この一瞬を刻みつけてー1ミリの後悔もない、はずがない(一木けい)
もし、この世のどこかに、送る直前にやめたメールの溜まる場所があったら?
繋がらなかった電話
読まれなかった手紙
大人は、キレイごとだけでは生きていけないことを知っている。だから大人の都合は子どもに押し付けられる。
それでも誰もが、捨てたり手放したり居なくなってしまったものへの1ミリの後悔もない、はずがない。
初めて読んだ一木さんの本。
好きになる瞬間を、細かく鮮明に刻み込むように描写していた。
身体のパーツがたくさん出てきた印象。
喉仏、手、腰骨、そんな小さなパーツから、色気のようなものを勝手に感じてのめり込んでいく。恋ってそんなもんやんな、と思わされる。
自分がどんな人間かなんて死ぬまでわからない。
今日の私は昨日の私ではないから。
だから、次の曲がり角で出会う自分がどんな自分でも、逃げずに腹を括って守るべきものを守ろう。もしかしたら人生の中で生まれる後悔を、1ミリでも小さくできるかもしれないから。
読み終わった後、私はそう思った。
人の数だけいろんな後悔があって、抱え込んで生きているわけやけど、それを明るい幸せにするのも暗い幸せにするのも、全部自分の選択なんやと思わせられる。
生きていく条件はみんな違うのになぁ。
世界は残酷で無慈悲だ。
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