向かう席

「んで、弥生時代は稲作が始まったわけです」

「真奈はご飯よりパン派〜」

「稲作が始まった事で平等性が失われ、戦争が起こり、クニができていきました」

「……………………………。」

「そのクニの中で、みんなが知ってるクニが1つありますね。そう、卑弥呼が治めていた邪馬台国ですね!」

「……………………………。」

「卑弥呼は知ってるよね、真奈ちゃん。ほら、鬼道でクニを………。って、アレェ……?」

「……………………………。」

(アレェ……。目開いてるのに寝てるぅ……?なんか膝に手を置いて、集中して聞いてると思ったら、これ魂抜けてるんじゃないの?真奈ちゃんのおっきい目が開ききっちゃってるよ。可愛い通り越して怖い!真奈ちゃん目を覚まして!いや、覚ましきってるのか!)

「えー……。真奈ちゃん?大丈夫でございますか?」

「ふぁい」

「寝てた?」

「寝てないよ。目開けてたじゃん」

「いや、でもピクリとも動かなかったから」

「集中してたんだよ、多分」

「そ、そうだよね!」

「先生はパン好き?」

「あー、好きだけど、ご飯のほうが好きかなぁ」

「真奈も。朝ご飯は絶対ご飯だよね」

「あれ、さっきパン派って…」

「社会嫌いなんだもん。全部反抗的になっちゃう」

「稲作に対抗したわけね」

「昔の人が米作り始めた事とか興味ないもん。おいしいお米の種類とか炊き方教えてよ」

「それは家庭科でやるんじゃないかな」

「じゃあ家庭科を始めます。先生の得意料理はなんですか」

「凄い展開だね。俺は炒飯とかオムライスとかかな」

「そんなんじゃ、私とは結婚できないですよ。小本さん」

「お見合い?」

「私の好きな食べ物、知っていらして?」

「んー、お好み焼き?」

「今回は破談ということで」

「もう一度チャンスを。てか、破談なんていう難しい言葉よく知ってるね」

「ドラマで覚えた。では、こちらからもヒントを。真奈は水族館が好きです」

「恐ろしく役立たずなヒントだね。水族館で食べれるものってことかな」

「正解はネギトロ丼です」

「水族館の魚を食用として見てる側の人間なのね」

「水槽で飼われるより、死に様を美味しく飾った方が名誉だと思わない?」

「死に様が凄惨なんだよね」

「難しい言葉」

「ごめんごめん」

「で、卑弥呼がネギトロ丼用の米を作ったの?」

「もしそうなら俺の今までの歴史勉強の概念が崩れちゃうよ。卑弥呼のクニでも稲作はやってただろうけど、ネギトロ丼用ではないんじゃないかな」

「じゃあ昔の人は米を作って何で食べてたんだろう?」

「あぁ…、そういわれると俺も今まで考えたことなかったなぁ…。」

「もしかして…、人の肉!?」

「いやいや!そんなこと…ない……とも言い切れないかな…………。」

「嫌だ。どんどん歴史が嫌になっていく」

「食べてなーい!!!!!絶対人の肉なんて食べてないよ!!カニバリズムなってあってたまるか!」

「カニ?カニ食べてたの?」

「そう、カニだよ!カニ雑炊でも食べてたんじゃない?」

「ならいいかも!」

「弥生時代の人も美味しいもの食べてたんだよ」

「なんかでも私ですら普段食べれないものを食べてたって考えると何か腹立つな。やっぱ歴史嫌い」

「うそっーん」

「昔の人の生活なんか興味ないもん」

「昔の人の生活を知って、今の生活に役立てるんだよ」

「私が携帯見たり、バス乗ったりするのも弥生時代の人から知識を得たことなの?」

「よし!歴史やめよう!家庭科やろうか!」

「うん!でも待って!トイレ行ってくる!」

バンッ‼︎‼︎‼︎

「扉は静かに閉めて!」


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