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book#1 最大の成功要因は経営トップの決意『思考する営業』

書籍名 「思考する営業 BCG流営業戦略」
著者  杉田浩章
発行  ダイヤモンド社 2009年10月8日(1)

eriko的要約

営業力とは、営業担当者が顧客に付与できる自らの介在価値である。

営業TQMで、営業に科学の目を入れ、営業価値メジャーを設定し、カリスマ営業の暗黙知から脱皮し、組織として必要な営業の型を形式知として確立することが必要である。型を設定することは制約になるが、制約があるからこそ、乗り越えようと工夫をしクリエイティブが発揮される。

営業改革はたいてい挫折する。
が、改善のヒントは売れない理由に隠れている。担当者の声を良く聞くことが大切だ。値引きという武器が無いと営業の意味がないと思い込み、過去のカリスマ営業の亡霊に囚われ、このままでは駄目だとわかってはいるが、エースのやり方を真似できない、などの理由で、営業担当者は変われない。

変革を成功させるためには、①スモールスタート ②クイック成功事例 ③ファインチューニング ④一気呵成な横展開、と、マネジメントを気持ちや意識のマネジメントに変えることが必要である。
また、最大の成功要因は、経営トップの決意である。

トップはゴッドファーザーであれ。
信頼できる改革リーダーを任命し、権限を委譲する。
はしごを外さない。
過渡期の業績には目を配る。
泣きついてくる人は無視する。
やった人を賞賛し、やらない人を叱る。

成功事例として、再春館製薬、ユニ・チャームペットケアの改革事例が掲載されている。

eriko感

2009年発行で、新しい本ではない。著者が今でもボストンコンサルティングに所属しているかもわからない。しかし、この本は、私が時々取り出し振り返る1冊である。

理由は、ユニ・チャームペットケアの改革事例だ。
ユニ・チャームと言えば、コロナ禍の今はマスクがひっぱりだこの、紙雑貨において顧客価値が高い企業で、私の大好きな会社のひとつだ。
何より製品の品質が良い。他社製品との差額を払うに値すると思っている。
その上、この本で改革エピソードを読み、益々ファンになった。

改革はペットケア事業の話だ。
そして私は、顧客としてまさにその改革を体験した。
ユニ・チャームのペットシーツはとても品質が良い。しかし、競合品より高い。そこで、いつも近所の大手ショッピングモールかホームセンターでのチラシのタイミングでまとめ買いをしていた。
ちなみに製品はこちら☟

改革スタートが2001年から2003年頃とのこと。
当時、おそらく希望小売価格が1880円ほどで、ペットシーツ1枚が16円前後の設定だったが、チラシ価格では安い時で1118円(1枚10円前後)だった。「1枚あたりたった6円?」と思うかもしれない。しかし、室内で排泄をすると、1日多い時で10枚ほど使用し、月間では1800円の差となると大きい。

競合品で安価なものはたくさんある。1枚1円で入手も可能だ。
しかし、そこはユニ・チャーム。
吸収力と消臭力が全くもって違う。
とは言え、安く購入できるタイミングがわかっているなら、安く仕入れたい。定価で購入したことは無かった。

ある時、ピタっとチラシが入らなくなった。
在庫が尽きて、むむむと困った私は、何軒がお店を回ってみた。
もちろん1118円の底値は無い。定価ではないが、1568円(1枚14円程度)の売価設定で、やむなく購入したのを覚えている。
それから、底値を見ることは無かった。
チラシが入っても、1枚13円程度の売価で、最初は抵抗があったが、そのうちそれが当たり前になった。途中で、安価な他社製品を使用したが、やはり品質から13円から14円であれば可、という価格設定が私の中でされたからである。
ユニ・チャームペットケアは、営業改革を実践していた。「押し込み営業常態化と増加する販促費」が利益を圧迫し赤字が続いていたが、これを「数字ではなく行動を詰める(売ってこいではなく会ってこい)」「付加価値を生まない行動の廃止(具体的には日報と支店長会議)」等で、営業の思考を変革し、業績改革したのだった。まさに、製品売価は上昇し安定(おそらく利益が出る)した。

なぜこんなにほぼ10年前のことを鮮明に覚えているかというと、いまだに私はペットシーツを購入し続けているからであり、ユニ・チャーム製品とそれに拮抗してきた少し安価な製品とを、使い分けながら日々価格との折り合いを検証しているからだ。

愛犬シュシュ ERIKO家2代目フレンチブルドッグ

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組織改革は難しい。
コンサルティング会社はフレームワークは与えてくれる。
けれども心をうち、勇気がもらえるのは、まさに実践し成功したストーリーだ。私は、時々この本のユニ・チャームペットケアの改革を確認しに戻っては、自分を鼓舞している。

そして最後に。著者の言葉から。
経営トップはゴッドファーザーであれ。
 はしごは外さない。泣きついてくる人は無視。やった人を賞賛する。
 その覚悟が改革の成功を決める。



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