047 | 東京大学生産技術研究所に「MAKING MAKE」展を見に行った
先週末、東京大学生産技術研究所がある東大駒場キャンパスまで、自転車で向かった目的はもう1つ。山中研究室「MAKING MAKE」の展示を見る事。
山中俊治さんの研究室では、研究のアプローチとしてプロトタイプを制作する。スケッチや試作品などから、その過程を再現する。
A M R o b o t
歩行する機械=ロボット、をコンセプトに動力部を除く機構すべてを、3Dプリンタによって湧出させるのは、生物の誕生に少し似ている。
一括成型させられるだけに、構造設計段階の試行錯誤はより深くなる気がする。なにしろ一発なんだから。
まだ動力を擁さないプロトタイプは、どんな夢を見るのだろう。
この白いプロトタイプ、私には「SPACE:1999」のイーグル号を思い出させる(古い・苦笑)。
こっちのは熱心に詩でも読んでいるかのよう。
クラゲの幼生を思わせる。
3次元的に足(腕?)の動きを制御する。
新種誕生、とは言え進化の流れのまだ最初なのかな?
ロボットと言えばヒトやその他の生物に似てるのが相場だけど、これは何にも似ていない。球体に、大根みたいな平たい円柱に、下から綿棒みたいのが生えている。着ぐるみ化されたゆるキャラも裸足で逃げるシュールさだ。動きもシュール、夢に出そう。
つ な が る か た ち
細かな構造を連続的に繋げて表面を変化させる。
立体的なパズル玩具のよう。
キリキリと勘合している。
パーツの繭。
人体にフィットするサーフェスへ。
生 き - モ ノ
見る人に「生き物のような印象」を与える事と、近づくと逃げる箱。
機構はシンプルに思える‥、
何かが近づくとセンサーで同一軸の左右に移動する箱を‥、
同一線上に並べて、箱と箱の間に足を入れたり手をかざすと、全体で芋虫の節のような動きをする。面白くてつい何度も遊んでしまった(子供か)。
す っ き り と し た 単 語 帳
解説図がなんか回路図みたい。その「すっきりとした単語帳」はコクヨ・デザインアワードでグランプリを獲っている。製品化はまだなのかな。
http://www.kokuyo.co.jp/award/archive/prizepast/2015.html
A p o s t r o p h
「立つ」という動作をする時に、かかる重力が小さくなる姿勢を探すロボット。
ところで、この研究と言うか研究室で描かれるスケッチは、パキっとしていて見てて気持ちがいい。
機構を考えて‥、
試作する。
また試作する。
そして完成する「立つ」ロボット。でも、これも何かのための試作なのだろうなー。
陸 上 競 技 用 義 足 R a m i
陸上選手のための義足の、制作の流れが時系列に示される。足をおさめるソケット部は、骨組織を模したようなデザインだ。 昨年見た Designing Body 美しい義足をつくる で、このスタイルのモデルは試作段階のように見受けられたけど‥。
手書きのキャプションも素敵。
実装試験に辿り着いている、かっこいい。
E L E G A N T C E L L
デザイナー自ら細胞を培養してカタチを作る。
解説図も生々しい、ちょっとヤン・シュヴァンクマイエルみたいな世界観。
光るヒトガタ。
学府が研究の成果や進捗を、一般の人たちに知らせたり、広く世の中の関心を高めたり、シンポジウムなどを通じて発信する活動を「アウトリーチ」と言うのだそうだ。私がこの時の週末に見させてもらった、東京大学生産技術研究所の2つの展示「はじめての真空」展と、この「MAKING MAKE」は、アウトリーチ的なベクトルで組み上がったものと言えそうだった。
学府としての義務などではなく、研究成果と言うよりも「自分達は普段こんな事考えてますよ」とか「こんな試行錯誤したりしてますが」みたいに、相手が専門家かどうかに関係なく、と言うかむしろ専門外の人に見てもらいたい、研究者の心意気が結晶していた。
見ていて気持ちがいい、面白い、全く門外漢の私のような者も。知識と言うより、新しい気づきやひらめきがあって、それを感じる事で、擬似的に研究の流れを体感する。
「MAKING MAKE」はプロトタイプを作る過程とその着地点が、丁寧に示された 時 間 の展示だった。
http://www.design-lab.iis.u-tokyo.ac.jp/exhibition/proto2016/
2016年6月11日まで。
060704追記
「MAKING MAKE プロトタイプの制作絵巻」展は、見逃した人のために「はじめての真空展」第2期開催に合わせ、度公開することになったそうです。素晴らしい><。期間は7月13日(水)から7月16日(土)までの4日間です。