魔夜寧図伯爵

今を死んで生きている社会人1年目。23才です。気が向いたら読んでみてください。多くの人…

魔夜寧図伯爵

今を死んで生きている社会人1年目。23才です。気が向いたら読んでみてください。多くの人に読んでもらった上で、アドバイスや感想等があると嬉しいです。 自分の書いた文に絵をあててもらうことが夢です。 よろしくお願いします。

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  • 向かう席

    主人公と中学生の女の子。塾を通じたふれ合いのお話。

  • The Great Battle of students

    学生戦争(本格ver)

  • 合わせる奴と進む奴

    恋愛物です。恋愛物なのでしょうか。いえ、恋愛物と言わせてください。そして申し訳ないですが、フィクションです。

最近の記事

ウン命

 男ならば絶対に守り通さなければならない事がある。  一つ目はプライド。プライドがなく、常に流されて生きる男に社会という荒波を航海出来るほどの技術はない。上の者に媚びへつらい、下の者に強く当たる。一般的な社会人として、平凡極まりない人生を送るに違いないのだ。私はそうはなりたくない。絶対にプライドは失わない。  二つ目は女の笑顔。これは男が人生を賭してでも守らなければならない物の一つだ。プライドなら特定の場面でなら捨て去ってもよいかもしれんが、女の笑顔はいついかなる時でも守らな

    • 向かう席

      9時。 肌を突き刺すような風が吹く。 まだアップ段階。 体が温まっていない。 一番辛い時間。 一番部活が嫌になる時間。 「真奈ー。走るよー」 同級生の香織。 三年生が引退してから、部長を任されている。 明るく、あっけらかんな性格だ。 みんなに好かれていて、部長投票も満場一致だった。 「はぁーい」 冬休みになってからは毎日のように部活がある。 しかも朝。 信じられない。 ただでさえ、寒いのに、なんで朝。 しかも外。 私たちは剣道部だよ? 室内スポーツなのになんで外で…

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        「真奈ちゃーん。起きてるー?」 「」 「今日は冬季講習最初の授業ですー。部活明けなのはわかるけど頑張ろー?」 「」 (さて、どうしたものか。部活後の塾というのは生徒にとっても講師にとっても大敵。一度、眠くなってしまったが最後。際限のない睡魔に常に襲われ続ける。打開するには、一度思いっきり寝てしまうか、驚かせたり、笑わせたりして、気を紛らわせるか。むろん、俺の手は後者。真奈ちゃんを本気で寝かせてしまっては授業が2コマ分無駄になってしまう。俺の話術でなんとか起こすしかない

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          「国語の長文は全部読み切ってから問題を解くんじゃなくて、傍線が出てきたら、その都度問題文を読んだほうがいいよ」 「んー----。」 「どうしたのよ」 「文章全部読み終わる前に眠くなっちゃう」 「頑張るしかない」 「文字ずっと見てると眠くなっちゃうんだもん」 「本とか読まないか」 「読むわけないじゃん」 「面白いのに」 「登場人物覚えられないもん」 「よくわからないな」 「先生、本読みそうだね」 「1週間に2冊くらいのペースで読んでるよ」 「うへぇ、き

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          「先生、こんばんわー」 「はい、こんばんわ」 「今日の授業は何ですか」 「それを聞くあたり、宿題をやっていないね」 「先生、真奈のことわかってきたね」 「宿題をやらない理由はわからないよ」 「真奈も」 「そうきたか」 「でも、やる理由もわからない」 「わからないなら、とりあえずやろう」 「理由がないとやりたくない」 「なるほどねぇ」 「宿題をやる理由って何?」 「宿題は宿題をやらないから俺は出してる」 「意味わかんない」 「宿題をコンスタントにや

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          「おっすおっす」 「うぃーす」 「今日小テストないよな」 「あってたまるかってんだ」 「だよな」 「小本、勉強してるの?期末の」 「いやぁ、なんも。授業数多いからそろそろやらなきゃだな」 「俺もだ。授業10個取ってんのに未だnothing。死が見えるね」 「バイト入れまくってるわ」 「バイトって塾講だっけ」 「そう。週4で行ってるわ」 「ヤバすぎだろ。社会人かお前」 「生徒が俺を指名してる以上、その子が来る日は行かないと」 「女の子?」 「そう、中

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          「とりあえず完走。あと10分くらいで授業終わるね」 「もう何やったか忘れた」 「えー、それはないよ真奈ちゃん。今日は日本の歴史の始まりだよ?卑弥呼様と邪馬台国のお話だったじゃない。日本の歴史における最初の王が女性だったんだよ。元始、女性は太陽であった、の言葉通りじゃない」 「真奈、理科も嫌いだよ。原子とか分子とか意味わかんない」 「原始じゃなくて元始ね。昔の人が言った言葉なんだよ」 「興味な〜い。昔の言葉は昔の人にしか響かな〜い」 「むむむ、何か真理をついてるよう

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          「んで、弥生時代は稲作が始まったわけです」 「真奈はご飯よりパン派〜」 「稲作が始まった事で平等性が失われ、戦争が起こり、クニができていきました」 「……………………………。」 「そのクニの中で、みんなが知ってるクニが1つありますね。そう、卑弥呼が治めていた邪馬台国ですね!」 「……………………………。」 「卑弥呼は知ってるよね、真奈ちゃん。ほら、鬼道でクニを………。って、アレェ……?」 「……………………………。」 (アレェ……。目開いてるのに寝てるぅ……?

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          「せんせー、こんにちは」 「はぁい、真奈ちゃんこんにちは」 「今日の授業はなんですか?」 「んー、そうかー。それもわからないまま来ちゃったかぁ」 「そうだよ。だってウチ勉強嫌いだもん」 「塾に来てるだけ偉いよ」 「ほんとだよ〜。私の席はここですか」 「そうです。というか椅子はこれしかないですよ」 「はい、座りま〜す」 「よし、じゃあ英語から。今日は2時間やるよ〜」 「えぇ〜!そりゃあないぜ!」 「でもいくぜ!はい、今日は中2の英語の難しいところだよ」

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          トンネルを抜けると、そこは一面緑水であった。 川に移る草木は、まるで冨樫を嘲笑うかのように揺れていた。 夏とは思えない涼しさ。 そして喧騒とは一味違う蝉の声。 郷愁感が目を突き通る。 1人で来い、という言い付けを冨樫は守った。 堀北は勿論、止めに入ったが、それ以上にこの1人での出立には大きな意味があった。 灌頂大学。 冨樫が猛華に戻った後、その大学が智鶴に攻め入っていたことを聞いた。 それと同時に明らかになった此度の上律の思惑。 上律の狙いは当初から玲穣であり、我らで

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          小本三次郎。19歳。 都内の大学に通う1年生。文学部。 神奈川に実家を持つが、大学生という事で一人暮らしを開始。しかし、良い家が見つからず、結局横浜市内のアパートを借りた。大学までの所要時間は実家からとさほど変わらない。 華はない。 女の子が多い大学ではあるが、そういう類の話もない。 魔法使いまでの道のりを順調に歩んでいる。 幸にして、所属学科が少人数であるため、学科内での仲は良く、授業で完全ボッチになることはそこまで多くない。 だが、小本自身、1人になることに対して嫌悪

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          ピピピピピピピピピピピッ。 ………………。 ピピピピピピピピピピピッ。 …………………………………。 ピピピピピピピピピピピッ。 ……………………………………………………………。 ピピピピピピピピ……。 ドラァァァァァァァァァァァァ! でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ! 「うるせぇぇぇぇぇぇぇえ!テメェいつまで鳴ってんだゴラァ!!!さっき消しただろうが!!金曜の夜に目覚ましかけたまま寝た俺が悪いところまではわかってるんだァァァ!でもよ、スヌーズってなん

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          板橋城の戦いが終わり、2日目の朝。 狭山香織は1人、馬に乗り城門をくぐった。 彼女は戦い最終日に松田に捕まり、捕虜となった。 しかし、翌日には松田から直々に、解放すると告げられた。ある言伝を授けられて。 板橋城の城門を出ると、狭山香織は馬の腹を蹴り、足を早めた。 目指すは猛華前衛の城、戸田城。 そこに堀北はいる。 彼女の鼓動は激しくなるばかりだった。 ✳︎ ✳︎ ✳︎ 菊池鈴は板橋城から撤退後、そのまま玲穣の地へと向かった。 生ける屍。 生気を失った彼女にはまさにぴ

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          玲穣北上を中止し、富津城を開放した中川真奈と寺仲裕一は上律へ向かう船の中にいた。 この船は本作戦が始まった当初から隠していたもの。 智鶴に動きがなく、対智鶴戦線の玲穣軍が本格的にこちらの殲滅にかかるとわかった瞬間、富津に残っていた兵に船の準備をさせ、撤退してきた中川と寺仲は悠々と船に入った。 松田の予想は外れた。 智鶴は玲穣に入ってこなかった。 それに南下してきた玲穣軍の大将、庄司礼奈は中々の曲者だった。 何も中川・寺仲に倒せない相手であったわけでもないし、実際に刀を交え

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          「俺の予想だが、智鶴は玲穣に攻め入る事を躊躇う理由が急に出来たのだろう」 板橋城南門城壁。 つい昨日まで激戦が繰り広げられた壁。 その上に2人は立っていた。 もうすぐ日が暮れる。 大地を日が赤く塗りつぶしていた。 「ふーん。で、その理由は見当ついてるの?」 「いや、確信して言えるものはない」 「あんたにしては珍しいね」 此度の戦いで松田が動かそうとしていた智鶴大学。 彼らが手薄となった玲穣に入ってくる事。それによって玲穣をさらなる混乱へと陥れ、上律は房総半島側から領

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          「鈴山。次はお前についてだ」 名指しにされた鈴山は意外にも動じなかった。 自分のことが話題に上がる事は予想していたようだった。 「周りの奴らから聞いた。今回、鈴山軍が苦戦したのは自分達の兵の多くを他の城に置いてきたからだそうだな。お前らは主力を置いて、手勢だけでこの城を訪れ、敵にそこを狙われた。そも、お前らは別の城に当初、入城したはずだ。尾上と協力する必要があったとはいえ、不注意な行動だったとは思わないか」 「はい。返す言葉もありません」 座ったまま彼は頭を下げた。

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