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ミサイルでもなくロケットでもなく飛翔体

 NADAのステッカーを貰った。国家宇宙開発局(National Aerospace Development Administration)の略がNADAである。

 さて、北朝鮮が相次いで発射しているあの物体を何と呼ぶか。講演でも執筆でも迷うところである。

 結果的に、カメレオンのような対応をしている。一般の講演では「ミサイル」。在日コリアンの方が多い時は「ロケット」、よくわからない時は「飛翔体」。書くときはだいたい飛翔体としている。

 結果的に日本のマスコミに準ずる、追随するような、言い方は悪いが意志薄弱ともとれる発言に終始している自分に、時々嫌悪感を覚えるのだがしょうがない。

 この曖昧さが生む日本語の表現、曖昧さをまとった表現がぼくは好きだったりもする。責任や言質を取られない、うなぎのようなぬめぬめとしたものが。

 日本語の中でぬめぬめを楽しんでいればいいのだが、問題は現地である。平壌にある科学技術殿堂には飛翔体の大型模型があるという。案内員は何と訳するのだろう。「ロケット」とちゃんというのか「ミサイル」というのか。まさかの「飛翔体」ではないと思うが。

 ロケットと言われた時にどうするか。「なるほど、ロケットですね」と追随するか「ミサイルだろ?」と反抗するか、「飛翔体ですよね」と曖昧に逃げるか。ぼくは飛翔体というだろう。技術的にロケットとミサイルは同じようなものと言われるのだが…。相手の主張は100%認めない代わりに、非難も入れない。この曖昧さが日本人だと思う。

 さて先日、インスタグラムに書き込みが来た。ぼくがハッシュタグに북한(北韓)と書いていることが気に食わない。正しくは조선(朝鮮)だという、親北系のサイトの運営者からのメッセージである。

「そんなことこちらはわかってやっている。北朝鮮では一般市民がインターネットが使えないことを考え、また韓国人に多く見てもらうことを目的として『북한』としている」と返答したところ「朝鮮」「朝鮮」と連呼し始め会話が成り立たなくなったのでブロックをした。

 政治性も大事なのだが、問題は実利なのである。より多くの人に伝えるためにこちらは表現を選んでいるのだが、その人には通じなかったようだ。色々難しい、ことばって。

■ 北のHow to その81
 このステッカーはシンガポールの親北団体の方からもらいました。シンガポールもまた北朝鮮とは関係が深い国です。
  その関係の深さについては、また後日。

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サポートいただけたら、また現地に行って面白い小ネタを拾ってこようと思います。よろしくお願いいたします。