良い人ほどアルコール依存症になる?
私は何百人のアルコール依存症患者さんと
接してきて、アルコール依存症に対する
世間の認識と現実が大きくかけ離れていると
感じることがあります。
私が勤務している病棟は
アルコール依存症患者さんだけでなく
統合失調症や認知症の方もいれば
若い人や高齢者、男性も女性も
LGBTの方もいる
いわゆる混合病棟です。
その中にアルコール依存症の方も
一緒に治療するのですが
若い男の子の患者さんや
認知症のおばあちゃんなどと
案外上手にコミュニケーション取れている
場合も少なくありません。
一緒に談笑したり
作業療法に取り組んでいる姿を見るので
心根の優しい方が多いんですよね。
もちろん性格に難がある患者さんもいますし
トラブルになることもあったりはしますが
相対的に良い人が多いように思えます。
決して無法者がなるわけではないのですが
世間ではそのような誤解を招いているなーと
思ったりしています。
〝飲まなければ良い人〟
アルコール依存症の患者さんは
8割から9割の方が
「飲まなければ良い人なんだけどね」
と言われた経験があると言います。
大体家族の方と
お話ししていると
「飲まなければ良い人」と
アルコール依存症の患者さん自身に対して
語られます。
それはなぜか?
私の解釈なんですが
〝良い人〟というのは
周りの評価であって
より具体的にいうと
周りにとって都合がいい人
とも言えます。
つまり他人に毒を持つことができない。
だから
・ストレスをうまく発散できない。
・家族以外の人に言いたいことが言えない。
・他人の目を意識しすぎる。
・過剰適応になりがち。
なんですよね。
そしてアルコールに関わらず
薬物などの依存症は
楽しんでやっているのではなく
苦しみを紛らわすために使っています。
アルコール依存症の方は
ストレスをうまく吐き出すことができず
その苦しみを紛らわすために
飲んでいるのです。
だから飽きないんですよね。
ここが大酒飲みとの違いです。
お酒が好きな方でも
楽しいと感じている人は飽きます。
でも苦しみや痛みを紛らわすものは
飽きるどころが日常において
必須な存在となってしまう。
これが〝やめられない状態〟つまり
依存なんですね。
お酒が抜けた状態ならば
認知機能が落ちていなければ
基本的に入院していなくても
日常生活は普通に送れますし
問題ない方々なんです。
それどころか
他人に相談したり
ストレスを吐き出すことを躊躇うような
真面目で繊細な人ばかりなので
どんな人にも優しかったりします。
真面目で優しくて
他人に毒を持てない。
これって違う精神疾患になりやすい人の
共通点に似てません?
そう
うつ病ですね。
うつ病になる方の共通点と
実はものすごく重なり合っていたりします。
実際に
うつ病からアルコール依存症になったり
アルコール依存症からうつ病になったり
することはよくあります。
良い人がアルコール依存症にならないためにはどうすべきか?
うつ病の方もそうですが
ストレスマネジメントが
治療において
最も重要ではないか?と思います。
もちろん社会に属していれば
ストレスは無くならない。
しかしそのストレスを
しなやかに受け流す技術を
学ぶ必要があります。
それがマインドフルネスだったり
コミュニケーションの練習
アンガーマネジメント
運動療法だったりするのです。
良い人は良い人のままでもいい。
ただ他人に迷惑かけないように、と
他人の顔色を伺ったり
言いたいことが言えなかったり
生じたストレスの発散がうまくできず
お酒を飲んで紛らわそうとすると
あっという間にアルコール依存症になります。
それを防ぐためには
同じ悩みを共有する仲間の存在が非常に大きいです。
だからアルコール依存症の治療において
断酒会と言われる
アルコール依存症の方の
集まりの場が大事なんですね。
特に精神疾患への偏見は確実に存在するので
アルコール依存症と打ち明けて
似たような悩みやストレスを
抱える人との関わり合いは
他に中々ありません。
断酒会は承認の場なので
アルコール依存症の方自身を
肯定してくれる場でもあります。
そういう自分を肯定的に受け入れてくれる
コミュニティをいくつも持っておくことが
ストレスに強くなる方法の1つで
アルコール依存症を回復させる
数少ない方法の1つです。
まだアルコール依存症になっていない人も
ストレスを
お酒や違法薬物
ギャンブルなどで紛らわしている人は
自分を肯定してくれるコミュニティを
見つけることから始めてみましょう😉
今日は更新する手前で寝てしまい
変な時間の更新となりましたが
あしからず🥺
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