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自転車で転んだとき、私は退職を決意した


休みの日の昼下がり、
自転車で最寄駅まで向かう途中のこと


車道から歩道へ上手く乗り上げることができなくて車道と歩道の境目に車輪をもっていかれ
バランスを崩した


そのとき私が乗っていたのは
マウンテンバイクの電動自転車

最寄駅の駐輪場にとめたとき
係のおじさんに
「これ何kmくらい走れるの?」
と聞かれたくらいたぶん、この辺りでは珍しい自転車だったと思う


そんなスピードのあるゴツい自転車だったから
勢いもすごくあった

宙に浮いた
いや、宙を飛んだ

まるでアンパンマンが空を飛んでいるときのように
両手と両足をぴんと伸ばして宙を飛んだ


スローモーションに時間が流れる


その瞬間ある思いが浮かんだ


あ、ラッキー
このまま転んで骨折でもして字が書けなくなっちゃえば
明日、授業をしなくてもいい
もしかすると休めるかもしれない


でも
運動神経だけには恵まれ、
大きい怪我はしてこなかった人生

見事に
綺麗に
手から
こけた

少し手を擦りむいただけ


どこからも血なんて出てないし、
どこも痛くなんかなかったけれど泣いてしまった


危ないとか、こける恐怖とか、
そういう感情が一切なかったから


宙を飛んでからこけるまでで
ここまでのことを考えついた自分が怖かったから


あぁ、私が思っている以上に
自分は追い込まれているんだ

そう、思った


恐ろしかった

このままだと本当に
自分で自分を傷つけかねない

もう、辞めよう



それまでもやめると言いながら
ずるずるとここまで来てしまっていたが

なかなか踏ん切りがつかなくて
あと少しだけあと少しだけとやってきた

でも
この出来事で決心がついた



私は決断力がない人で
仕事をやめたいと思ってから本当に辞めるまで時間があって


「そんなこと言いながらも、なな(私)は続けるタイプだ。」
と言われていた

自分自身、みんなからそう言われ、
若干そうだろうなと思っている自分もいて

まさかこんな些細なことで
一瞬で決心がつくなんて思ってなかった



人生の転機は
大きな出来事が起こったときではなく
案外日常に潜んでいるんだなと思った



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