『すずめの戸締まり』で想う日常
ゴゴガガゴガガガガ
スクリーンの中でみみずが暴れると、響く音で私の身体も物理的に揺れる。
映画館で見る映画はこんなにも臨場感があるものだっただろうか。
すずめが走れば私も走っているように思えたし、すずめが落ちれば私もどこかに引っ張られているように感じた。
『すずめの戸締り』
平和な日常と平和を脅かす災い。
交互に訪れるシーンが、日常の尊さと災いの悲惨さをより強く感じさせる。
すずめがダイジンを追いかける旅の中で出会う幾人もの人。
みんながすずめに対して温かく、みんながすずめを心配していた。
そして、そんな優しい人々と過ごす何気ない日常。一緒にお風呂掃除をたり、一緒に焼きうどんを食べたり。
すずめが災いを止めている事実を知っている私にとってその日常がすごく尊い時間に感じられる。
普段あれば、なんでもない日常のはずなのに。
明日、その日常が災いによってなくなるかもしれないことを知っているから。
すずめはどんな気持ちであの日常を過ごしていたのかと思うと胸が痛くなる。
そんなことを感じた私だが、この映画を見て「旅っていいな~」と、とても平和的な感想を持ったのも事実。
平和な世界に浸りきってしまっているだろうか。
すずめは成り行きとはいえ、九州から四国、関西、関東、そして東北と日本列島横断のような旅をした。
いろんな人と出会うすずめ、富士山を見逃して草太に怒るすずめ、そしてエンドロールで出会った人々と再開を楽しむすずめの姿を見て、単純に羨ましくなった。
もともと旅は好きだけど最近行けてない私。今過ごしている日常が、いつ壊れるかわからないことを感じたのもあいまって、旅への思いが高まったように思う。
最後に、要石になってくれたダイジン達に深い感謝の気持ちを込めて。
すずめと遊んだ一時が、ダイジンにとって素敵な一時であったことを願う。
『すずめの戸締まり』
監督 新海誠
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