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あなたの英語はネイティブ何歳レベル?vol.1<遊び、生活を通して学ぶイギリス幼稚園編>

子連れの海外暮らしで親が懸念する事と言えば「学校をどうするか」といった教育に関することではないでしょうか。イギリスで暮らすようになった我が家では、子供達を現地校に通わせるという選択をとりました。

それによる子供の学校生活、学習面での適応も気にはなりましたが、それと同じくらい四苦八苦しているのがである私でした。宿題など、子供のサポートをする難しさと手間もしかり、自分の英語力の低さにも愕然とする日々です。イギリス人の旦那さんと国際結婚をしている友人でも「幼稚園の内容で既についていけない」と言うほどで、私たち夫婦もつい最近、小学校低学年で使われる単語の難しさに驚いたばかりです。

現在コロナウイルスによる影響で学校は閉鎖中(関連記事)ですが、その分家庭で親がサポートしなければならない事項が増え、以前にも増しててんてこ舞いです。正直大変なことの方が多いですが、普段は垣間見れない授業内容を直に目にする機会が増え、なんだかんだで親の英語力向上にも繋がっているのでは?と、密かに期待しています。(新単語が全く頭に入ってこないのですが・・)

こちらのマガジンでは、下の子と上の子がこれまでイギリスの現地校で学んできた単語文化歴史算数の教え方などをかい摘んで適度にまとめ、少しずつ時系列に関係なくご紹介していきます。英語を母語とするイギリスの子供達が、何歳どの程度の単語を操るのか、日本人が英語学習をする際に、教材からではなかなか目にする機会のない「ネイティブが日々の暮らしで使う英単語」についてフォーカスしたいと思います。初回は幼稚園児が学校だけでなく、家庭を含めた場所での遊び生活態度を通して学ぶ様子についてです。

幼稚園年少:身支度、お手伝い

年少さんでは、日本と同様服のボタンを自分でかけれることや、脱いだ靴をまとめるといった身支度に関すること、オモチャを片付ける、お手伝いをするといった生活態度、友達と仲良くする、先生や親の話を注意して聞くといった社会性に関する事項が成長過程の証として評価対象になります。具体的には以下のような項目です。

Pick up your toys and put them away. オモチャを集めて片付ける
Tidy your room. 部屋を片付ける
Go to bed when you are told. 言われたらすぐに布団に入る
Put your shoes away. 靴を片付ける
Help set/lay the table for dinner. 夕飯のテーブルをセットする(日本語でもそのまま「セットする」なので lay と言うとは知りませんでした。どちらでも良さそうです。)
Leave your uniform where your mum has asked you to. 制服をお母さんに言われた通りの場所に置きなさい
Get dressed for school quickly. 学校に行く着替えの準備をすぐにしなさい
Help for some laundry. 洗濯の手伝いをしなさい

遊びを通して学ぶ

日本でもしりとりや絵描き歌など、ゲームや遊びを通じて物の名前を覚えたりしますが、イギリスでもやはり似たような趣旨の遊び方があります。

[ゲーム名とルール]
Simon Says サイモンさんが言いました:ゲームを出す人(マスター)が「サイモンさんは言いました(Simon says)。拍手して!」と言ったら、参加者はマスターの指示に従わなければならない。もしマスターが、ただ「拍手して!」とだけ言った場合、マスターの指示に従ってはならない。指示に従うのはマスターが「サイモンさんが言いました。」と言った時のみ。間違った人がどんどん抜けていき、最後まで残った人が勝者。
Chinese Whispers 伝言ゲーム:このゲームは各国で様々な呼び名があるようですが、Chinese Whispers は英語圏で用いられ、それも特にイギリスで使われるそうです。(アメリカは Telephone が多いとか。)名前の由来ですが、英語話者にとって理解し難い言語、という意味で20世紀半ばより前の時代には 'Russian Scandal'や'Russian Gossip' と呼ばれていました。それが、ある時から「ロシア語より更に難解な耳馴染みのない言葉」といった意味合いを込めて現在の呼び名に変わったようです。(参照:Martin,Gary. “The meaning and origin of the expression: Chinese whispers” The Phrasefinder 2020)
I Spy スパイゲーム:ジャンケンなどでスパイとなる人を決める。スパイになった人は身の回りを見回して、何か物をひとつ選ぶ。例えば花 flower であれば ”I spy with my little eye something beginning with letter[F]!” と言う。(「F で始まる物、見付けた!」)スパイ以外の人は、そのアルファベット(F)が頭に付く物を周りを見て探し出し(“fish?”,”food?”などと聞いていく。)スパイの人が決めた英単語を当てる。当てたらスパイを交代。

私はこれらのゲームをどれも、全く知りませんでした。

幼稚園年中前期:鉛筆の持ち方指導

年中組になると、年少で行う生活の基本動作以外に、文字を書くという学習上の動作も学び始めます。

correct pencil grip 鉛筆の握り方を正す

という鉛筆の持ち方指導が行われ、プリントの配布や親への全体講習会(アルファベットの覚えさせ方など)、補助グリップの購入を推奨したりします。ただし、この進捗具合は学校の方針によりけりで、公立校や他の特定の方針を掲げている学校ではそれぞれ始める時期が異なるかもしれません。実際、自然食品などオーガニックでナチュラルなものを大事にする方針の、とある学校で指導している友人によると、そこでは読み書きは7歳まで一切指導しないのだそうです。

年中後期の課題:手先の発育

年中の後期ともなると、課題とする項目がより高度になっていき、physical development(身体発育)の促進が目標とされます。例えば

To develop fine motor skills and reduce letter size

Fine motor?何故モーターが子供の発育に関係あるのか?何かエンジンでも使う機会があるのか、と謎でしたが調べてみると fine motor skills とは日本語で微細運動機能といい、手先の小さな動きを指すようです。(参照: “Fine Motor Skills: What You Need to Know” Understood For All Inc.2014–2020)これはお箸で小さなものを掴んだり、鉛筆を握るのに必要なスキルだそうです。日頃お箸を使う日本人の子供には有利な分野ですね。

この能力を促進することは学習面においても様々な効果があるようで、例えば「小さい子特有の大きな文字を小さく書けるようにする」、といった事にも役立つそうです。

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実際に学校の先生からは、このスキルを向上させるために粘土レゴブロック、tweezer という子供用のトングを利用したりすることを勧められました。

Mathmatics 幼稚園からの算数

この頃になると、始めは10まで、次に20までと数を数える指導が始まり、最終的には100まで数えることをゴールに掲げ(Count to 100 Songというビデオを学校で教わり、我が子も大のお気に入りです。)、同時に簡単な足し算と引き算(To add and subtract)も始まります。

足し算の教え方がユニークで、例えば5+3の場合、オデコを一度叩きながら「5」と言わせ、その後に「6、7、8」なので答えは8になる、とある日教えられて帰ってきました。その前日までは5まで1から数えていたので、たった1日でこんなにも合理的な方法を覚えて来たことに感動し、また日本にはない独特な指導法に感心しました。

PSED: Personal, Social and Emotional Development 自己啓発、社会性、感情の発育

To learn to manage his/her feelings and maintain control. この時期には、出来ないからと言ってすぐに泣いて済ませるのではなく、時には感情を適切に抑制し、自分でコントロールする努力を求められます。その操作法として、Colour Monster という絵本を推奨されました。YouTubeにも出ていたので早速見せましたが、そこには感情のコントロールができずにグズグズするモンスターがいました。

そこに女の子が現れ、モンスターに感情を色別に5つ分けるべきだとアドバイスします。黄色が幸せ、青が悲しみ、緑が平静、赤が怒り、黒が恐怖を表す色です。感情の仕分けが済んだモンスターは、最後ピンク色に染まりましたとさ、というお話でした。

このように我が子が通う学校では、幼稚園の頃はまず、身の回りのことを自分ひとりでできるように訓練させ、次に細分化された身体発育の分野を伸ばしていき、最終的には小学期へ向けたスムーズな学習態勢への移行を目指しているようです。次回以降、幼稚園生の読み書き指導についてもご紹介していきます。

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