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「卒業したら、会いにこないでね。」と担任は言った


1番尊敬している人は誰ですか?

と聞かれれば迷わず私は
高校3年生のときの担任
と答える



先生の年齢は30代後半だったけれど、
教師になる前に10年間スポーツ新聞の記者をして
それから私たちの担任になった

だから
私たちが1番最初の卒業生だった


当時私が通っていたのは
偏差値も50前後しかなく
就職する、専門学校やAO入試で進学する人も多く、
約半分以上が年内には受験を終えているような
決して賢いとはいえない公立高校だった

そんな中
英語と国語は学んで損はない、
こんなに勉強をするのはここで最後の人が多いからと、
先生の教科は社会だったけれど、
帰りのホームルームでは
毎日英語と漢字の単語テストをした


夏休みにはお盆期間など関係なく毎日教室を開放し、
どうしても来れないときは
校長先生にお願いをしてくれ、
校長先生が見に来てくれたこともあった

9時から単語テストが実施され
午前中は自習
お昼ご飯を食べて
14時までは9月には控えていた、文化祭の劇の練習をみんなで練習する

そこからは自由参加で

夏休みの時点で受験をしないと決まっている、
または受験が終了している人はここで解散
残りたい人は残って自習
私はそこから塾へ移動し塾で勉強をしていた


勉強は青春だった



私はそんな先生の
行動力と生徒思いなところが大好きだった

もちろん受験をしない生徒や推薦入試の生徒は
そんなやる気に満ち溢れている先生のことを
よく思っていない人もいた

それでも、
自分がいいと思ったことはやり通す
そういうところも尊敬している



卒業の日
先生は私たちにこんな言葉を送ってくれた


先生はみんなに卒業してからも会いたいけれど
戻ってこないでほしいとも願っている

会いにこないということは
みんなそれぞれ次のステップで充実した生活を送っているということだから

逆に会いに来るということは
今の生活に何かしら不安や不満があり、
心のどこかで楽しかった高校生活を思い出したから


と。



そう言って私たちのことを送り出した先生は
私が卒業してから2年後、
県内で1番賢い公立高校へ転任した



でも私は1度だけ約束を破った

大学3年のとき、卒業後の進路に迷い
会いに行ってしまった

それでも担任は
快く受け入れ、相談に乗ってくれた

会いに来ないでと言っているけど
きっとこの人は、会いにきた生徒の対応もきちんと考えている
と感じた



私は縁があって
新卒で入社したのは塾だったから

担任が私たちに伝えてくれたように
私もこのことを子供たちに伝え、送り出してみたかった

でも、辞めちゃったから
この言葉は同期に託すことにした

同期はよく
過去の思い出に浸る時間があったら
未来の自分のことのために時間を使う

と、言っていた

とても同期とは思えないくらい優秀で
在職中は同期から学んだこともたくさんあって、

高3のときの担任と言うことや考え方がどこか似ていて
彼もまた、私が尊敬している人の中のひとりである


そんな人だから
きっと私の意志を上手く具現化し、
自分の言葉で生徒に伝えてくれていることだろう


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