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賽を振るは、神か人か -2-

「マスター」
「なんだい、クリス」
「昨日のミッションからの関連で追加ミッションの打診が来ています」

 気分を切り替えて執筆に戻った俺の前で、昨日の暴徒鎮圧を共同した6・DへとパートナーAIより通知が入った。暴徒発生の関連と言えば、今回の暴動が人為的な情報操作による扇動が起因などが考えられる。

 いずれにしても内容如何によっては重大な事件だ。つい昨今も大規模デモの発端がフェイクニュースだったりして失笑した物だが、意図的に武力衝突に誘導したのであれば少々見過ごせない物だろう。もっとも何でもかんでも民間に委託すればいいという物でもないが。

「クリス、要点を簡潔に頼むな」
「はい。昨日の二派にわかれた武力衝突の原因はおよそ300アカウント程のフェイク・アカウントによる情報操作、扇動によってもたらされた疑惑がもたれています」
「うん、うん。それで?」
「捜査機関により扇動者の物理拠点位置が特定されましたが、昨晩突入した部隊は無力化された上で強制的に退去させられたとのことです」
「で、俺達に?」
「はい」

 ノートパソコンのモニタとにらめっこしつつ拝聴していた俺は眉根を寄せて懸念をあらわにした。もう少し頑張ってみてはどうだろうか、警察の連中は。こちとら一応は一般人という枠なのだが。

「受けるのか?」
「受ける。今回の流れは気にくわなかったし、それがどっかのスカム野郎が糸引いてるってならなおの事ぶちのめしに行けるってのは渡りに船じゃん?」
「フムン」

 今回の暴動については俺の方は詳細については深く把握していない。もとよりインターネッツストリートファイトには関心が薄いのが大きい。個人、ないし何等かの組織が扇動したという事実については、若干関心がなくもない。

「来てくれる?」
「行くのはいいが、トラップもりもりの拠点探索となれば30分ではい完了とはいかない。ので、対価は先方へきっちり要求してほしい」
「R・V、報酬に関しては厳しいよなー」
「他者の労働に敬意を持たない奴に関わるとろくなことがないからな」

 仏頂面で断言する俺に苦笑して肩をすくめる6・D。例えブッダに諭されたとしても、如何なる労働にも適切な対価が支払われるべきという信条については一切変える気がない。

「クリス、先方に対して報酬割増要求しといてくれ。そうだな、昨日差っ引かれた分と合わせて相場の6割増しくらいで」
「了解しました。渋られたらいかがいたしましょうか」
「断っていい、ただ働きしたいわけじゃねーし」

 6・Dの指示を把握したのか頷くかの様にAI端末ドローンは上下に浮遊し、ホログラフィック映像めいた装飾羽をちかちかと瞬かせる。俺が2文節程度書き進めた頃合いで、クリスは返答を受領した。

「マスター、こちらの提示した条件を受領させることに成功しました」
「グッド!昨日もそうすりゃよかったな」

 なんせ急だったから、と続ける彼の言に俺も頷く。今後はもっと焦らしてやってもいいだろう。

「しかし、インターネット扇動の拠点か……一体どんな施設なんだろうな」

【賽を振るは、神か人か -2-:終わり:-3-へ続く

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