向かう席

「おっすおっす」

「うぃーす」

「今日小テストないよな」

「あってたまるかってんだ」

「だよな」

「小本、勉強してるの?期末の」

「いやぁ、なんも。授業数多いからそろそろやらなきゃだな」

「俺もだ。授業10個取ってんのに未だnothing。死が見えるね」

「バイト入れまくってるわ」

「バイトって塾講だっけ」

「そう。週4で行ってるわ」

「ヤバすぎだろ。社会人かお前」

「生徒が俺を指名してる以上、その子が来る日は行かないと」

「女の子?」

「そう、中2の」

「めっちゃいいじゃん。可愛い?」

「子供だよ、まだ」

「塾講って女子生徒から告白されたりすんだろ?」

「漫画の中ではな」

「お前はそういうのねぇのかよ」

「ないし、あっても断るだろ普通。中学生だぞ」

「堅いこと言うなよな。中学生たって俺たちとは5.6才差だぞ。そのくらいの年齢差は大人の結婚では普通にあるじゃんか」

「だーかーら。別に出会いを求めて塾講やってるわけじゃねぇから」

「バイトで出会い求めないでどこで求めるんだよ」

「その恋愛至上主義やめてくれ。俺にはもっとやりたいことがあるんだから」

「ほーん。でもさ、その女の子はなんでお前を指名してるんだ?他にもカッコいい先生とかいるだろうし」

「そういや知らないな。いつからか俺があの子の担当になってたんだよな」

「その子、なんか変わったか?」

「最初に授業やった時は驚くほど話さなかったよ。本当に一言も。でも今は驚くほど話してるよ。授業が進まないくらい」

「舐められてんじゃん。お前」

「否定はできない」

「担当制ってなると、成績上げられないと親から色々言われたりすんだろ」

「今のところはないけど、多分ある」

「嫌だねぇ、怖いねぇ。だから塾講はやりたくなかったんだよな」

「岸本は何やってんだっけ」

「俺は居酒屋。可愛い同級生いっぱいいるぞ」

「居酒屋も同級生も興味ねぇー」

「マジでー?可愛い女の子いたらやる気出るだろ」

「幸せなやつだな。異性があればやる気出るなんて」

「お前もじゃん。その子がいるからやる気出てんだろ」

「そういやそうだ」

「手出すなよ。犯罪だぞ」

「お前が言うな」

「俺は合法の人に手を出すつもりだ」

「まだ出せてねぇのかよ」

「気を見計らってるだけだ」

「楽しみにしてる」

「「Hello Everyone 」」

「お、来た」

「Mary, Hello」

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