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銀河英雄伝説

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てんぐが最も愛するSF小説のひとつ「銀河英雄伝説」に関連した記事をまとめています。
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記事一覧

てんぐのノイエ銀英伝語り:18話「流血の宇宙」の場合

てんぐのノイエ銀英伝語り:18話「流血の宇宙」の場合

 日テレで放送してるノイエ銀英伝ですが、三期「激突」編のテレビ初放送も間近になっております。
 そんなわけで、最近は既に視聴済みの二期の方も見るようにしています。習慣付けておかないと、ついうっかりをやっちゃいそうですし。

 で、せっかくなので、今週放送回のサラっとしてるようで情報量の多い第18話「流血の宇宙」の解説みたいな記事を書いてみることにしました。

賊軍のガバガバガバナンス

 リヒテン

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てんぐの読書感想:三体2部 黒暗森林(上下)〜人類で最もチンケでタフなギャンブラー、その名はDr.ロジック

てんぐの読書感想:三体2部 黒暗森林(上下)〜人類で最もチンケでタフなギャンブラー、その名はDr.ロジック

 Netflix版三体を見終わり、テンセント版も二周目に入ってる今日この頃ですが、文庫版の2部も読了いたしました。
 いやあ、オバマがこれにハマってたのも納得ですよ。あの「暗黒森林」学説に基づく恐怖を我が身に置き換えて実感できる読者って、世界中を探しても大統領在職当時のオバマ以上の人は、ちょっといないでしょう。

 そして、「オバマが三体にハマっていた」という逸話と照らし合わせてスリルを感じたシー

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読書感想:宇宙の戦士〜意見は合わないけど名作との対話は楽しかった

読書感想:宇宙の戦士〜意見は合わないけど名作との対話は楽しかった

 復讐のレクイエムの新しいトレーラーが先日配信されましたが、空挺部隊として空中投下されたザク部隊を見てるうちに、ハインラインの「宇宙の戦士」のことを思い出しました。
 何せ、モビルスーツのルーツはこの作品に出てくる元祖パワードスーツですからね。

 これは読み終わるまでそれなりに時間がかかるかなと思ったんですが、これまた気がつけば週末またいで4日くらいでラストに到達してました。
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読書感想:文庫版三体1巻〜葉文潔にドライアイスの剣を見た

読書感想:文庫版三体1巻〜葉文潔にドライアイスの剣を見た

 かねてから「場所を取らないように文庫版が出たら買おう」と、「なかなか文庫も出ないしいっそ電子書籍で読むかな」という相反するふたつの判断で揺らいでた三体ですが、結果は文庫版シリーズが出るのでこちらで買うことになりました。粘り勝ちってところかな。

 そんなこんなで初体験となった三体原作版ですが、テンセント版のドラマを見てるというのはあるにしても、実にスムーズに読めました。具体的には、連休前日に拙宅

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年末年始は銀英伝外伝でノイエ地上波の予習をしよう

年末年始は銀英伝外伝でノイエ地上波の予習をしよう

 年が明けて1月16日(火)の深夜から、日テレでノイエ銀英伝こと銀河英雄伝説Die Neue Theseが放送されます。
 先のeテレでのファーストシーズンとセカンドシーズンを見ていた方も、全くの未体験の方も、是非ともご覧いただきたいです。

 なお、こちらがてんぐがeテレ放送時に書いたガイド記事です。

 さて。

 この年末年始の間に、このノイエ銀英伝の世界観について予習をしておけば、放送開始

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スターウォーズの銀河共和国と帝国、宇宙世紀ガンダムの地球連邦、銀英伝の自由惑星同盟。この辺のスペオペ統治機構の設定を見てると「脱ナショナリズム」「理想像としてのコスモポリタン」みたいな当時の意識を感じます。この話、いつかnote記事にしよう。

てんぐの銀英伝考察:ヤン・ウェンリーとは怖い男である

てんぐの銀英伝考察:ヤン・ウェンリーとは怖い男である

 人様の感想記事に便乗するってのも横着だなと思わないでもないですが、話のイントロを考える上では楽なんですよね。
 というわけで、今回は引用先の方も感じた、ノイエ銀英伝のヤン・ウェンリーの“怖さ”についてがお題です。

 ノイエでのヤンを見て「怖い」と最初に思ったのは、イゼルローン攻略時にゼークトの旗艦を撃てと指令したときでした。
 決して激昂するでもなく、条件が揃えば、自分が無言で設定していたファ

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遠い昔も遥か未来も銀河は大変です

遠い昔も遥か未来も銀河は大変です

 いよいよSWスピンオフドラマアソーカが配信開始です。
 配信初週は1話と2話の連続配信でしたが、アソーカと将軍閣下になってるヘラ、5Sができてないアストロメクドロイドのチョッパー、そして今シリーズのもう1人の主人公サビーヌ。
 アソーカとサビーヌが主人公にして師弟コンビを結成したのは、どちらも大切な誰かとの関係に決着と確定させられなかった、そしてそれを引きずり時計の針を止めてしまったセンチメンタ

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てんぐの銀英伝考察:「自由惑星同盟」成立経緯推論

てんぐの銀英伝考察:「自由惑星同盟」成立経緯推論

最近てんぐのTLに、なかなか興味深いツィートが流れてきました。

後に自由惑星同盟が成立するサジタリウス腕宙域には、ハイネセンたち「長征」グループが到達する以前に帝国から逃れて新天地を築いていた「先住民」がいたのではないか。そして「長征」グループは、彼らを征服し服属させることで同盟を建国したのではないか、というものです。

というわけで、今回のてんぐの銀英伝考察は、「自由惑星同盟」成立の経緯につい

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てんぐの銀英伝考察:軍人の昇進の話

てんぐの銀英伝考察:軍人の昇進の話

ノイエ銀英伝8話で、いよいよラインハルトが宇宙艦隊副司令長官として、開設した元帥府にその30代前半の若手士官を艦隊司令官として招集し、それに相応しい中将の階級を与えます。(キルヒアイスはカストロプ動乱鎮定の功績で中将昇進)

これ以後の時代、帝国軍はラインハルトの台頭にともない、「実力主義」の名のもとに提督の称号と艦隊司令官のポストを得た若い士官が次々と登場していくことになります。

一方で、同盟

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てんぐの銀英伝考察:“薔薇の騎士”と亡命者について

てんぐの銀英伝考察:“薔薇の騎士”と亡命者について

5月11日放送のeテレ版ノイエ銀英伝では、ついに“薔薇の騎士”連隊とトム・クルーズめいたシェーンコップ大佐が登場いたしました。

この“薔薇の騎士”連隊は“魔術師”ヤンの戦いにおいて不可欠な存在となっていくわけですが、今日は彼らについて考察してみます。

今回の考察の要点は以下の三点です。

まずは、亡命者コミュニティの面から考察いたします。

1.亡命者コミュニティ同盟と接触した頃の帝国は、フリ

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てんぐの銀英伝考察:ジェシカ襲撃の裏面と影響に関する考察

てんぐの銀英伝考察:ジェシカ襲撃の裏面と影響に関する考察

5月4日にeテレで放送された、「あのヤンがカーアクションを!?」と度肝を抜かせたノイエ銀英伝5話ですが、そのハイウェイでの襲撃事件(※なお、この事件はノイエオリジナルのイベントです)の裏面の事情、そしてその影響について、今回は考察してみます。

まず確認すべき点は、この「襲撃」の引き金となったのは、アスターテ会戦戦没者慰霊式典で、ジェシカ・エドワーズがトリューニヒト国防委員長の欺瞞を、衆人環視の場

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てんぐ式「銀河英雄伝説 Die Neue These」の見方

てんぐ式「銀河英雄伝説 Die Neue These」の見方

4月6日より、いよいよ銀河英雄伝説Die Neue These(以下DNT)がNHKに見参いたします。

事前の特集番組でもDNTの見どころを解説してくれていましたが、てんぐもキャリアだけなら中学生以来ン十年になる銀英ファンです。そんなてんぐの視点から見た、「DNTのここに注目してくれ!」というポイントを並べてみました。

“英雄”VS“プロ”原作または石黒版のファン、または名前は聞いてるけど実際

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てんぐの銀英伝考察:帝国領侵攻作戦におけるフェザーンと地球教団とトリューニヒトの意図

てんぐの銀英伝考察:帝国領侵攻作戦におけるフェザーンと地球教団とトリューニヒトの意図

noteの方はちょっとご無沙汰しておりました。先日、ファミ劇でノイエ銀英伝の一挙放送をやっていたので、その流れで久しぶりに銀英考察記事を書いてみます。

一挙放送で邂逅編と星乱編を見てると、色々今までとは違った見方ができるものでして。その中のひとつに、銀英史上屈指の愚行とされる同盟軍による帝国領侵攻作戦(アムリッツァ星域会戦)があります。

端的に言えば、悪い意味での中道派のサンフォード政権が、来

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