でした。


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