白秋

1998年生まれの24歳、元ラブホの正社員です。noteではラブホの正社員シリーズ、あ…

白秋

1998年生まれの24歳、元ラブホの正社員です。noteではラブホの正社員シリーズ、あとは身の上話を書きます。

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  • ラブホの正社員

    ラブホの正社員日記を集めてあります

  • ラブホの正社員じゃない

    ラブホの正社員じゃない記事を集めています

  • ホームセンター小話

最近の記事

繋がりが絶たれた夜、孤独は闇を深くする

ニュースにもなった話があるから前後関係をずらすし詳細は伏せるけれど、僕が二十歳を迎える前後数年間で周りの人間が何人も自殺した。付き合っていた女性が富士の麓で練炭を焚き、父親が一級河川に飛び込み、家族同然に接してきた友人が公園のブランコで首を吊った。誰かと仲良くなることが怖くなった。 それから数年経った今でも、僕は人と深度の深い関係を築くのを避けて逃げ回っている。仲良くなってしまえば最後、僕を置いて死んでしまう気がするのだ。だからあまり深いところまでは関わらない。年に数回会う

    • 遮光カーテンの裏側で泣かないように

      誰かが夜中に読んで少しだけ心が軽くなるものを書こうと思って数年が経ってしまった。 数年あると絶望的な暗雲が立ち込めていた人生にも淡く灯りが灯るもので、僕の人生もあの頃よりいくらかマシになった。 198円の大容量パスタを乾麺のまま齧らなくてよくなったし、急に道端の外国人に殴られることも毎日タウンワークを広げて面接に行っては54社連続で落とされるなんて社会不適合を強く感じる出来事も起きなくなった。 華美で豪華な生活は送れないけれど、それでも遮光カーテンの裏側で声をあげて泣く

      • ラブホの正社員16日目

        一緒に飲んでいた異性が酒に潰れたどうしますか?という質問をされたことがある。皆さんはどうだろう。家に連れて帰るだろうか、ラブホテルに連れ込むだろうか。道に捨てて帰るのもひとつの手かもしれない。今日はラブホテルのフロント、および客室で起きた泥酔した男女の情事をお届けする。 時刻は昼の12時過ぎ、若めのカップルが来店した。監視カメラでもわかるぐらいの千鳥足でフロントに入ってきて、モニターで部屋を選び始めた。僕らは普段絶対に泥酔した客を入れずお帰りいただくのだが、今日はあまりにも

        • ラブホの正社員15日目

          皆さんはハメ撮りを撮ったり撮られたりした事はあるだろうか。僕はまだない。カメラワークに自信がないからだ。きっと喘ぎ声と共にピストンに揺れる相手の残像のみが映る残念な心霊映像になってしまうだろう。それはそうと、他人の情事を覗き見たい人は割といるらしい。今日はそんなお話だ。 「美女とハメハメ〜ハメ撮り〜🎵」 朝から最低な歌が聞こえる。しかも客室からではない。隣の男からだ。歌の主は亀田さんという同僚である。亀田さんは昨春に印刷会社を定年退職し、週3勤務のアルバイトとしてこのラブ

        繋がりが絶たれた夜、孤独は闇を深くする

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        記事

          ラブホの正社員14日目

          皆さんはア◯ホテルを使ったことはあるだろうか。ムカつく顔をした社長の自伝が部屋に置いてあるらしいが、僕は使ったことがないのでそれが真実なのかは知らない。そういえば最近ラブホテル業界は◯パホテルにシェアの一部を奪われているのだと社長が嘆いていた。今日はそんなアパとラブホのお話だ。 「ア◯ホテルにはデリヘルが呼べないのに…」 社長は沈んだ声で呟いた。コロナ禍でラブホ業界も不景気の対象で、ラブホテルの代わりにアパホテルが盛況だという風の噂も相まって社長の元気がない。だが、主にカ

          ラブホの正社員14日目

          ラブホの正社員13日目

          中国人の若い男が新入社員として入社した。僕の経験上、中国人はよく働く。新入社員の出勤前に他のスタッフが10日で辞めると予想して1000円を賭ける中、僕は1万円を辞めないに賭けた。僕の給料は手取りで16万ほどしかなかったからそれなりに大きな賭けだった。珍しくムキになって張ったギャンブルに胃を痛めていると、社長が新入社員を連れて入ってきた。 彼は名前を楊君といった。僕と同い年の22歳で身長が180センチ以上あるイケメン、日本語は日常会話をするにも少し不自由な感じだ。僕はこの時点

          ラブホの正社員13日目

          ラブホの正社員、書き溜めていた分が結構あったのでnoteで再開します。100話まで。

          ラブホの正社員、書き溜めていた分が結構あったのでnoteで再開します。100話まで。

          自殺未遂直後の女と乾杯した話

          最近世の中がやたら閉塞しているように感じる。というのも僕の虹彩に自殺や死という文字がやたらとよく写るようになったし、実際知人が何人か消息を絶った。携帯が止まっているだけだと信じたいけれど、携帯料金の未払いが発生する頃にはもっと酷い状況になっていることの方が多い。 最近は僕のDMにさえも死にたい消えたいという内容のDMが溢れかえっていて、年の瀬からはその方面に絞って返信をしていた。今まで内容がこんなに極端な偏りを持つことはまずありえなかった。12月30日から1月4日までに届い

          自殺未遂直後の女と乾杯した話

          白秋ってだれ?出身は?年齢は?学歴は?……調べてみました!

          ■経歴1998年4月:山奥の家の次男として誕生。900グラムの未熟児だった。その後、親から愛の拳を受けながらカブトムシを売って育ち、市内で一番治安の悪い中学校進学に進学。 中学校では酷いいじめを受ける。ある日、右手のひらに錐で穴をあけられた時に笑いが止まらなくなり、それ以降いじめられなくなった。所属した柔道部では市内大会を勝ち進むも、県大会という響きに緊張し腹痛のため初戦敗退。それ以降、一切柔道はしていない。 高校は偏差値50前後の自称進学校に進学。スマホを持っていないま

          白秋ってだれ?出身は?年齢は?学歴は?……調べてみました!

          紅に染まった客室

          ※ 有料設定してありますが、全部無料で読めますのでお楽しみください。  人間や人間を取り巻く文化や環境は多種多様である。これは人間という役割を果たす上で持っていなければならない共通認識だ。近年ではかなり市民権を得てきたように思うが、やはりまだまだ浸透しきっていない認識であり、実際になかなか理解し難い多様さがあることも事実である。偉そうに書いている僕にも受け入れられなかった他人の文化や環境には覚えがある。それは貧乏な友達の家の夕飯にその日一緒に釣りに行ったアメリカザリガニが出

          有料
          300

          紅に染まった客室

          ニワトリ

          ホームセンターには様々な人が行き交う。それは例えば職人とその弟子だったり、昼下がりに洗剤を買い漁る主婦だったり、園芸を楽しむマダムだったり、はたまたシャーペンの芯をわけがわからないぐらい買い込む高校生だったり。その中でも印象的な客には何らかの特徴がある。今回は異色を放つ客のひとりである「鶏の餌」という客の話をしようと思う。 「いやあ、重いねえ」と毎度話しかけてくる夫婦がいた。それはそうだ、鶏の餌の紙袋は20キロ。それを腰の高さまで上げるんだから。レジは忙しい。愛想笑いしなが

          ニワトリ

          ヤギ

          僕は高校生の頃から数年間メガホームセンターという区分のホームセンターで働いていた。「メガ」は敷地面積が関係するらしいのだが詳しくは知らない。メガという言葉に恥じない大きなホームセンターであった。工作室など変わった設備もあった。その大きな建物の一角に設置されたペットコーナーでも一風変わった鳥や爬虫類など様々な動物が扱われていたが、その中でも一際異質な雰囲気を醸し出していた動物がいた。ヤギ、もう少し詳細に書くと「ミニヤギ」である。 ある土曜日の昼下がり、ヤギが脱走した。 ヤギ

          ヤギ

          ラブホの正社員12日目

          卒業式には出ただろうか。僕は出た。親が出ろとうるさかったからだ。高校の卒業式に出たくなかったのは、その後のメインイベントである焼肉とかボウリングをみんなでやるというワイワイしたムードが苦手だったからだ。僕は大学に行っていないけれど、大学にも卒業式が存在するらしい。僕のラブホの近くにある大学では、女子は振袖を、男子はスーツを着てキャンパスの入り口で写真を撮ったりしていた。その日の15時ごろからラブホは人生の一大イベントを終えた大学生でそれなりに混雑し、誰も入るけはがなかった部屋

          ラブホの正社員12日目

          ラブホの正社員11日目

          男女が形成する関係性は様々だ。例えば夫婦、カップル、友達、セフレ。挙げていけばまだまだ名前のつく関係性も、そうでない関係性もあるだろう。僕はラブホテルの従業員なので、性愛を伴う関係性の男女を目にする機会が人より多い。もちろん部屋で何をしているかなんて知るよしもないので本当にそういった関係性なのかはわからないが、文春記者であれば男女が一緒にラブホテルに入っただけであれやこれや書かれるだろうからこれは偏見ではないと思っている。僕は文春記者ではないからあまりそこに興味がなく、客の関

          ラブホの正社員11日目

          ラブホの正社員10日目

          してはいけないことほどしてしまいたくなるのは人間の心理だ。小学生の頃は教室で遊戯王をしていたし、中学の頃は禁止されていた自転車通学をしていた。学年が高校に上がると部室で気になる子とヤったり、煙草を吸ってみたり、思い返すと黒歴史と呼ばなきゃいけない思い出に溢れているが、当時はそういう事を積極的にしたい年頃であった。僕は高校生活の終わりとともにそういった毒気は抜けていって、自分の欲求を自分で抑えることのできる健常者として生きていたのだが、世間にはそれがいくつになっても難しい人達が

          ラブホの正社員10日目

          ラブホの正社員×日目

          本能と欲望の違いはどこだろう。僕は本能を従わなければ死ぬもの、欲望を従えば死ぬもの、と捉えている。皆さんにとってラブホテルに行くという行為はそのどちらだろうか。付き合っている相手とあなたの両者が実家に住んでいると仮定して考えてみてほしい。まだ田舎にいて若かった頃の僕にとっては、ラブホテルは欲望そのものであった。それというのも、バイト先のホームセンターで出会った彼女と僕には当時あまりお金がなかった。当時は地元の最低時給は820円だった。おまけに学生だったせいで働ける時間が少なか

          ラブホの正社員×日目