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読書のアウトプットがメインでしたが、趣味のもろもろ含め文章にしていきます。 映画、音楽…

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読書のアウトプットがメインでしたが、趣味のもろもろ含め文章にしていきます。 映画、音楽、アロマ、薬膳、化粧品など #読書好きな人と繋がりたい 好きな言葉は 『人生は願望だ、意味じゃない』

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大谷翔平さんとその気立の良さ

気立の良い人、と聞き、あなたはどんな人の事を思いつくだろう。 き‐だて【気立】 生来の心の持ちよう。心だて。気質。性質。「気だてのやさしい人」(広辞苑) 心の持ちようとか気質とか、性質の中でも、"生来"なわけだから、先天的に持ち合わせてるようなものなのか。ということは、生まれつきで決まるものなのだろうか。 ある程度人の能力なんて限られる。結局は手持ちのカードだけで生きていかなきゃいけないわけだから。 自分が生来どんな人間かがわかればわかるほど、なりたくてもなれない、手

    • 寂しさが飽和する、逃げ場のない世界ー正欲(朝井リョウ)

      ※長いし、ちょっと暗いし出口がない。でも私なりにまとめた感想です。 目次 ⬛︎読んだきっかけ ⬛︎正欲に登場する人々 ⬛︎"明日死にたくない"が、正常? ⬛︎隠れている自己責任論 ⬛︎共通するのは"理解されたい"気持ち ⬛︎読んだきっかけ『過去10年で最高の言語体験でした。』と大学時代の友人が薦めてくれたので読んだ。 読み終わって感じたことは、『この世界には逃げ場がない』。 友人にそのまま伝えると『欲望に対していい悪いをちゃんと向き合ってこなかったのかと不安になったけど

      • アリス・イン・ワンダーランドと実存主義ー壁(安部公房)

        安部公房の『壁』に登場する人たちは、ある日突然奪われる。 名前、影、目、家ーー それはいわゆる自己証明と言えるものだ。 少なくとも現実世界を生きる上で、他人からあなたはあなたであると言われるためには必要なものだ。 ではそれらを失くした時に、人は自らのアイデンティティを喪失せずにいられるのか? まさに突然アリス・イン・ワンダーランドの世界に引き込まれるような、そんな物語だ。 本書は、以上三つで構成されている。 第一部 S・カルマ氏の犯罪 第二部 バベルの塔の狸 第三部 赤

        • 自分で見つける幸せの姿ー大豆田とわ子と三人の元夫

          『大豆田とわ子と三人の元夫』を観た。 言いたいことは、「ぜひ多くの人に観て欲しい。」ということ。 下記の内容は、ネタバレは少し含むけれど、読んだ上でも充分楽しめるはず。なので、『観ようかな…どうしようかな…』という人たちの背中を押すnoteになればいいと思う。 目次 ✳︎あらすじ ✳︎人間って複雑な生き物だ ✳︎離婚は傷でも勲章でもない ✳︎幸せは自分で手に入れたい? ✳︎三世代に渡る、生き方の話 ✳︎脚本家・坂元裕二の魅力 ✳︎最後に ✳︎あらすじ大豆田とわ子(松たか子

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          システムからこぼれ落ちた生きる権利ーまとまらない言葉を生きる(荒井裕樹)

          障害者、ハンセン病や公害患者、女性、生活保護受給者などのマイノリティへの差別について社会学的文学的な立場から書かれた本。 事実から統計を取り出したりはほぼしておらず、エッセイに近い印象。 著者も『まとまらない』言葉たちをなんとか章に分けたと書いていたが、全体を通してメインテーマは『壊されていく言葉』だ。 若者言葉で言葉が崩れる〜という壊れるじゃない。意図的に"壊されていく"言葉のことだ。 生きることを少しでも楽にしてくれるために使われるべき言葉が、圧力や批判として使われるこ

          システムからこぼれ落ちた生きる権利ーまとまらない言葉を生きる(荒井裕樹)

          この一瞬を刻みつけてー1ミリの後悔もない、はずがない(一木けい)

          もし、この世のどこかに、送る直前にやめたメールの溜まる場所があったら? 繋がらなかった電話 読まれなかった手紙 大人は、キレイごとだけでは生きていけないことを知っている。だから大人の都合は子どもに押し付けられる。 それでも誰もが、捨てたり手放したり居なくなってしまったものへの1ミリの後悔もない、はずがない。 初めて読んだ一木さんの本。 好きになる瞬間を、細かく鮮明に刻み込むように描写していた。 身体のパーツがたくさん出てきた印象。 喉仏、手、腰骨、そんな小さなパーツから

          この一瞬を刻みつけてー1ミリの後悔もない、はずがない(一木けい)

          自我を手放した先にあるのは楽園か?ー約束された場所で(村上春樹)

          この世にいるのが辛い時、私たちはきっと、誰かから愛されたり理解されたりした記憶で生きている。でもその受け皿がもしなかったとしたら? そんなことを考えさせられるような、オウム信者たちの自己喪失のプロセスがわかる一冊だった。 被害者側の体験を記したアンダーグラウンドとは違い、信者側(実行犯よりオウム内で地位が低い人々だが)のインタビュー。 『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』も良かったが、本書の後半にも河合隼雄氏との対談があり、相変わらず面白い。 河合隼雄氏の著書、『子どもと悪』

          自我を手放した先にあるのは楽園か?ー約束された場所で(村上春樹)

          クールジャパンにおける無知さと未成熟さについてー日本的想像力の未来(東浩紀)

          アート、映画などの分野から日本の未成熟さが持つ可能性についての討議とプレゼンをまとめた内容。 【目次】 はじめに——東浩紀 Ⅰ 「日本的未成熟」の系譜——キース・ヴィンセント Ⅱ アート界における“クール・ジャパン”の戦略的プロデュース法——村上隆 Ⅲ 日本映画と未成熟——黒沢清 Ⅳ 「かわいい」の本質——宮台真司 Ⅴ [討議]日本的未成熟をめぐって     ——キース・ヴィンセント+黒沢清+宮台真司+村上隆+(司会)東浩紀 Ⅵ クール・ジャパノロジーの不可

          クールジャパンにおける無知さと未成熟さについてー日本的想像力の未来(東浩紀)

          運命に定められた破滅への誘いー悪女入門(鹿島茂)

          悪女と聞いて、あなたはどんな女をイメージするだろうか。 純粋無垢ですという顔をして実は大胆な女? それとも見た目からしてフェロモンのようなものがむんむんと出ている女を想像するだろうか。 本書はいわゆるフランスにおける、 ファム・ファタルーー その出会いが運命の意志によって定められていると同時に、男にとって「破滅をまねく」ような魅力を放つ女を指すーー を取り扱う。 フランス文学を女子大で教えている著者が、2003年の雑誌FRaUでの連載内容をまとめたものだ。 内容は全1

          運命に定められた破滅への誘いー悪女入門(鹿島茂)

          あいなき世界で生きてゆくー光る源氏の物語(大野晋 丸谷才一)

          日本語学者の大野氏と小説家の丸谷氏による、宇治十帖を含めた源氏物語についての対談をまとめた本書。 源氏物語を読んだことがない人にも、ところどころに引用もあり、話の流れをひとつずつ丁寧に追っているので読みやすいためおすすめしたい。 対談は男性視点での源氏物語の読み方にはなるものの、日本語学者の大野氏は女性の視点もあらゆる書物から引っ張ってきて引用しながら読み込むため、非常に深い考察だった。 宇治十帖の箇所ではシモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性』からの引用もされており、

          あいなき世界で生きてゆくー光る源氏の物語(大野晋 丸谷才一)

          絵画のような美しい人生ーSTONER(ジョン・ウィリアムズ)

          例えば私の人生が波のようなものだとしたら、寄せては返すその波に抗って生きていきたいと思う。 ウィリアム・ストーナー。 彼は、波と歩調を合わせるように、波と共に生きてきた男と言えるだろう。 決して折れることはないが、それゆえに自分自身の置き場所を宿命的に変えられない、そんな印象を受けた。 多くの人がそうであるように、彼は自らの人生に期待をした。ただ、期待をし、望んだ分だけの責任については、負わなかった。 心の中に差し込む光と共にやってくる小さな影。彼は怒るべき時に怒らず、

          絵画のような美しい人生ーSTONER(ジョン・ウィリアムズ)

          "愛している"の先に見る自我ー草の花︎(福永武彦)

          もしその人の魂と呼ばれるものが目に見えたなら、私はきっと急に怖くなる。 他人の孤独など、目には見えない。 でも自分に向けられる眼差しから、伝わるものがある。 愛とは、眼差しだ。 『あなたは、私の先に、何を見ているの?』 忍と千枝子の声は、彼に届いただろうか。 孤独を抱えて生きていくということは、自我が超越された状態のことを言うのだろうか。 汐見は自分という人間の潔癖さや孤独、精神性、目に見えないものを大切にした。 もちろんそのように捉えることもできる。 一方で、

          "愛している"の先に見る自我ー草の花︎(福永武彦)

          手を伸ばすあの日の記憶ーいつか記憶からこぼれおちるとしても(江國香織)

          江國香織の短編集。 10人の女子高生たちの物語。 本当にいつか、記憶の彼方に消えていき、必死に掴もうとしてもこぼれおちていくような密やかな記憶。 中高女子校だった私には、この子達のものの見え方がよくわかってしまった。 でも、当時17歳の私が、30歳の女性に『わかるよ』なんて言われても、なんて薄っぺらい共感なんだろうときっと思ったはずだ。うん、絶対。 指 緑の猫 テイスト オブ パラダイス 飴玉 雨、きゅうり、緑茶 櫛とサインペン 全ての短編が同じ世界観で繋がっている。 主

          手を伸ばすあの日の記憶ーいつか記憶からこぼれおちるとしても(江國香織)

          もう二度と戻らない自由意思についてー 一九八四年(ジョージ・オーウェル)

          突然だが、あなたは今正常な世界に住んでいると思っているだろうか。 もちろん、このコロナウイルスの蔓延により、そんな風には到底思えないという気持ちになっている人もいるだろう。 不安が多く、自分で決断できていたことが出来なくなった人も少なくないと思う。 しかし今は、基本的には自由意思のもとに世界は成り立っている。 自分が何を信じるかも、何を思うかも、何をするかも、基本的には自由があるはずだ。 でも本当にそうなのだろうか? ジョージ・オーウェルの『一九八四年』は、自分自身の自由意

          もう二度と戻らない自由意思についてー 一九八四年(ジョージ・オーウェル)

          生きることへの苦しみ、自我の置き場所ーアンダーグラウンド(村上春樹)

          私は想像する。 今日は朝ごはんを7時半に食べた。 10分から15分遅れることもあるけれど、大体毎日それくらいだ。 息子を起こしてトイレに連れて行き、洗濯物は2日に一度。息子が駄々をこねて食べてくれない日もあるが、なんとか上手くやれている。 我が家の、朝の風景だ。 その後、息子と一緒に電車に乗る。 すると、突然変な匂いがする。 周囲の人は、咳き込み出す。 息子が泣き出す。鼻水が止まらず、目から涙が止まらない。おかしい。 いや、涙が止まらないのは私だ。視界が曇って、よく前が見えな

          生きることへの苦しみ、自我の置き場所ーアンダーグラウンド(村上春樹)

          もう戻らないものについての孤独ーレキシントンの幽霊(村上春樹)

          喪失の物語。 失うことと、失い"つつ"あること。 あまり婉曲的ではなくストレートに心へ届く短編集。 ⬛︎レキシントンの幽霊 そこはかとなく漂う死の香り、寂しさや孤独はない。ぷかぷかと闇に浮かぶような感覚になる話だった。人は深い眠りの中で亡くなった人の記憶を辿る。自分はこちら側で、あの人はあちら側なのだと理解するのかもしれない。 ⬛︎緑色の獣 妖艶で淫靡な生き物を想像させた。 求愛した獣は女の欲望の形なのではないだろうか。想いや欲望はそれを持つだけでも罪となるのだろうか。そ

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