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賽を振るは、神か人か -3-

 威圧的に俺達を阻む、日本の城のそれによく似た正門。その前に俺と6・Dは立っていた。もちろん、彼の傍らにはパートナーであるAIドローン。

 辺りは視界の先まで白塗りの高い塀で囲われており、中を覗くには渾身の力で跳躍する必要がある。常人であれば頂点どころか半分にも届くまい。

「しかしインターネット工作のための拠点というには……」
「豪邸だけど、ここで合ってる?クリス」
「はい、先方から提示された物理アドレスはこちらとなっています。おまけの先行隊の動画もどうぞ」

 古めかしく閉ざされた大男向けサイズの木の門、その隅にある日常的な使用向けと見られる常人サイズの木の戸を開けて突入していく警察の特殊部隊達。かなり物々しい装備だが、これで追い出されたという事はこの豪邸の危険度は相当なものだ。

「同じとこは……閉まってるな」

 慎重に門に近寄って同じように戸に触れてみるが、微動だにしない。無理にこじ開けるのも危険だが、さて。

「まーまー、ここはコイツの出番でしょ」

 どう侵入するか勘案していた俺の背に6・Dが声をかける。彼の手には色とりどりのダイスが乗っていた。いつも彼が運試しで使う物だ。

「ダイスの出目次第というやつか」
「そゆこっと」
「なら、俺は万が一に備えさせてもらう」

 彼の持つダイスは出目次第で俺達のその後が決まるという恐るべき代物だ。うまくいけばすんなり物事が進むが、少なくとも俺が同様のダイスを持ったところで出目1が続くのは目に見えている。そういう意味では俺よりもよっぽど強運な彼が持っているのが適切だろう。

 彼はダイスの中からスタンダードな、一見ごく普通のサイコロを選ぶと天高く放り投げて振る。差し出した平手の上で目が確定したサイコロは……2だ。サイコロを見、そして目を見合わせる俺達。

「あちゃー、ゴメン!幸先悪いっぽい!」
「仕方ないさ」

 とはいえ、ダイスの目の悪さは悪因悪果として発現する。まさにバクチだ。次に起こる何某かのトラブルに備えて持ち込んだ武装の中からハチェットを手にする。

「マスター、前方の門に振動を検知しました」
「振動?門自体に?」

 異変を警告するクリスに問い返すよりも早く、振動の正体が判明する。目の前の城門めいた正門は前面がパネルをひっくり返した様に開き、中から露出したのは剣呑な機械腕が左右に二本ずつ四本。さらには振動が激しくなると正門が上昇し下部から様々な火器が露出した。

『エーッ!?』

 思わず抗議の声を上げる俺達に構うことなく正門、いやゲートキーパーとでも言うべき奇怪正門は機械腕に握った棘付鉄球を振り下ろす!勢いがつく寸前に手にしたハチェットを投げつけ軌道を逸らして被弾を避ける!

 棘付鉄球はあえなく空振りしては地面に深々と突き刺さり亀裂を広げては再度威圧するように俺達へと向けられた。

「開幕からこれとはとんだカラクリ屋敷だな!」
「うへー、相場の二倍くらいは吊り上げとくんだった!」

 不満はもっともだが来てしまった物は仕方がない。ゲートキーパーはやる気満々なので逃がしてもくれないだろう。つまり、前に進むしかないのだ。

【賽を振るは、神か人か -3-:終わり:-4-へ続く

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