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人類超超超超超可愛い

Case.1
私はトイレに行った後にあまり手を洗わないことがある、というと「汚い」と言われることがあるけど、そもそも私は自分のことをそんなにきれいだとは思っていないのだ。

というか、手を洗わないことよりももっと汚いことってありません?
スマホって便器より汚いんでしょ?
起き抜けの恋人にチューするのって便器より汚いんでしょ?
ねえねえじゃあさあ、私のうんこしか拭かない私の手より、いろんな老人のうんこ拭いてるあの介護士さんの手の方が汚いの?
じゃあさあ、あのいろんな老人のうんこ拭いてる介護士さんより、いろんな客と浣腸プレイしてるSM嬢の方が汚いの?

俺の手はもう血で汚れちまってるから赤子は抱けねえ、と言って産婆が引退した。

トイレに行った後必ず手を洗うあなたはわたしに言った。手を洗わないなんて汚い、と。


Case.2
TVに出ているあの芸能人、俺と地元一緒だよ、という人がいる。
今デパートで流行っているあの新しいお菓子はうちのすぐ近所のお菓子屋が元祖なんだよ、と言って得意げな人がいる。

今ニュースでやってるあの殺人事件、うちのすぐ近所で起きた、と言って興奮している人がいる。
怖いよねー、と言いながらちょっとわくわくしているようだ。
本当は近所以外の殺人事件にも興奮しないと、わくわくしないと、人間としてヤバいんだけど、だってもう21世紀だし。インターネットあるし。

本当は、もっとドカドカ人が死ぬ中東のテロにも興奮しないと、わくわくしないと、人間としてヤバいんだけど。

地球はすぐ近所。

Case.3
出身どこ? と聞いてくる人がいる。
むかつくので「地球」と答える。
どこ大? どこ勤め? 何してる人? と聞いてくる人がいる。

属したがる人がいる。
属させたがる人がいる。

職業を聞かれ「風」と答えた女の子は、風俗嬢になって円山町に消えた。
職業を聞かれ「水」と答えた女の子は、キャバクラ嬢になって歌舞伎町に消えた。
職業を聞かれ「神」と答えた女の子は、アイドルになって秋葉原に消えた。
職業を聞かれ「無色」と答えた透明人間、こと私は、どこにでも、どこにいても、どこの街にも消えることができる。

単純な家庭環境だったから、ひとり殺しても取り沙汰されない。
残念でした。
懺悔でした。
関係ないんでした。
最低でした。
吐いてー、吐いてー、吐いてー、吐いて—、吸ってー、吸ってー、吸ってー、吸ってー、吸ってー、止めてー、止めてー、止めてー、止めてー、止めてー、止めてー、
誰か止めてよ! の、誰かに誰も立候補しないから緩慢な殺人教唆、全員チキンレースの敗者で海にドボンだ。そうさ僕らは海の子。でも機械になっちゃいたいんだ。

僕たちが地球を汚すのは親殺しだから仕方ない。
ロボットが人間を殺すのは親殺しだから仕方無い。
「おばあちゃんは無理しないで座ってなよ」って、ロボットが我々を緩慢に殺すのは仕方ない。

"Siriは人間を滅ぼすの?" "それにはお答えできません。"

やっぱり片親だから、と言われるのが嫌だから殺しました、これでゼロ親です。
誰か止めてよ! 環境破壊
誰か止めてよ! 生命維持装置
エコバッグエコバッグ言ってるだけで救われる地球なんて可愛くないから救いたくなーい。
石油まみれの海鳥くらい可愛くないと救う気にならなーい。
おばちゃんは可愛くないと優しくする気にならなーい。


Case.4
「君にあげる誕生日プレゼントは役立つものじゃなくて一切役立たないものをあげたい、エコバッグとか」
と恋人に言われた。
エコバッグ以上に役立たないものがこの世にあるか。
エコバッグなんて、好きな絵や柄を布にプリントしたい欲、でもTシャツはやり尽くされたからエコバッグあたりどうかな、なんかおしゃれだし、という作り手のエゴのみで生まれる代物だ。まだTシャツの方が役立つ、着れるから。まだポリ袋の方が役立つ、ゴミ捨てられるから。

エコバッグを作っちゃう人類は超可愛いからきっと地球は無事滅ぶだろう。
人類は超超超超可愛いからきっと老後はロボットが優しくしてくれるだろう。

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