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余談的小売文化論

「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手が自分なりの正解を見出すための一助になる…
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2019年3月の記事一覧

今月の #あさみのまなび ベストセレクション

今月の #あさみのまなび ベストセレクション

今月もSlackコミュニティで日々つぶやいている内容を一部抜粋してご紹介します。

最近茶道と着付けを改めて学び始めたので、そこから学んだことも私なりの視点でまとめて投稿したりしています。

私以外のメンバーもそれぞれまなびをSlack内でつぶやいているので、興味がある方はコミュニティマガジンの購読をどうぞ!

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コミュニティのミスマッチ

以前、石川善樹さんにインタビューしていたとき、『現代人の悩みは孤独・退屈・不安のどれかに収束する』という話を聞いて、深く納得したことを覚えている。

このまま結婚もせずに1人で生きていくのだろうかとか、この先何十年もこうして同じような生活を続けていくのだろうかとか、10年先も生きていけるだけのスキルが自分にあるのだろうか、とか。

そして今コミュニティが盛り上がっているのは、これらの悩みを(対処療

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プラットフォーマーの持続的成長に必要不可欠なもの

プラットフォーマーの持続的成長に必要不可欠なもの

最近Spotify、Netflixと立て続けにAppleに反旗を翻す動きをみていると、プラットフォーマーとコンテンツメーカーの力関係が拮抗し始めた瞬間の対応について考えさせられます。

そもそもプラットフォーマーが生まれる瞬間には、ユーザーの誘引要素はほぼコンテンツに頼る他なく、コンテンツメーカーの方が強者であることがほとんどです。

『そこをなんとか』とあの手この手でコンテンツメーカーを口説き落

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ブランドは『参加するもの』になっていく

ブランドは『参加するもの』になっていく

今や日本でも広がりつつあるD2Cブランドだが、その要諦は中間マージンがないことでも原価率が安いことでもなく、自分たちの思想に基づいた体験を顧客に提供できる点である。

ブランドとの出会いから検討、購入、そしてサポートまでの体験を一気通貫でデザインし、商品というメディアを通して世界観を伝える。

モノも情報も溢れかえる中で、選ばれるために彼我の違いを生むには『商品の質』ではなく『商品を通した体験の質

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型と道と修行、そして『わかる』ことへの考察

先日鳥井さんと登壇したイベント『読むでつながる』の続きと題して、コミュニティマガジン『消費文化総研』のSlackでチャット型の対談をした。(これをスイスイさんとサクちゃんがやっていたシリーズからとって「読むラジオ」と読んでいる)

そこで『本筋と関係ない(笑)』と言いながら盛り上がったのが、『型』の話だった。

最所:剣道って「剣道とは剣の理法の修練による人間形成の道である」っていう言葉を絶対覚え

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コンテンツは人を再接続させる

コンテンツは人を再接続させる

この季節になると、地元を出て上京した日のことを思い出す。
あれから10年以上経った今、私は当時思いもしなかった景色を見ている。

私はこの目の前の景色をどうやって手にしてきたのだろう、と思い返してみると、人間関係を常に『再接続』することによってより自分らしくいられる場所を作り上げてきたような気がする。

地元と東京の何が違うかといえば、やはり一番は『人がたくさんいる』ということだ。

たくさんいる

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『きたないは便利で、きれいは役に立たない』

『きたないは便利で、きれいは役に立たない』

先日、ケインズが100年近く前に語ったとされる「孫たちの経済的可能性」の全文をPDFで読んだ。

彼は早々に人間が暇と戦うことになる未来を見据え、「経済問題の重要性をあまり過大に考えたり、その必要性と称するもののために、もっと重要で
もっと永続的な重要性を持つ事柄を犠牲にしてはならない」と語った。

彼の先見の明といまだに色褪せぬ未来への考察には舌を巻くばかりだが、私がもっとも感銘を受けたのは、文

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#国際女性デー のストーリーズ投稿から考えるブランドの意思の示し方

ちょうど先週の金曜日、3月8日は国際女性デー(International Women's Day)でした。

日本ではまだそこまで馴染みのない日ではありますが、アメリカやイギリスでは3月頭から各メディアがこぞって女性を軸にしたコンテンツを発信し、フェミニズムが盛り上がるシーズン。

IWD当日は、Instagramをみていてもファッションブランドやファッションテック系のサービスがこぞって『女性のエ

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「小さい集合体」の強さ

「小さい集合体」の強さ

私の興味関心は昔から変わらず、『いかに長く続くものを作るか』。

それは単に容れ物としての会社やお店、商品が続くということではなく、いかに文化と精神性が受け継がれていくか、ということでもあります。

先日石川善樹さんとそんな話をしていた時に、クラシコムの青木さんとサンマリノ共和国大使の対談記事をおすすめされ、『小さくあり続けることの強さ』について考えさせられました。

この記事の内容を引きながら石

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ノンアル志向の時代に、「ハレの日」をどう作るか

ノンアル志向の時代に、「ハレの日」をどう作るか

昨年の秋頃からお酒を飲まなくなって早半年。

これまでも体調の問題などでお酒を飲まない期間があった私ですが、今回はまわりにもお酒を飲まない人が増えてきたこともあり、このままお酒を飲まない人生になるんじゃないかとすら思っています。

実際アメリカではノンアルドリンクがトレンドのようで、ノンアル派でもバーで楽しめるお酒が続々登場しているもよう。(下記記事参照)

記事の中でミレニアルズがなぜノンアル志

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「啓蒙」するな、まず「探求」せよ

「啓蒙」するな、まず「探求」せよ

先月の『消費文化総研』の課題図書は山本七平の「『空気』の研究」を取り上げた。

空気が醸成される過程を日本の文化的背景から読み解く古典的名著なのだけど、個人的には大テーマとは別に、現代にも通じるもうひとつの学びがあった。

それは福沢諭吉が先導した西洋化への指摘だ。本著の中で、山本七平は福沢諭吉を含む当時の西洋化に対する態度を痛烈に批判している。

彼にとっては西欧化的啓蒙がすべてであり、彼のみで

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