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EP.42 隠れニーズの本格解決!中重度対応型モデル「リズム・リゾート」誕生

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いつもお読み頂きありがとうございます。EP.41 激変の社会保障制度 未来を見据えた新チャレンジの背景!から続くエピソードです。こちらを確認頂くとより分かりやすくなります。

 高齢者の生活を支えるインフラ事業としての自負も強く、メンバー一同「お客様の声」を形に活動していく中、介護保険制度は2015年4月に潮目が大きく変わりました。大幅な介護報酬ダウン・・・、これまでのやり方、考え方をすべて見直さなければ事業継続の危機。特にメイン事業として成長していた通所介護(デイサービス)の報酬削減率は、これまでにみたことのない衝撃的数字となりました。

 そんな中、未来を見据えて次なる一手に動きます。社内の中堅メンバーに新モデルを作るためのプロジェクトチームを発足させました。今回はそんなお話です。



◆主力モデルの法改正対応

 この当時はお客様のクレームから種を見つけ出し、しっかりと育ててきた入浴特化型短時間デイサービス「いきいきらいふSPA」が当社の主力モデルとして全国に展開していました。

 2015年4月の介護保険改正で大鉈が振り下ろされ、今後の政府・行政の方針が見えてきた為、現行モデル(当時)の単純展開はリスクが極めて高くなる予測がたちました。

もちろん法改正を焦点に、事前に入浴特化型モデルならではの取組を走らせていきました。

 制度改正に対応してバージョンアップしていく為に機能訓練強化や2014年には入浴の自立支援を目的として、入浴機能維持向上評価システム「バスアセスメント」を開発し、導入しています。

報酬ダウンにより、収支が落ちることに対し基本に立ち戻り、デイサービスの社会的役割の見直しとお客様の利用目的に照らし合わせた個別対応の重要性を再認識することでサービス内容を強化したのでした。

これにより稼働率(利用率)が上がり、収支の落ち込みは一時的なものとして回復していきました。
 もちろん「いきいきらいふSPA」がダメになると言うことではありませんでしたが、政府の急激な方針転換が発生した事実は私にとって今後の事業継続にとっての大きなリスクとしてインプットされたのです。


◆入浴機能維持向上評価システム「バスアセスメント」

 このバスアセスメントと言う概念は、取締役の福住尚将(ふくずみなおゆき)氏が大学院時代に考案しまとめたものがベースとなっています。RARECREWの上席コンサルタントである福住氏については、こちらで紹介しています。

バスアセスメントの学術的根拠
「みんなのお風呂ー男性ヘルパーの視点からー」(月刊ゆたかなくらし(262), 44-47, 2003-12 )にて、福住尚将(大正大学大学院人間学研究科)が提唱した、バスワーカー、アセスメントシステムを基盤に作り上げた評価シスてム

《バスアセスメント概要》
1、入浴に必要な身体機能を分類し問題点抽出、維持・向上が必要な部位の  訓練、関連動作に必要な機能の訓練を計画する。

2、計画に基づき、通所時に実践し、継続的かつ再現性を高め提供する。ま  た、アセスメント時には、在宅における入浴動作を阻害する環境因子を突き止める。

3、実践およびモニタリングの先には、住宅改修提案や家族、訪問介護事業  所、居宅支援事業所への情報提供および、在宅介護指導にも結びつける。

プレスリリース2
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 システム開発と導入に際して、会見の場も設けてプレス発表もしたので一時的には注目されたのですが、当社以外では積極的に取り組んでいるという声は聞こえてきませんでした。

※6年後の2021年4月の法改正では、入浴の自立支援に向けた入浴介助加算の上位加算として「入浴介助加算Ⅱ」が創設されます。バスアセスメントそのものが評価される仕組みとなり、ようやく私たちの取組に制度が追い付いてきました。(いろいろ制度的問題はありますが・・・)


◆知りながらスルーしていたニーズの存在

 入浴特化型短時間デイサービスのニーズの高さは、デイサービスでの介護従事者であればほぼ全員知っていながらも、その運営の特殊性故かモデルとしての広がりは見られませんでした。ニーズを見つけ出した私たちの役割として、利用できる場を全国に広げていくべくフランチャイズ(FC)方式を利用して展開した為、運営のし易さを中心にモデル設計し介護の必要性でいくと軽・中度向けとしていました。

 そして、出来るだけ在宅に近い環境を目指し、自宅での入浴環境を再現すべく個室浴を採用。入浴の基本動作訓練と実際の浴室での安全な実践的トレーニングを経て「いきいきらいふSPA」を利用することで最終的には自宅のお風呂で入浴できるようになることを目標として運営しています。

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「いきいきらいふSPA」の展開をしていく際に、ケアマネジャーへの営業へ私ももちろん動きました。そして自社のケアマネジャーともモデル開発の意見交換をする中で、新たなニーズの存在に気が付きます。

それは、

・身体的中重度の介護が必要な方
・医療依存度の高い方
・体力面で長時間利用が不向きな方

の入浴ニーズです。ケアマネジャーからは実は強く要望されていました。
 しかしながら、もちろん高度な介護技術や医療処置対応など介護スタッフのスキルとしては、比較的高くないと運営できなくなります。前述の理由から、この存在については優先順位を落として展開していましたが、2015年の介護保険改正にてこのニーズに対応するモデルと作ることを決めました。


◆中重度対応型入浴特化短時間デイサービス

 この発展型モデルについては、既にある強烈な入浴ニーズがベースにあり、他事業所が手掛けない領域である為、私としては今後の組織強化を目的に「いきいきらいふSPA」のモデル開発メンバーを外したプロジェクトチームを発足し、任せてみることにしたのです。

《プロジェクトチームメンバー》
●直営事業統括長(1day型経験者)
●いきいきらいふSPA店長(社内での実績記録者)
●店舗開発担当者(FCを含む店舗開発の実務担当者)

 プロジェクトは2016年の年明け早々にスタートし、同年秋に新モデルとしてのトライアル店舗のオープンを目指しました。

 プロジェクトについては、参加していないのでどんな風に進捗したのか全くわかりませんが、定期的に行われるプロジェクトリーダーからの提案プレゼンテーションに対して、フィードバックを入れて修正。

 店舗については、設備の老朽化や時代に合わなくなってきているデイサービス1号店を改修することに決めていました。第一号店であることや、私自身が直接立て直しを行った思い入れの強いお店。
 後ろ髪惹かれるものの、開設より12年、度重なる介護保険改正を含め時代の変化や、当社の活動の中ではその役割を終えようとしているのは誰がみても明らかでした。

途中、プロジェクトメンバーは大きく迷走していきましたが、ディスカッションの末、コンセプトが決定!

【生活リズム改善】
自宅に寝かせきりによる閉鎖空間での生活は、生活リズムを狂わす原因。時間により照明を朝陽→昼白光→夕陽と変化することで体内時計をリセット。生活のリズム改善のための調光室を完備。多彩に変化するカラーライト効果により、お客様の意欲にアプローチ。
※今後の実地検証および将来的には学術機関との研究テーマ。

《ブランド名称:リズム・リゾート》

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□中重度者の中に、在宅生活者の中に体力的に長時間サービスが困難な入浴希望者が多数いることを確認。
□中重度者においては、昼夜逆転など生活のリズムが崩れて、介護負担が大きくなっている。

① 長時間利用が体力的に難しい方に最適の3時間デイサービス
② 機械入浴を完備、車椅子の方も安全に入浴対応
③ ミスト浴にて心臓疾患のある方でも、入浴可能
④機能訓練による入浴改善に応じた個室浴も用意。卒業に向けた段階的トレーニング
⑤ 看護師常駐にて、安心の健康管理体制と機能訓練
⑥独自のライティングプログラムにより、生活リズムの改善。

こうして、2016年11月、中重度者対応入浴特化型短時間デイサービス「リズム・リゾート」が新業態トライアル店として誕生しました。

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 このモデルにおいて、お客様の介護状態へのアプローチの幅が広がり、私の固定観念を覆す成果がつくられることになりました。この話はまた別の機会にご紹介します。

 さらに現在はリズムリゾートのノウハウと検証結果より、さらなる機能訓練強化型として「サニーガーデン」ブランドに進化していきます。

さて、今回のお話からどんなことに気が付かれましたでしょうか?
お客様のニーズに向き合うと、新しい取組の種がたくさん存在することに気が付きます。それをそのままスルーしてしまうのか、チャレンジしていくのかで道は分かれていくのだと思います。どんなことでも地道に一歩ずつ前に進めて行くことが大切だと感じています。

昨日より1歩進んだ今日にしていきましょう。


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