ラブホの正社員16日目

一緒に飲んでいた異性が酒に潰れたどうしますか?という質問をされたことがある。皆さんはどうだろう。家に連れて帰るだろうか、ラブホテルに連れ込むだろうか。道に捨てて帰るのもひとつの手かもしれない。今日はラブホテルのフロント、および客室で起きた泥酔した男女の情事をお届けする。

時刻は昼の12時過ぎ、若めのカップルが来店した。監視カメラでもわかるぐらいの千鳥足でフロントに入ってきて、モニターで部屋を選び始めた。僕らは普段絶対に泥酔した客を入れずお帰りいただくのだが、今日はあまりにも暇だった。一番高い部屋のみを空室のステータスに変更し、無駄に広くて高い部屋に男女を通した。

フロントの婆さんに部屋が高いと5分ほど絡んだ彼らはそのまま部屋の鍵を預けて外出し、近くのコンビニで酒を買い込んで帰ってきた。あんなに泥酔しているのにまだ飲むのだろうか…僕は彼らが少し心配になった。両手の袋にはストロングゼロのロング缶が数本、あとは安いハウスワインが3本詰まっていた。サービスタイムの数時間でこれを飲み切るのは至難の技だろう。千鳥足で大量のアルコールと共に部屋に戻る彼らの姿を見て心配が不安の種に変わり、この不安は数時間後、無事花を咲かせることとなった。

17時半、彼らは部屋から出てフロントに鍵を返しにきた。赤ワインでびしょびしょになりながら。女の白を基調とした花柄スカートが鮮やかに染まっている。いや、よく見ると女が股からチョロチョロとワインを垂れ流しているのだ。事態がよくわからず混乱した僕は、男の方に連れが股からワインを垂れ流しているように見えるが大丈夫かと質問した。すると男は「いや、ほんとに流してるんですよ」と妙に真剣な顔で言う。怖くなった。

男はそれから部屋でしたことを得意げに話し始めた。好きな体位でセックスをした後にワインを1本ずつ一気に飲み干し、その後ストロング缶も全て飲み干し、それらを全て風呂に吐いた後、飲み残したワインを少し、膣に注いでから部屋を出たらしい。下の口からも飲まないと!とか言っている目の前の男を風呂に沈めたくなった。ゲロや落ちにくい色のついた酒を綺麗にするのはそのぐらい面倒なのだ。

話を一通り聞いてやった後、僕は男から罰金として独断で不正な1万円を受け取った。すぐに頭が3つに割れそうな頭痛がすると言って早退し、近くの串焼き屋で酒を飲んでやった。こんなところで避けられる天罰を喰らいたくなかった。この世は目の前の地獄をどれだけマシにできるかのゲームである。

皆さんもラブホテルに行く時には気をつけてほしい。吐かない、汚さない、首を吊らない。僕との約束だ。

甘いもの食べさせてもらってます!