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BBQ大好きイギリス人〔7つの理由〕

新型ウイルスの影響により自宅で過ごす時間が増え、改めて庭のありがたみを感じている日々です。ロンドン都心部の事情は全くもって無知ですが、ロンドン郊外の自宅に庭がある場合、このステイホーム中はいつにも増してバーベキューを楽しむお宅が多いはずです。

というのもイギリス人って、バーベキューが大好きなんです。例年では気温に比例しまさに今、6月を境に盛り上がっていくのですが、今年に限ってはこんな異例の状況なので皆考えることが同じとみえ、スーパーでも思ったとおり4月のイースター(関連記事)直後に、早速バーベキュー特設コーナーが出現していました。

イギリス人のBBQ好き7つの理由

イギリスで迎えた初めての夏、バーベキューはピクニック、お祭り、アイスクリーム・ヴァン(移動式アイスクリーム売りのトラック)と並ぶ夏の風物詩なんだと気付きました。では、なぜイギリス人はそんなにも熱狂的にバーベキューが好きなのか、イギリスの風習を理解するのに興味深い記事を見つけたのでご紹介します。

日本同様、イギリスでもバーベキューは通常大勢でワイワイするのが好まれます。私が今回抜粋翻訳した以下の記事は2014年のものなので、現在のような他家との行き来を禁止されている(何かと緩和されてきてはいますが)ロックダウン中とは内容がそぐわない箇所がありますので、その点ご留意願います。(参照:Zebarella. “Why Brits love to BBQ” Cuckooland.com April 2014.)

その1:男の出番ダゼ

もともと共働きが多いイギリスでも、普段の料理の担い手は女性であることが多いのは日本と似たようなもの。ところがバーベキューになると、あたかも石器時代の狩人に戻ったかのように、そこは男性陣の腕の見せ所をアピールする場と化します。

その2:うわさ話に花を咲かせる女性たち

「一族の長」を気取りながら得意げにソーセージを焼く男性陣の横で、女性陣はというと、椅子に背をもたせ優雅にワインを傾けることができます。彼女たちに欠かせないのはゴシップ話!正直なところ、バーベキューはそのためにあると言っても過言ではありません(⁈)

その3:日差しを求める絶好のチャンス

イギリスの天気が安定していないのは世界的にも有名です。ゆえに、イギリス人たちは少しでも夏の兆しが出てきたら、少々寒くても途中で曇ろうが、サイアク雨が降ろうが太陽の光を求めて外に出たがります。バーベキューはそんな太陽光線を切望するイギリス人にとって、絶好のチャンス。

その4:ヒートアップする弁論大会

さすがは誇り高きイギリス人。彼らはその2のゴシップとは別に、バーベキューで政治、経済、その他ありとあらゆる、それも「世界規模」の情勢について議論を交わすことに悦びを見出だすようです。私も経験がありますが、バーベキューに関わらず、欧米人は人が集まれば何かと議論が始まり、自分の英語力ではそのうちついていけなくなることもしばしば。海外では特に、話の持ちネタを豊富に用意しておくのが賢明です。イギリス人はそんな議論好きの国民性を、で市民的だと自負している人が多そうです。

その5:お茶もしっかり楽しむ

議論好きを誇りに思うのと同じで、イギリス人にとっては紅茶を飲む習慣もイギリス人たるものの自己形成に欠かせない行為です。バーベキューにおいてもそれは例外でなく、実際、私が参加したお呼ばれでも最後にはデザートと一緒にしっかりお茶が出てきました。

その6:でもやっぱり主役はビール♪

とは言っても、やはりバーベキューといったらコレ。ジュージュー焼けた肉を頬張りながら傾けるビールはサイコー。近年若い人を中心にラガービール人気が高まってきていますが、イギリスのビールといったら古来よりエールビールと相場が決まっています。パブのエールビールが噂どおり本当にぬるかった時は驚きましたが、ラガーですと一応はちゃんと冷やされているので、その点でもグローバルに他国を行き来するようになった若者たちに人気なのかな、と個人的には考えました。なお、バーベキュー中はビールの種類は関係なく、何でもいいはずです。

その7:パーティー気分を楽しむ

そして最後にくるのは、とにかくこの一言に尽きます。「楽しむ」 。バーベキューを口実に親しい仲間や家族、親戚などと一緒にお喋りの花を咲かせ、その場を楽しむことがなんと言ってもバーベキューの醍醐味でしょう。

イギリスのバーベキューを憂う人たち

以上、イギリス人のバーベキューに対する想いを垣間みれた気分ですが、一点気になることが・・。水を差すようで恐縮ですが、「会話を楽しめればそれでよし」という基本姿勢ゆえでしょうか。またしても「さすが(食にこだわらない)イギリス人」と形容したくなるほど、肝心の食べ物が・・残念に思えてなりません。

例年夏になると学校行事やらボーイスカウト(関連記事)、地域の集まりやお祭りと、バーベキューをする機会が本当に増えるのですが、こういったものはプライベートではないからでしょうか。とにかく「質より量!細かいこと気にしてらんない!」からでしょうか。(実はその「量」すらなく、とにかくひたすら貧弱・・。)食事の内容が基本、

薄白い、焼き目のない白〜いバンズ(パン)に薄っぺらで縮んだハンバーグをはさんだバーガーか、

やはり白〜いコッペパンに丸焦げになったソーセージをはさんだホットドックに

ケチャップを塗るだけ。ハンバーグにはチーズがあればいい方で、ないことも多々。野菜?キュウリとかトマトとかさぁ・・。

当然ナイ!です。

と、本当に「場を楽しもう!(涙)」と自分に言い聞かせたくなりますが、食と旅ライターのNick Bainesさんのように、イギリス人でも似たようなことを考える人がいるのだと、彼の記事を読んで罪悪感が少し薄れました。

いくら「BBQ大好きイギリス人!」と謳ってみても、バーベキューはアメリカ圏(カリブ地域)発祥の食文化。(参照:Melina, Remy. “What's the History of the Barbecue?” Live Science July 2010.)アメリカの食文化がイギリスに比べてバラエティーに富んでいるとも思えませんが、ことバーベキューにおいてはニックさんもいうように、調味料に漬け込んだ塊肉をじっくり炭火で燻すなど、発祥地なりのこだわりプライドが見えます。

一方イギリスでは、「運がよければ豚肉とパプリカの串焼き(以下の写真参照)、あるいは骨付き鶏」が出るかもしれないけれど、

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キホンは

ハンバーガーとソーセージ

と、ニックさんもいっています。彼はこの先もはやバーベキューに参加する意味があるのかすらわからない、とまでいっていますが、「イギリス人ももっとバーベキューに熱意(気合)を持って欲しい」というのが彼の願いなようです。

こういう辛口意見もありますが、晴天が多く爽やかなイギリスの夏には、やはりバーベキューが一番!だと思います。

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