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番外編⑥:「法人営業 利益の法則」を読んで、参考になりそうなことをまとめてみた

営業関連のビジネス書は、世の中にたくさんあります。
自分が何十回も目を通している営業関連の本は、「無敗営業の青&赤」です。

また、その他にも知人からのおすすめで「できる営業はこれしかやらない」や「NEW SALES」は何度か読んでみました。

上記のような形で、自分がバイブルとしてお世話になっている営業関連の本はいくつかあるのですが、「たまには、ちょっと違う視点で書いてありそうな営業関連の本も読んでみよう」と思い、「法人営業 利益の法則」という本を読みました。

そしてこの本がとても参考になったので、自分にとって大切だなと思ったところをnoteにメモしておこうと思います。

はじめに

法人営業の魅力

法人営業の魅力は2点。

1点目は、仕事のダイナミズムがあること。
企業間取引の金額は個人取引とは桁違いに大きく、自分の力次第で数億円~数十億円規模の商売を動かせる。さらに、ダイナミズムの源泉は金額だけではなく、1社の超大口顧客の発掘によって、自社内全体に影響を及ぼすこともある。これを通じて、自分が事業または会社全体を動かしている手応えを感じることができる。

2点目は、営業マン個人の力量がモノを言うこと。
企業間取引で営業が担うべき役割は広く、いわば「会社の代表」としての振る舞いが期待される。さらには相手企業の分析・提案書作成といった高度な思考作業が要求され、営業の仕事はいわば「知能の総力戦」の様相を呈する。

営業で「儲ける」ビジネスモデル 

法人向け取引とは

法人向け取引の特徴は、下記9点。

  1. 買う側(購買担当者)の製品知識が豊富

  2. 購買意思決定に複数の立場の人が関与する

  3. 購買意思決定において、自社にとっての経済合理性が重視される

  4. 購買意思決定のプロセスが複雑で、時間がかかる

  5. 取引金額が大きい

  6. 決まった予算計画に基づいて購買される

  7. 顧客数が限定される

  8. 取引関係が長期にわたって続く

  9. 流通経路が短い

カスタマイズに潜む、負の側面

顧客にカスタマイズを提供するかどうかは、法人営業における利益実現の方法(利益化シナリオ)に大きく影響する意思決定である。

営業マンは「カスタマイズ」を提供しがちであるが、カスタマイズせずに標準品のまま売買することは、提供側の企業のみならず、顧客企業側にもメリットがある。標準品(非カスタマイズ品)を買う側のメリットは、下記のとおり。

  • 提供企業側でカスタマイズコストがかからない分、顧客企業側としても価格メリットを享受しやすい

  • 提供企業側でカスタマイズの時間がいらない分、顧客企業側にとっても納品が早くなる

  • 標準品は提供企業側の在庫やキャパシティが大きいことが想定されるため、顧客企業側は突然の追加オーダーにも柔軟に対応してもらいやすい

  • 顧客企業側の理由で途中キャンセルになった場合も、標準品であれば他社の需要に回せるケースが多く、ペナルティ発生のおそれが小さい

  • カスタマイズ品の場合、提供企業側の都合で供給が終了する可能性があるが、標準品はその可能性がカスタマイズ品よりは低い

ただし、「標準化(標準品)戦略」が機能するには一つの前提がある。
それは、標準の製品やサービスが、機能面で十分差別化されていること

法人営業において、「カスタマイズ」が目先の受注にとっては有利にはたらくことも事実。それは、法人顧客の購買担当者は、実態以上に「自分の会社は特殊」と思い込んでおり、「自社の特徴にあった製品・サービスを選び出そう」という意識を強く持っているためである。

カスタマイズの根本的な問題点

カスタマイズは、追加コストが発生し、収益性を悪化させる原因となる。
標準品と比べた時の追加コストは、下記のとおり。

  • 営業担当が顧客の要望を明確化して、開発や生産部門に伝えるためのコミュニケーションコスト

  • 標準品からの設計変更や、特注生産に伴う製造ライン修正コスト

  • 特注で部品や人材を調達するコスト

さらに、カスタマイズ品の供給は供給側のリソースを食うため、その間に標準品の供給や新商品開発ができなくなるという機会損失も考慮する必要がある。

また、カスタマイズにかかった追加コストが販売価格に転嫁されることは少なく、結果として収益性の低い商品となってしまう。

営業マンにとっての「麻薬」

実は、「顧客が口にすることを、対応すべき顧客ニーズ」と捉えるのは、必ずしも妥当な判断ではない。

というのも、顧客が口にできるようなことは、すでに市場でも顕在化しているニーズであり、(自社でなくても)業界内で対応できることがほとんどである。自社が優位性を発揮できる競争であれば乗っても良いが、そうでない場合に後発で他社と同じ努力をしても、不利な競争に巻き込まれる羽目になるだけ。

顧客が口にしたニーズを仮に満たせたとしても、顧客満足度は意外と小さい。顧客が意思表示したことをそのままやっても「よく頑張りました」で終わることが多い。

また、カスタマイズに伴う負担を、営業マンが過小に見積もる傾向も否めない。さらに悩ましいのは、あまり営業成績が芳しくない営業マンや営業組織ほどカスタマイズ品の提供に奔走し、職場が疲弊していく現象が時として散見されることである。

カスタマイズは短期的な受注を目指す営業マン・営業組織にとっての麻薬であり、典型的には次のような弊害が生じる。

① 標準品で勝負すべき顧客にまで安易にカスタマイズ提供してしまう結果

  • 儲かるはずの標準品が売れないので、顧客ポートフォリオ全体での利益率を落としていく。

  • 開発や製造といった他部門に負担をかける。特に開発部門がカスタマイズに追われると、次の新製品開発に支障をきたす

② カスタマイズ製品で掴んだ顧客を深掘りするために、継続的にカスタマイズ製品を売り込んでしまう結果、

  • 顧客あたりの売り上げは伸びるが、利益率はどんどん低下する。

  • 既存顧客に無駄に工数をかけすぎて、新規顧客開拓が手薄になる。その結果、既存顧客が離反したときにリカバリーできず、成長にブレーキがかかる。

利益化シナリオ

現場の営業マンではコントロールできない戦略レベルの話も含まれるが、カスタマイズと標準化のバランスをとってうまく利益化する方法は、下記4点である。

  • マス・カスタマイズ(単一取引から確実に儲ける)

  • バンドリング(カスタマイズ取引と標準取引をセットにして売る)

  • 時点間でのメリハリ(カスタマイズ取引では持ち出し、その後の別取引で儲ける)

  • 智恵のなる客(先端事例の横展開で儲ける)

※ 各方法の詳細については、書籍に書いてあります

顧客を「つかむ」営業

「経済合理性」がカギとなる

法人営業でよく言われるのが「顧客の経済合理性」=「費用対効果」である。
費用対効果を真面目に計算しようと思ったら、将来の売上増もしくはコスト減といった効果が定量的かつ高い精度で推測する必要がある。

しかし、実態として売り手がこの定量評価をすることは無理であり、仮に何とか見積もったとしても、それは「よく頑張りました」というレベルであり、顧客企業側にとって十分説得力のある材料になることはほとんどない。

それでは、顧客企業側は何をもって費用対効果(経済合理性)を判断するのか?
代表的な判断材料は、下記2点である。

  1. 目的と解決策との合致
    顧客企業の求めていること(目的)に対して、製品サービスに無駄がない状態(スマートに目的を満たしている状態)であると、経済合理性があるとみなされることがある。

  2. 過去の経緯や担当者・企業のイメージ
    過去からの取引実績、営業マンが人間として信頼できる、業界内でよく知られた社名であるといったイメージが、製品サービスに先行し、経済合理性にも影響することはよくある。

すなわち、意思決定者の頭の中では「たとえ最善の選択でなかったとしても、この業者ならば、大きな損失を生むおそれが小さいだろう」というリスク回避の心理が働き、それが経済合理性を考える際の思考にも影響を及ぼすのである。

顧客との関係を「深める」営業

既存顧客と継続的に取引することのメリット

既存顧客との取引には、下記のようなメリットがある。

  • 改めて営業コストをかけなくてもリピート購買してくれる

  • 自社の別製品を積極的に購買してくれる

  • 社内外の人々に良い評判を伝えてくれる

  • 製品に対する有益なフィードバックをくれる

またここで、顧客との関係を「深める」ということをもう少し解像度を上げて考えてみる。すると「深める」ということは、下記の3つに分解できる。

①維持:顧客との関係継続が何らかの構造によって担保されている
②拡大:顧客との取引件数やボリュームが、時間と共に増えていく
③コントロール:顧客との関係が過度の依存関係に陥らない

関係をいかに「維持」するか

実は、顧客との関係性を深めることが全ての企業に必須かというと、そうではない。企業が顧客に価値提供するパターンとしては、下記の3つがある。

  • 製品リーダーシップ
    絶えず最新の製品・サービスを提供するアプローチ。イノベーションを追求し、常に新しい製品・サービスで高い価値を実現する。アップル、ソニー、BMWなど

  • 卓越したオペレーション
    絶えず生産、販売方法の改善を目指すことで競争優位性を図る。トヨタ、ウォルマートなど

  • 顧客との親密さ
    顧客ロイヤルティの獲得によって顧客との親密さを強化し、販売力を高める。同時に、顧客からのフィードバックを改善に活かすことで競争優位性を高める。リッツ・カールトン、IBMなど

上記の3つでわかるように、製品リーダーシップやオペレーションが圧倒的な競争優位性である会社もあり、そういった会社は、必ずしも「顧客との親密さを築くこと」が勝ち筋というわけではない。(ただし、「顧客との親密さ」があって損をすることはない)

※ 書籍には、顧客との関係を維持する具体的な方法が記載してあります

関係を「拡大」する

取引を増やすには、仕事をくれる相手の数を複数化する活動も不可欠。
自社が扱う商材にもよるが、一定規模以上の企業であれば、顧客社内の他部門やグループ内の他企業に潜在的な取引機会が眠っている。ただし、営業が何もしなければ、その取引機会を得ることはできない。

では、営業は何をすべきなのか?というと、下記3点。

  • 顧客企業の組織図やグループ企業を眺めてセグメンテーション&ターゲティングする

  • ターゲティングした案件について、関係しそうなポジション名、関係者の実名をできるだけ押さえる(この時、関係者間の相性など、役職には表れない情報も押さえておく)

  • 上記2点を行ったうえで、営業が誰に会いにいくべきなのか?(もしくは、直接営業がアプローチする方法以外が良いのか?)を考えたうえで、必要な人物に対してアプローチをかける

※ 書籍には、顧客との関係を拡大する具体的な方法が記載してあります

関係の「コントロール」

関係の「コントロール」を継続するには、売り手企業の側が、下記2点で自己律速を効かせていくべき。

  • 大口顧客との関係を常に見直す
    依存度の高い顧客企業への営業は意識的にセーブし、単一顧客への依存度が一定割合いかに収まるようにする。

  • 新規開拓のリソースを確保し続ける
    既存顧客の対応がある中でも、意識的に新規開拓のリソースは確保し続ける。
    これがあると、仮に大口顧客との関係が芳しくない状態(無理なカスタマイズ要求を過剰にされ続けるなど)となってしまった場合、正しい意思決定ができる。

※ 書籍には、顧客との関係をコントロールする具体的な方法が記載してあります

勝率を上げる営業マネジメント

営業マネージャーの仕事

営業マネージャーの仕事は、下記3点。

  • 標準プロセスの浸透

  • プロセス管理を通じた人材育成

  • 営業プロセスの見直し

※ 書籍には、営業マネジメントの具体的な方法が記載してあります

以上です。

この本に書いてある内容は、文章としてみると当たり前に思えるのですが、実際に自分がそれをできているかというと「No」という点が多かったです。
そのため、反省しつつ、とても参考になりました。また、各章に物語(ストーリー)が入っているので、読んでいて面白かったです。







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