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「今日の文豪さん」

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愛すべき文豪・詩人・活動家たちの私生活を勝手に書いた二次創作作品 文豪さんのパートナーさんも登場したりする
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記事一覧

「渇破口」ーかっぱこうー①

「渇破口」ーかっぱこうー①

若菜雪

春菜雪

春に降る雪

桜雪

満身綺麗の人、帰り来たりて涙襟に満つ

(まんしんきらのひと、かえりきたりてるいきんにみつ)

蚕を飼う人ではない人は
自ら絹を好み纏う
たも美しくあれと、誉れと思い絹を贈る

蚕を飼う苦労を知らぬ者は
さも自らが稼いで買ったかのように
その身を飾る

美しくあれば、たも溜め息で見惚れてしまう

ふさわしき人が身につける事柄と納得しながらも、美しき人と我が

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「Bar  駝駱龍〈ダラクロン〉」

「Bar 駝駱龍〈ダラクロン〉」

『RIICHとTATUOと二人のNAOKOと時々YOSIKI」呑めないくせに我々三人は酒を浴びるように飲み、ダレて行った
YOSIKIに至ってはアルコール・・痛み止めの鎮痛剤まで一緒にあおり始めた

「は、鼻の裏側に熱いもの!いや冷たい!のぼったりおりたり、スーッと通って行く!!」

(体感異常というやつかしら?まだ末期ではなく、中期症状の望みはあるだろうか)

YOSIKIは🥃を握りしめて、ゆ

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『虹と君とホトトギス』愛子と柏翠の見た夢ー追句

『虹と君とホトトギス』愛子と柏翠の見た夢ー追句

【美佐尾の場合】

美佐尾はやや大柄なので

着物の柄も模様の大きなものを

よく着こなしていた

しかし久しく見なかったうちに

独り身になり、女の子を育てていた

洋装になり、断髪にして黒髪は顎のあたりで

毛先が揺れていた

健康的で、躍動的で、安心感のある人だった

もしも愛子もこの人のように

も少しでも丈夫であったらなあ、と

美佐尾にはどうしようもないことを

考えてしまった

この

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「花鳥禅的」

「花鳥禅的」

自然の理・摂理・叡智とはなにか
男と女があり
手を取り合い
居を構え、愛を育み、子をなす
そこに男と女があれば自然に引き寄せあい、身体は凹凸にぴたりとおさまる
かぐわしい髪に酔い、肌に触れ、身体の中で混じり合い溶け合い、女の血の中を走り抜け
その結晶は裸の、火がついたように泣く赤子として生まれる
それがことわりなのか
人は寿命と病と死からは、逃れられぬものだろう
しっくりと収まるところに物事は落ち

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『虹と君とホトトギス』愛子と柏翠の見た夢

『虹と君とホトトギス』愛子と柏翠の見た夢


[愛子の場合]ホー ホケキョ
愛子が死んだ
ホー ホケキョ
四月一日
何かの間違いだ
ホー ホケキョ
私の方が先に逝くはずであったのに
御仏は私に何を試そうとしてあられる
ホー ホケキョ鶯(ウグイス)は喜んで枝から枝を金粉を撒き散らして飛び回る、その愛らしい姿と澄んだ声
鶯は愛子
私は不如帰(ホトトギス)
血を吐くまで鳴き、句を胸を掻きむしりながらまでうたいたい
ゆえに愛子は体調が優れな

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「夜を駆ける」血の気の多い女優・須磨子の夢

「夜を駆ける」血の気の多い女優・須磨子の夢


「カチューシャかわいや乙女」
「サロメのごとく狂女」
「カルメンヤマンバ」【日毎夜毎、須磨子は絶叫演劇】
【私生活も破廉恥!盲目の恋!】
【抱月氏との蜜月は藝術座の成功の鍵!】[今日のインタビュアーは女優・松井須磨子さんで~す]
[松井さん、お疲れのところ大変恐縮です!]なんとでもお言いな
構わないさ
あたしは松代の田舎の、元は藩士の出だけどもさ
ちっとも器量は宜しくない
万年貧乏ときて、もうち

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【黒い森】~雨蝶の夢~

【黒い森】~雨蝶の夢~

[雨情と無情]北の森の要塞と呼ばれるNingooは、コンクリートの外壁に長い年月をかけて浸食して出来た、自然のバリケードに覆われ非常に安全であった
ゆえに、この要塞『金の船』分社代表代理となったUZYOH.NOGUTIは、自然の脅威に大いに阻まれ容易に足を運べない、うるさい編集者から安眠を死守出来ていた
RIKA.MUZYOHは、若いながらも敏腕締め上げ・・no
敏腕〆切・期日前完全提出・第1級伴

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【全然わくわく出来ない島】澁澤龍彦艦長の船

【全然わくわく出来ない島】澁澤龍彦艦長の船

天使と言えば澁澤龍彦
悪魔と言えば澁澤龍彦
怪物と言えば澁澤龍彦
荒俣宏先生だろ!
とも言いたいが
「ソフトな肌触りのほう」を求めるなら澁澤龍彦をお薦めする
少女が裸体で肌掛け布団にくるまり
その羽毛のようなくすぐったさと
季節の変わり目や体調が敏感だったりで
ピリピリと刺激されて寝付けない感じとかが、澁澤龍彦っぽいからだ
わたしの澁澤龍彦のイメージは乙女なのだ
そして一角獣
澁澤龍彦は乙女で

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