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運命と私

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運命には逆らえない。運命に翻弄されながら生きた女性の一生。
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2020年1月の記事一覧

運命と私 41

運命と私 41

私はついに祐一に家の場所を教えることにした。

ラーメン屋さんから車で3分の距離にある私の家までの道案内をした。

高台にある私の住んでいるアパートは古いけど、
可愛い外観で私は気に行っていた。

「そこの坂を上ったところが家なんだ。」

「坂は大変だけど、駅から近くていい場所だね。」

「そうなの、でも緩やかな坂だからキツく無いよ、
駅近で家賃も安いの。」

「今度ぜひ招待して、楽しみにしてる。

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運命と私 40

運命と私 40

「性の不一致」という言葉は知っていたけど、
自分は無縁だと思っていた。

優しい祐一だが、
触り方が雑で自己満足のセックスだった。

女性が苦手だから経験が無いのかな?
セックスがすべてでは無いと私は自分に言い聞かせた。

「合わない」そう思ったのは私だけだったようで、
祐一は満足な様子だった。

祐一は軽くシャワーを浴びて来ると、
「今夜泊まって行かない?
明日はクリスマスイブだから一緒に買い物

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運命と私 39

運命と私 39

おもしろい映画だったけど、
他人の家が苦手な私はあまり集中出来なかった。

映画が終わると、
「おもしろかったね、もう1本映画観ない?」と北沢が聞いて来た。

「いいよ、おすすめあるの?」

「ある、ニコラスケイジの映画なんだけど、
おすすめなんだ!」

私たちはまた映画を見始めた。

2本目の映画が終わると、
もう外は薄暗くなっていた。

2本映画を見て疲れた私は立って背伸びをした。
すると北沢

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運命と私 38

運命と私 38

北沢と駅で待ち合わせて、
お昼ごはんを買って北沢の家に行くという流れになっていた。

急いで駅に行くと北沢の車が止まっていた。
「遅れてごめん」と言うと、

「大丈夫、俺も今来たところ。
さっ行こうか?お腹空いたよ。
お昼はケンタッキーでも買う?」

「うん、ケンタッキーがいい!」

北沢は優しい。
だから余計に心が痛い。

ケンタッキーを買って北沢の家に向かった。

北沢の住んでる部屋は、
2階

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運命と私 37

運命と私 37

今日は土曜日。あれから1週間が過ぎた。

北沢とは毎日のように連絡を取り合っていた。

そして今日は12月23日、クリスマスイブ前日、
私は始めて北沢の家に遊びに行くことになった。

お互いアクション映画が好きで、
最近レンタルが始まったトムクルーズの映画を見ようということになった。

1人暮らしの男の人の家に行くということは、
何があるかわからない。
でも北沢は安心かな?

しかし何があるかわか

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運命と私 36

運命と私 36

私はおすすめのラーメン屋を北沢に教えた。

「ここの味噌ラーメンと餃子めっちゃおいしいの!」

北沢は一口食べて、
「本当だおいしい!」と喜んでいた。

「家から近いから行きつけにしようかな?」

「行く時は私も誘ってね。」

「うん、もちろん。」

食べ終わり時計を見ると10時を過ぎていた。

「さて、そろそろ帰ろう、
運転お疲れ様、ゆっり休んでね。」

「大丈夫。
川崎さんといると楽しいから疲

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運命と私 35

運命と私 35

私たちはカフェを出て近くを観光する為に、
車に乗った。

「落ち着いてて雰囲気の良いカフェだったね。
海が見えて眺めもよかったよね。」

「気に入ってくれた?」

「うん、また来たい!」

「良かった。」

北沢は穏やかで優しい。

私たちは水族館に行って、
灯台に行って、
ハーブガーデンに行ってと、
日帰り観光を満喫した。

水族館に行くのは20年ぶりぐらいだった、
ゆったり泳ぐ魚を見て癒され、

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運命と私 34

運命と私 34

カフェは細い道を抜けた所にあった。

北沢は運転が得意だと言っていたけど、
こんな大きな車をこんな狭い道で、
こんな狭い駐車場に止めるなんて、
本当に運転が上手い!

私たちは海の見える席に座った。
一定のリズムで寄せては返す波を見ているとなぜか気持ちが落ち着いた。

おすすめのパスタとピザ、
私は温かい紅茶、
北沢は温かいコーヒーを頼んだ。

「川崎さんってコーヒー飲めないの?」

「うん、香は

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運命と私 33

運命と私 33

久し振りに海に来た。

風は思ったほど冷たくなくて、
日差しがあるから温かかった。

空は青く高い、そしてどこまでも続く水平線に、
波の音と鳥の声そして潮の香りが最高の癒し。

私たちは砂浜を少し歩くことにした、
砂に足が沈む感覚を久し振りに感じて、
なぜか私は子供のような気持ちになった。

「海に来るのは7年ぶり!
北沢さんは夏は海に行くの?」

「ボディボードをやってたけど、
もう2年は海に行

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運命と私 32

運命と私 32

こんなにうきうきする朝は久し振りだ。

家を出ると風が冷たく痛かったけど、
今の私にはその痛さも楽しく感じた。

駅に着くと北沢は車から降りて待っていた。

私に気が付くと北沢は満面の笑みで手を振って来た。

「おはよう。」

「おはよう!大きな車ですね!」

北沢の車は白のサーフだった。

「車が好きなんです。寒いから早く乗って下さい。」

私たちは海に向かって出発した。

冬の海に行く人は少な

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運命と私 31

運命と私 31

「この前はごめん。
おしゃれな格好で男に会いに行くと思ったら、
悔しい気持ちになって、
ヤキモチなんて女々しい男だよな、
川崎と離れて、俺にとって川崎は大きな存在だったって気が付いたんだ。
このままあいつと愛の無い暮らしをしてくのかと思うと、
不安になって、こんなメールごめん。
また返事はくれないんだろ?
自分がこんなに弱い人間だったなんて・・・
歳のせいかもしれないな。ごめん、おやすみ。」

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運命と私 30

運命と私 30

「今、電話してもいいですか?」

夜の9時に北沢からメールが来た。

私から掛けたほうが良いのか迷ったけど、
「はい、大丈夫です。」
とメールを送った。

するとすぐに電話がかかって来た。

「すみません、夜分に・・・」

「いえいえ、まだ起きてたから大丈夫ですよ。」

「週末のドライブなんだけど、
いいカフェ見つけたんだけど少し遠くて・・・
大丈夫ですか?」

「時間はどれぐらいかかるんですか?

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運命と私 29

朝から気が重かった。

職場で不倫なんて・・・別れると地獄。

江藤の顔を見るのが嫌だった、
気持ちがまた江藤に行ってしまうのが怖かったからだ。

私は北沢の最寄りの駅で電車が止まった時に、
北沢がいないか確認したけど、
北沢はいなかった。

北沢に会えたら少しは元気になれると思ったのに残念。

職場に行くとまだ江藤は来ていなかった。

「昨日のデート楽しかったですか?」

後輩の中谷が聞いて来た

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運命と私 28

運命と私 28

大きな駅に電車が止まると一気に人が降りて、
私たちは開いてる席に座ることが出来た。

私の顔はまだ熱かった、

「大丈夫ですか?」と言って北沢は私の顔を触って来た。

私が驚いた顔をすると、
「あっごめんなさい!」
そう言って北沢は急いで手を離して真っ赤な顔になった。

私はそんな北沢のことがかわいいと思えて来た。

北沢は家まで送ってくれると言ってくれたが、断った。

今の家に6年以上住んでいる

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